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メンタルメタル

移転のため梱包作業を始めた5月最終週。
あらゆる場所に放り込んでいたボトルをカウンターの上に並べはじめたら眩暈がしてきた。

予想はざっと300程度、たいした労もなく終えられるだろうと思っていた。
しかし並べ始めるとどう見てもその本数で収まっていない。そしてまだ出てくる…こんなに自分が持っているとは微塵も思っていなかった。
もちろんそれだけではなく、グラスに本にレコード、CD。加えて機器類に装飾類。
よくもまあこんなに集めたものだ。
個人店なんて店主の趣味の塊みたいなところがあるから収集癖がないとやっていけはしないと思うけどちょっとやり過ぎていたな…などと反省したところで物は当然減るわけもなく、移転日までの時間が減っていくだけ。気持ちを切り替え、黙々と粛々と梱包を進めた。

初めての店舗移転。とうぜん、自宅の引越しとはワケが違う。
自宅ならちょうどいい機会だし、手放せるものは手放そうという発想も出るけれどそうはいかない。行った先でまた商売をするのだ。まるっと移動させないことには話にならない。
搬出は土曜日の朝。
つまり月~金曜の5日間で全てを終えなければならなかった。
二日目に搬出担当の方が不足しそうな資材をとりあえずの追加、と持ってきていただいた際の顔はなかなか忘れ難い。
先方にとっても予測を超えた状態であったようだ。
然もありなん。当人からして予測していない物量だったのだから。

いま思い出してもあの五日間は久しぶりに追い詰められる五日間であった。
搬出までの時間的プレッシャーもあったけど、なによりは梱包済のダンボールがどんどん店内を埋め尽くし、動けるスペースを喰っていくその様である。

「人って荷物に殺されるんですよ」

とは搬出を仕切ってくれた方の弁であったけど、まさしく。
追い詰められている精神状態。
荷物がスペースを喰っていく店内。
話す相手もいない孤独な作業。
暗澹とするな、という方がムリな相談である。
そんな時、気分転換に立ち寄ったブックオフで見つけた懐かしいアルバムがモチベーションとメンタル維持に高い貢献をしてくれた。

 Live&Loud / Ozzy Osborne

がそれである。
僕の高校時代はHM/HR全盛の時代でして。
Guns N’ RosesやMr.Bigが爆発的に流行りAerosmithが久々のアルバム”get a grip”を発表して(たしか)驚くほど売れていた、今じゃちょっと信じられない時代だったのです(僕の周りだけだったかも知れない)。
話逸れた。戻りましょう。
そんな高校時代の思い出を見つけて、懐かしさと疲れからつい購入(普段ならスルーしたと思う)。爆音でかけて作業し始めたらこれがまあ頗る捗った。手が動くしメンタルもずいぶん上向く。素晴らしい。やっぱり肉体的な音って相応の効果あります。ほぼ毎日、2周は聴いて(…いや、かけていたと言った方が適当だな)いましたね。
さすがに耳には飽きたけど、それでも精神面での効果はてき面だった。
何かでこのジャンルの音はメンタルに良いって話は読んだ気がする。ホントかよ?って思ってたけど本当でした。体験者は語れます。
ちょっと気分が落ちてるなって時に聴いてみてください。騙されたと思って。
僕はHM/HRのおかげでギリギリ荷物に喰われることなく梱包し終えることが出来ました。

そんなこんなで搬出も無事終わり、やっと店舗内装に集中できる段階へ。
この話はまた今度。

ちなみに今回のヘッダー画像は全てを運び出した後、悔しいからコロナ前の配置に戻して撮った画像です。
こんなに広かったんですね。どれだけボトルだなんだと並べておいたのかと思いました。


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