勝手にアナザースカイ

地図は有象無象を表記した、全てなのでしょうか。全てを見通す神の目線にいることを錯覚させる、虚構の偶像なのでしょうか。
すなわち、このような問いに悩んでいます。地図からわかることは、無なのでしょうか。地図を見て人間の社会的な活動を想起することは、妄想に過ぎないとして却下されるべきなのでしょうか。いやむしろ、際限なく想像が可能で、地図を深読みすればするほど真理に近づくことはできるのでしょうか。拡張の限界がないのか、扱う実体がそもそもないのか。

(無限かつ無)にうちひしがれ、追いかけてもキリがないことに気がついたので、そのような思考を惹起させるきっかけになった「地図」や「場所」を紹介します。

0.Google Earth

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部活であまり旅行に出られなかった自分にとっては、ほんとうに大切な居場所でした。
ただ地球儀をグリグリしても面白くないところ、フライトシミュレータなるもので空港から飛び立ち、隣国の空港まで飛んでいけるんです。超楽しいのでおすすめです。月と火星も飛べます。

3Dの地図機能があるだけでなく、ストリートビューも見られることから、その場所に行く前の予習や行った後の復習のときに、役立ちます。
しばらくしたら、いよいよリアルとバーチャルの区別が付かなくなるんだろうなあと思うと、旅行に実際に行く気持ちを失って、うんざりします。(笑)そして、様々な角度でものを見られることで、無限の可能性を感じもします。

ArcGISやQGISでポリゴンを作るのもお手のものです。GISソフトとIllustratorで相互に制作物を触れるようになればいいなと思っています。まずはpython勉強ですかね。

1.池袋駅西口、グリーン大通り、東池袋4・5丁目/豊島区

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都市計画の事務所でお手伝いをしていました。
富士見ヶ丘、新宿、調布、府中、羽田、北千住、白金台、秦野、三軒茶屋、成城…とそのフィールドはさまざまなのですが、
最初から最後までずっと関われていたのがこの池袋地区のお仕事です。

文化芸術のまちでありエリアマネジメントのまち、それから木造密集のまちでもある池袋を舞台にして、

ルールを変えられる立場、すなわち用途地域ごと変えられてしまう立場で街を俯瞰できた経験
ルールに縛られる立場、丁寧な民主的手続きが必要とされる立場で開発を俯瞰できた経験

貴重でした。これからどんなまちになるのか、楽しみです。こんな楽しい仕事をやってしまったがために、今後他の仕事をやろうという気持ちが薄れつつある一方、似た仕事に携われれば、もっと楽しい日々があるのかもしれないなと思ったりしています。

2.奥祖谷/徳島

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電車も国道も通っていない、日本の深山幽谷にある集落は大抵息を呑む美しさですよね。
数多くそんな集落があるし、だいたい、田舎の道などふらっと入れば発見するものだらけで、普段はそれを楽しみに旅をするわけですが、

この祖谷(いや)は、自分の当てのない散策で発見したものではなく、外国人が惚れ込んだ場所*で、それを追体験しようと向かった村です。
なぜ数ある「場所」の中から、日本で、なぜ日本の山奥で、なぜ祖谷なのか、いいところだったけど、そこで祖谷を選んだ理由はなんだったのでしょうか。

人が「選ぶ」という選好行動は、「無」でも「無限」でもないところにいる気がします。ここに、地図だけではわからないことがある、そんな気がしました。

*「Dogs and Demons」を書いたアレックス・カーさんが惚れ込んだ場所。

3.三江線/島根・広島

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日本の鉄道の8割に乗車、あと100本以上の国道を走破しましたが、その中でも一番印象的だった地域交通がこの三江線(さんこう-)です。
広島の三次駅(みよし-)から島根の江津駅(ごうつ-)を結ぶ路線です。

去年だったかに廃線になってしまい、新たな公共交通体系にシフトしました。

廃線や未成線に興味があってよく知ってはいましたが、本当にあった、見た、乗ったものがなくなるのは初めてで、いろいろな人の気持ちを考えるきっかけになりました。

 なくなったら困る人、例えば、たまに乗ってくる乗客の人は、ちょっと喋って、降りていってしまって
 なくなるものに携わる人、運転手さんには本当によくしてもらって、具合が悪くなった自分にレーズンパンをくれて、運転手さんのお家の前を通るときに警笛を鳴らしているのが印象的で
 なくなったあとのことを考える人、役人のひとはいろいろなスキームを構築して困る人が少しでも減るように考えていて。
 なくなっても全然いいよ、だって不採算路線でしょ?という人や
 オレの理論ならローカル線を救える!とトンデモ理論を唱える人。
 鉄道が好きだから残ってて欲しい!というひと、
 それから、現状を的確に捉えて表現活動をする人もいて。

