インターネットが進化していくのを眺めるのが好きな話

※土曜日は読む人が激減することが判明したので個人的な話を。

先日、突然「あのアプリ、いつも読んでます」って言われたんですね。

「アプリを読んでるって何のことだろう?」ってちょっと考えたら、cakesのことだったんです。

僕はcakesって「雑誌をネット上に置き換えた有料サイト」だと思っていたのですが、「スマホだけの若い人」にとっては「アプリ」なんですね。

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昔はインターネットは、興味がある言葉を検索して、そのままネットサーフィン(死語ですか?)をして、その後、お気に入りにいれてある好きなブログやサイトが「更新してるかな?」ってチェックして終わりでしたよね。

その後、SNSになって、「もうSNSしか見てない」って人、多いですよね。cakesの記事も「SNSで誰かが面白いって引用していたから、そっちに飛んで読んでみた」っていう話をよく聞きました。

そして今は、「cakesって何かのきっかけで知って、面白そうだから、アプリをダウンロードして、電車でヒマな時とかにアプリを開いて読んでる」のだそうです。

ということは、今は「アプリ」を用意しておかないと、もう誰も見なくなる可能性があるんですね。知らなかったです。

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たぶんこういうことって「何をいまさら」なんですよね。

でも僕は携帯電話を持っていないので、自分では体験できないんです。

だから、まるで文化人類学のフィールドワークのように、みんなの行動や発言を観察して、「今はそういうことになっているんだ」って考えるのがすごく好きです。

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例えば妻と娘はiPhoneユーザーなのですが、ネットで買い物をするときだけはリビングにあるPCを立ち上げてチェックしているんです。

「どうして?」って聞くと、「PCの大きい画面で商品は確認したいし、カードの番号や住所を打ち込むのがPCの方がやりやすいんだよね」って言うんです。

僕のフィールドワークの調査では「もうスマホ・ユーザーはPCには戻ってこない」という認識だったんですね。

それが買い物みたいな時には「大きい画面と入力のしやすさ」を必要とするらしいんです。

ということは、これからスマホは「大きい画面と入力のしやすさ」へと進むだろうなあ、でも、iPadみたいな大きいタブレットにはあまり進まないって聞いてるから、喋って入力とか、画面ではなく、壁に大きく映し出されるとか、そういう展開かなあと想像して楽しんでいます。

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人間の行動って「一度、便利なモノを知ってしまったらもう戻れない」っていう法則があるけど、でも「戻ること」もあって、その「戻る」のって実は進歩だったりします。

今、お買い物サイトって「この本は面白かった」とか「この商品はすぐ壊れた」とかっていう「カスタマー・レビュー」がありますよね。

あれって、雑誌やテレビなんかで商品を紹介しているのは、実は企業が広告料を出して宣伝していたっていうことへの「疑問」から、「じゃあインターネットで商品を売るときには本当の消費者の生の声を投稿してもらったら良いんじゃないかな」っていう進化だったと思うんです。

でも食べログのやらせ騒ぎがあったり、アマゾンとかでも読んでて不快になるようなコメントがあったりして、「やっぱりこの世の中ってやりたい放題にしておくと悪いことに利用する人が出てくる」っていう問題も出てきます。  

それが先日、cakesの記事 https://cakes.mu/posts/11024 を読んでいたら、北欧、暮らしの道具店というサイト、「カスタマー・レビュー」がないそうなんです。逆に、そのサイトを運営している人の「選ぶセンスや能力」を信頼している人だけ買ってくださいという「メッセージ」なんです。

「カスタマーレビューをなくす」という「逆戻り」のような行為に見せておいて、実は「そのサイトと消費者の信頼関係で運営する」という風に進化しているんですね。

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僕自身はPCでツイッターをチェックするのと、cakesを読むくらいしかインターネットは利用しないのですが、でも、そういう「人が新しい道具を手に入れたとき、どうやって世の中を便利にしていくか、そしてそれを使ってどうやってより良い世界へと向かおうとするか」っていうのを眺めるのがすごく好きです。

明治維新の頃、ちょんまげを切ったり、靴を履いたり、パンを食べたりと、毎日が「驚き」の連続だったと思います。

今のインターネットも同じ感じで「うわー、生活、変わっちゃったね。これからもっともっと面白いことが出てくるのかも」って驚きや期待がすごく楽しいですね。

#エッセイ


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