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山田太一 / 沿線地図


多かれ少なかれ人は10代の頃から
20才頃までに観た映画やドラマや
小説やら音楽に影響され生き方さえも
形成されていくと思う。
僕はというと中学生の時に山田太一さんの
「男たちの旅路」
「高原にいらっしゃい」
(小室等とムーンライダースのテーマ曲も素晴らしい♪)
「岸辺のアルバム」
(とテーマ曲だったJanis Ian)、
そして高校2年生の春にこの「沿線地図」と
村上春樹さんの「風の歌を聴け」に
出逢った。

80年代に入ってからテレビを持たない生活をしたので
「思い出づくり」
「早春スケッチブック」
「ふぞろいの林檎たち」
は観てはいないのでコアな
山田さんファンからしたら
おいおいっていうところかもしれない。
それでもこの『沿線地図』こそ
山田太一さんの最高傑作だと思ってる。
脚本はもちろん
岸恵子さんをはじめとした役者さんが素晴らしい。
そしてオープニングに流れる
Francoise Hardy の
「もう森へなんか行かない」が
毎回僕のココロを締め付けた。
当時ミスドのバイトが終わって
自転車を飛ばして家に帰って学生服も
脱がずテレビの前に滑り込んだ。

地方都市に住んでた高校生にとって
東京の郊外の田園都市線の中での
若い2人の出逢いとドロップアウトに
自分自身を重ねてたんだと思う。
テレビでの再放送もなくネット配信
でのTBSドラマチャンネルで
一回再放送しただけ(たぶん)で
DVDにもなってはいない。
コンプラ的にアウトのところがあるんだろうけど
そういう時代はそれはそれで残すべき。
youtube でもほんの少しだけ断片が
アップされてるだけなので
当時観た記憶しかないのだが。
新人デビューだった広岡瞬さんが
彼女役の真行寺君枝さんに黙って
バイクの免許を取って自慢して
後ろに乗せるところとか
真行寺君枝さん扮する電気屋の娘が
母親の岸恵子さんに向かって
「私は電気屋の娘で終わりたくはないの」と言うと
「電気屋の娘で何が悪いの!」
と言うセリフなど今でもココロに
刺さったままだ。
これは「男たちの旅路」で
ガードマンの司令補である鶴田浩二さんに向かって
水谷豊さん扮する新人のガードマンが
「司令補は真面目だからなー」と揶揄すると
「真面目で何が悪い」っていうのと
同じ山田さんお得意の脚本。
「沿線地図」は岸恵子さんの最高傑作ではないか。
(んーいや「悪魔の手毬唄」もあるな。)
笠智衆さん扮するおじいさんも素晴らしく
広岡瞬さんのお父さん役のエリート銀行員
児玉清さん(アタック25 ね)に向かって
「おまえはなーんもわかっとらん」
って。(虎さんの住職さんと同じ)
若い二人の味方だったおじいさんは
ひとり自死するのだが。
とにかく今の自分のカラダの半分以上を創ったこの「沿線地図」、
最終回ってどうなるんだっけ?
もう一回絶対に観たいドラマです。
ネットフリックスがこういうのを
TBSから買い取って配信して欲しいな。

山田太一さん おやすみなさいませ
😔


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