新しい仕事もまだ慣れていないが、それゆえに待ち焦がれた休日。
残りの人生は趣味に没頭しようと決めた転職だ（もちろん仕事も頑張りますよ！）早速、部屋の隅で眠っていたギターを引っ張りだした。

無職中も何度か久しぶりにギターを弾いてみようかと思うことはあった。だが、ギターなんて弾いてる場合かとブレーキがかかったし、たぶん実際に弾いていたらより自己嫌悪に陥った気がする。
しかし、晴れて社会人になった身だ。これで後ろめたい気持ちもなくギターもかき鳴らせるというものだ。

部屋の隅にあったギターは、文字通りケースが埃まみれになっていた。
ああ、ごめんよ。もう何年も放っておいて。
あの頃はお前なしじゃ生きられないと、そんな甘い言葉を囁きながら毎日お前を抱いていたのに。
でも、お前を忘れたわけじゃないんだ。本当だ、信じておくれ。
そんな気持ちでケースを綺麗に拭き上げる。

久しぶりに再会した愛器は思ったより弦は錆びていなかったが、私と同様老けたように見えた。そして少し寂しそうだった。
わかったわかった、弦も変えてあげるさ、だがそれは来週まで待っておくれ。とりあえずお前の体も綺麗にしなきゃとボディを取り上げ丹念に拭いたあとチューニングをした。

Gのコードを鳴らす。
嗚呼、本当に何年ぶりだろう。
コードの音とともに様々な感情が蘇った気がした。
しばらく思うがままに弾いてみる。
あの頃の自分、あの頃の情熱、若くて青かった生活。たどたどしい演奏が、余計にそんな気分を思い出させた。

今回眠っていたギターをたたき起こした理由は明確にある。
当時弾けなかった曲を弾けるようになりたかったからだ。

その曲の名は、
トミー・エマニュエル
『ANGELINA』


すでに輸入版のTAB譜も用意してある。
この曲をなんとか夏までには弾けるようになりたい。あまりに無理なら年内でもいい。
当時ですらあきらめた曲である。試しに今の自分がどれほどかとチャレンジしてみた。

うーん、てんでお話しにならない。
こりゃ、目標は年内だな。