いろんな想いに囲まれながら、やっぱり三江線はなくなってしまいました。

地図は「無」でもあり、「無限」でもある。「無くなってしまうもの」「できゆくもの」はどのように把握されるのでしょうか。

4.高ボッチ山/長野

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(この写真は近くの別の山で撮ったもの→美ヶ原高原)

「野口五郎岳」「人骨山」とかいろいろあるけれど
小学校の時に地図をよくみていて、忘れられなかった「高ボッチ山」に行ったのは免許を取ってから。

電車を撮影するために一眼レフを手にしてしばらく経ち、電車が鉄の箱にしか見えなくなってからは持ち歩くだけで全く活躍していなかったのですが
ここの星空を目の当たりにして、思わずレンズの蓋を外してしまいました。

モノをそのまま切り取っているのか、自分の思うように切り取ってしまっているのか、実体がそこにあるのに語らずしてフレーミングの魔法をかけるカメラはとても不思議です。

空は地図には切り取れない領域の一つです。

5.ჭიათურა市/グルジア

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გამარჯობა!(がまるぢょば!=はろー)
ジョージア、この国は本当に訳がわからないです。もちろん褒め言葉です。

大陸のまっただ中に存在して、いろんな国の渦巻く中で、紛争のない国境などほぼなく、
どの言語系統かはっきりしない言語を持ち、その言語を400万人が話して、
その言語を使ってテレビがあって、新聞があって、文学があって。

あと、犬がそこら中にいて、すぐ吠えてきてかけ回してきて。

そんな国にありながら、さらに訳のわからない様相を呈しているのが、ここჭიათურა(チアトゥラ)市、
発達した侵食谷の底にある中心部と、段丘上に成長した住宅街を結ぶロープウェイが縦横に走る街です。

どんなに地図に空想の物が書き込めても、その想像を上回る現実を発見するのも、人生の楽しみの一つかもしれません。

6.自作アーチェリー場

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(的がド下手ですモザイク掛けますね)

なんだかずっとアーチェリーをやってしまいました。
そのなかで、一番落ち着いてアーチェリーができたのは工事で学校の射場が使えなくなった期間でした

狭いスペースに18mの距離で練習ができるアーチェリー場を作って、大雪の中黙々と射ち込んでいました。

これまで、スカイツリーやゲートブリッジの模型を作ったり、部活のためにパンフレットやホームページを作ったりしましたが、

自分のために、自分でいろいろやるのが好きです。

自分の活動ですら、地図からは想像させることはできないでしょう。

7.小田急線の電車を保存しているところ/群馬

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夢です。電車を自分のものにしてしまうんですって。

小田急1800形(がた)電車は、戦後活躍していた車両で、戦時中は国鉄の車両として作られて、そのあと小田急に払い下げられたクルマで、戦後から高度経済成長にかけて輸送を支えてきたといいます。

on my Twitter: 「通勤鉄道などなくなるに違いない」病にかかってからというものの…趣味があっていいね、と自他共に認めていたころの素直に好きな気持ち郷愁

自分も電車を保存してみたいのですが、何せ電磁気学と構造計算が出来ませんで。

地図から逃れ、時間を形にして保存することを学んだ経験でした。

8.自由民権資料館/まちだ

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(wikipediaより拝借)
「町田は神奈川」とはよく言ったものですが、
だから何?と思ってるひねくれ者の居場所になったところです。

東京としての町田の顔もあるし、武相地域の一員としての町田も、神奈川っぽい町田も全部町田そのもので。町田は神奈川などとそんな言説のために、無駄に社会記号を量産するのは如何なものか。

こういうものを見ると、「地図」という極めて実証的な学問の大切さを感じます。

9.Stratosphere tower屋上の遊園地/ラスベガス

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イかれた遊園地があるものです。

富士急もナガシマもすごいといえばすごいんですが、
こんな真似はできない。ネットなし200m落下なんてありえないですよ。

事故起きちゃってますし。ここ。

この日本にいながらして、このくらいスリリングなアトラクションを作るには、どんなテクを使えばいいんでしょうか。どうやって合意形成をして、どうやって法の支配の中で、実現するのでしょうか。もちろん安全は確保しなければ。

地形図では表せない危なさ。これもなんとか汲み取ることができたら。

10.好き勝手に作る島/minecraft

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何か伝えることがあって製作をするひと、ほんとうに凄いと思っていて。

自分にはどうも一歩踏み出せなくて、100m*400m の未開の島から始まったこの世界の内側で、あることないことを妄想して、ちょっとずつ作って、もう5年くらい。今や10km*10kmの範囲をいじるようになっています。

これらは全部意味のない表現かもしれません。ともすれば、めちゃめちゃ有意義な表現なのかもしれません。

考えてもしょうがないですね。

また、そろそろ外に飛び出したくなってきました。

世界のスキマに一緒に遊びにいってくれる人、
変人を面白がってくれる人、

そんな人たちにこれからもたくさん会えたら
と思います。

では。

❤️

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