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2020年公開 北欧映画を振りかえる 映画祭篇「トーキョー ノーザンライツ フェスティバル」 (2/8〜14)で観た8本。

●『HARAJUKU』ノルウェー映画
ノルウェーのコスプレおたく少女が主役、『Youは何しに日本へ』みたいな話かと思ったら、結構深い内容でした。日本のアニメが大好きで、「聖地」原宿や秋葉原を夢見る少女のクリスマス・イブのできごと。いつものようにオスロ中央駅でコスプレ仲間と遊んでいるところに母の自殺のしらせ。そこから彼女の人生が激変します。途中インサートされるのは、東京の街の映像、彼女の深層風景を表すアニメ。「マッチ売りの少女」のようなイメージショットが入ります。アンデルセンはデンマークですが、何かつながりがあるのかな。あれは大晦日の夜の話でしたね。2018年の作品です。
原題 Harajuku
製作年 2018年
製作国 ノルウェー
上映時間 83分
監督 エイリーク・スベンソン

●『同窓会〜アンナの場合』スウェーデン映画
アンナ・オデル監督特集の1本です。9年間一緒だったといいますから、7〜16歳の義務教育ですか、その学校を出てから20年ぶりの同窓会。乾杯、主催者挨拶のあと、ひとりの女性がスピーチを始めます。クラスには階級があり、自分はそのなかで最低の位置にしていじめにあったことをひとつひとつ例にだして告白します。友好ムードは一転、この空気が読めない女性のために、険悪なムードになっていきます。女性の攻撃は歓談になっても止まらず、最後は袋叩きで会場から放り出されます。とここまでが1部。実はこのパートは、アンナが体験をもとに、同窓会があったらという想定で自分自身を演じたドラマ。2部はその映像を同窓生に見せて感想をきいていくドキュメンタリー仕立てになっています。嫌な奴、ぎりぎりですね。そんなことをいわれてもあの頃は子供だったから、みなそんなふうに返します。でもいじめられた方は忘れませんよね。2013年の作品。スウェーデンでアカデミー賞にあたるグルドバッゲ賞脚本賞受賞作です。
原題 Återträffen /Reunion
製作年 2013年
製作国 スウェーデン
上映時間 90分
監督:アンナ・オデル

●『ザ・コミューン』デンマーク・スウェーデン他映画
70年代のデンマーク、コペンハーゲンが舞台です。大学で建築を教えるエリックと、TVキャスターのアンナの夫妻が、大きな屋敷を相続します。広すぎて寂しいし管理も大変。友人たちとの共同生活を思いつきます。一人娘も同意。一見仲のいい大人の男女の一種のコミューンができるのですが…。これでうまくいったら映画にならない。エリックの浮気でギクシャクし始めます。海に面して突堤もある豪邸。水浴びに繰り出すシーンがあるのですが、みんなおおっぴらに裸になります。セックスについてもあけすけな会話が多く、お国柄かなと。コミューンで育ったトマス・ヴィンターべアの体験が投影されています。デンマーク・アカデミー賞(ロバート賞)で脚色賞など。アンナ役のトリーネ・ディアホムはこの作品でベルリン国際映画祭で最優秀女優賞を受賞しています。『長くつ下のピッピ』の原作者リンドグレーンを描いた『リンドグレーン』で、デンマークの里親役を演じてましたね。2016年作品。
原題 Kollektivet /The Commune
製作年 2016年
製作国 デンマーク/スウェーデン/オランダ
上映時間 111分
監督 トマス・ヴィンターベア

●『ロード・オブ・カオス』ノルウェー ・スウェーデン他映画
北欧といえばヘビメタです。この映画は実在するノルウェーのブラックメタルバンド、メイヘムを実名で描いたフィクション。どこまでが本当で、どこからが想像かわかわないほど、とんでもない奴らです。ウィキペディアでは「その狂暴な音楽性のみならず、ヴォーカリストのデッドの自殺、およびバンドの中心人物であったユーロニモスがヴァルグ・ヴィーケネスに殺害された事件によって悪名高い」。とても子供っぽくって、極悪をきどっている悪魔崇拝趣味の男の子たちと思ってみていると、どんどんヤバくなっていきます。教会連続放火や殺人事件など、どうやら実話らしく、そう楽しい気分にはさせてくれません。どちらかというと「未体験ゾーンの映画たち」の方が似合っているかも。2018年の作品。
原題 Lords of Chaos
製作年 2018年
製作国 イギリス/スウェーデン/ノルウェー
上映時間 118分
監督 ジョナス・アカーランド

●『ホワイト、ホワイト・デイ』アイスランド・デンマーク・スウェーデン映画
2019年のカンヌ映画祭批評家週間で上映されたアイスランドの新鋭フリーヌル・パルマソン監督の作品です。アイスランドの人里離れた町に住む元警官、おじいさんといってもいいかな。交通事故で亡くなった妻の遺品から、浮気の証拠らしきものをみつけ、真相を探り始めます。その執念のような調査がやがて常軌を逸して…。無口、うちに秘めた狂気、北欧らしい男性です。タイトルは雪に覆われて、すべてが白くなってしまう日、の意。こんななかをドライブしたくないなあ。
原題 Hvítur, Hvítur Dagur/A White, White Day
製作年 2019年
製作国 アイスランド/デンマーク/スウェーデン
上映時間 109分
監督 フリーヌル・パルマソン

●『陰謀のデンマーク』デンマーク映画
押し寄せる難民、台頭する極右勢力。ヨーロッパが直面する難問を扱う、デンマークの近未来政治サスペンス映画です。2024年におきた大規模テロ事件以降、移民排斥を訴える極右政党が勢力をのばし、翌年の総選挙で政権に手が届きそうな勢いに。対抗する外国人難民の過激派組組織は党首の暗殺を企てるが…。監督はイラクからの移民を両親に持つウラー・サリムです。
原題 Danmarks sønner/Sons of Denmark
製作年 2019年
製作国 デンマーク
上映時間 120分
監督 ウラー・サリム

●『サイコピッチ』ノルウェー映画
リレハンメルに近いイェービクという町の中学校が舞台。成績優秀な優等生の男の子がクラスの問題児の女の子と結ばれるまでの学園ラブコメディです。可愛らしい映画で面白かったのですが、卒業間近のプロムとかダンスパーティーがテーマになると、正直言って、モテなかった子供のころを思い出して、あまり楽しめませんね。スポーツというとクロスカントリーなのはお国柄です。学年末というのに雪のシーンが多く、学期はどうなっているんだろうか、とか変なことが気になりましたね。
原題 Psychobitch
製作年 2019年
製作国 ノルウェー
上映時間 109分
監督

●『クイーン・オブ・ハート』
こちらはその後、『罪と女王』のタイトルで一般公開されました。

新作では2019年の東京国際映画祭にコンペ出品された『ディスコ』(2019年/ノルウェー)を見逃しました。

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