山田太一

(仏)ディストピア川崎で生きる

また寺のすぐそばで、心を覆いたくなるような事件が起きてしまった。またと書くのは近年信じたくない事件が相次いでいるからで、「寺の最寄駅は登戸です」と答えるのも胸が詰まる。被害にあわれた方々に心から哀悼の意を捧げ、事件当事者全員に一刻でも早く平安が戻らんことを、ご祈念申し上げたい。

ディストピア化する川崎北部

ここ川崎という土地には、「北部」と「南部」という区分が伝統的にある。北部(麻生区・多摩区

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【生きるかなしみ】生きることは、なぜ、かなしい?

山田太一・編の「生きるかなしみ」(ちくま文庫)は、このテーマに基づいて選ばれた作品が収録されている。1995年に初版が出されている本だが、巻頭に収められている山田太一の「断念するということ」というエッセイの指摘に、頷かされる。

山田氏は、
『いま多くの日本人が目を向けるべきは人間の「生きるかなしさ」であると思っている。人間のはかなさ、無力を知ることだという気がしている』
『大切なのは可能性に次々

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テレビの見る夢 大テレビドラマ博覧会

テレビ創世期から現在にいたるまで、テレビドラマの歴史を振り返った企画展。和田勉、今野勉といった演出家をはじめ、坂元裕二、宮藤官九郎といった脚本家に焦点を当てながら、台本、スチール写真、衣裳、そして映像などの資料を展示した。同時期に同会場で「山田太一展」もあわせて開催された。

もとより、テレビドラマというジャンルを総覧した本展の意義が大きいことは疑いない。「放送」という言葉に端的に示されているよう

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小説「冬の蜃気楼」の読後感

『冬の蜃気楼』 山田太一著

同世代の著者の小説も読みますが、読み切れないことが多々あります。

人物の描かれ方が希薄に思えて、登場人物の造型に魅力が感じられないことがあります。だから最後まで読めないことが多いです。

先日、図書館に入って書架を眺めていると、目に留まったのが「冬の蜃気楼」でした。山田太一氏の著作です。装丁が何とも言えず、素敵です。

以前「飛ぶ夢をしばらく見ない」という題名の小説

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物語論あれこれ【 山田太一さんについて 】

以前シナリオをよく読んだ、と書いた時に山田太一さんの名を挙げ「一番影響を受けた」と書きました。

最初に触れた作品はテレビドラマ「早春スケッチブック」のシナリオです。お互いに連れ子同士で結婚した夫婦、その息子に本当の父親が接触し、平和だった家庭が乱されます。父親は平凡な生活を送る息子たちに向かって「なんてェ暮らしをしてるんだ」と罵声を浴びせます。山田さんは自分自身に向ける罵声としてこういう物語の必

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異人たちとの夏 / 山田太一

日に日に朝のひんやりとした空気が辛くなる季節になってきたって言うのに、ご覧の通り全く季節外れな本の紹介をする。

何年か前に実家の母の本棚にあるのを見つけ、その表紙の官能さとタイトルに惹かれて、そのまま母の本棚からくすねてきた一冊。
たぶん母に何も言われていないので、この本が母の本棚から消えたことに気付いていないのだろう。

ようやくこの本を読もうと開いたのは今年の9月のことで既に夏は終わりかけて

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ドラマチックとは何ぞや

「あの名刑事が、完全犯罪の謎に挑む!!」
みたいなドラマとか、
「東京都民全てが人質!! ラスト10分、驚愕のどんでん返しが!!」
なんて感じで宣伝されてる映画とか、「ハラハラドキドキ!」の作品も、もちろんドラマチックだと思います。

でも、「事件だ!」みたいな出来事が起きなくても、ドラマチックな作品、ドラマチックなシーンって、あると思うんですよね。

例えば私の好きな作品で言うと、山田太一さん脚

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山田太一の婚活物語

山田太一脚本のテレビドラマ『ちょっと愛して…』を見た。
1985年のドラマだが、2017年の今見ても題材の「適齢期を過ぎた男女の婚活」はとても新鮮な内容だった。女37歳、男41歳、共に初婚である。

私は長らく家族と生家で暮らしており、それがためか独身の間に「人恋しい」「誰かと暮らしたい」と感じたことはなかった。むしろ「一人で暮らしてみたい」が常の願望。
だから、このドラマの柱となる「誰かと暮らし

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