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[人生にはBarが必要だ] 第8回 名古屋伏見 AUTHENTIC BAR Kreis

名古屋のグルメといえばいつも賛否両論だ。
いつもJR名古屋駅の住よしのきしめんから始まり、ひつまぶしと言えば あつた蓬莱軒、ヨコイやチャオに代表されるあんかけスパゲティ、台湾には無い台湾ラーメンの巨匠 味仙、山本屋両頭がしのぎを削る味噌煮込みうどん、コンパルのエビフライサンドか堪らない喫茶モーニング文化、一宮発祥のイケ麺 ベトコンラーメン、名古屋コーチンを広めた山ちゃん・風来坊の手羽先、極めつけは甘口抹茶小倉スパで失神寸前の喫茶マウンテン、もう数えきれないくらいの独自食文化を発展させ、私を魅了しつづけるまさに名古屋メシ魔境である。

喫茶マウンテン 甘口抹茶小倉スパ

その名古屋、酒場を語るうえで避けて通れないのは伏見の大甚であろう。大きく「酒」と書かれた暖簾が印象的な明治40年創業の老舗酒場。店内中央付近にあるガラスケースには小鉢がずらり並び、刺身や焼き魚、煮物、酢の物、サラダなど種類豊富でいつも目移りしてしまう。個人的に好きなのは、オーダーしてから焼き始めてくれる卵焼き。これをつまみながらやるぬる燗を飲むひとときは至福である。

名古屋を代表する大衆酒場 大甚 伏見本店の入口

いつものように大甚でサッとお酒をやった後は、もちろんBarへ足が向かう。広小路御園交差点からすぐ、名古屋で70年以上続く江戸前寿司の老舗店 田中寿司本店の上階にお店を構えるAUTHENTIC BAR Kreis(オーセンティックバー クライス)。Kreisはドイツ語で「円」や「人の集まり(サークル)」などの意味を持つ。

AUTHENTIC BAR Kreis 田原 晴久氏

2012年12月にオープンし、丸11年を迎えたクライスのオーナーバーテンダーであり、名古屋きってのカクテル名手である田原 晴久氏。田原さんは、愛知県小原村(現 豊田市)生まれ。バーテンダー歴はアルバイト時も含め、35年間近くの豊富なキャリアをお持ちであり、1992年に名古屋を代表するカクテルバー 芳乃BARのカウンターに立ち、カクテル技術やサービスを研鑽しながら数多くの全国カクテルコンペティションに出場し、入賞を果たしてきた。

Kreisでは、1Fの老舗寿司店 田中寿司の出前も可能
バーカウンターで食べる寿司もなかなか粋である

また、名古屋のBar業界を盛り上げ、けん引していく立場として後進の育成や名古屋Bar文化の発展にも尽力し、2012年に念願であった自店のオープンに至っている。

若いころにはモータースポーツに明け暮れていたという田原さん。今でもF1日本グランプリ開催時には鈴鹿サーキットへ足を運んでいるそうである。

AUTHENTIC BAR Kreis 佐藤 雄平氏

その田原さんの片腕というべきバーテンダーが佐藤 雄平氏。佐藤さんは北海道の最北端都市である稚内ご出身。専門学校の関係でここ名古屋での就職を決め、バーテンダーとして活躍している。

佐藤さんもまた田原さん同様、数多くの全国カクテルコンペティションに出場し入賞を果たしており、そのカクテル技術は折り紙付きだ。私も出身は北海道であるが、ここ名古屋で北海道ネタを話し、盛り上がるのは何とも不思議な気持ちもあるが、実に楽しい時間をいつも過ごさせて頂いている。

札幌すすきの 開陽亭の「うにぎり」

そんな田原さんと佐藤さんのお二人と札幌すすきので飲む機会があり、私の好きな「函館 開陽亭 すすきの店」で、名物の活イカおどり造りをはじめ、新鮮な北海道の海の幸に舌鼓を打ちながら楽しく盛り上がったことがある。

田原さんは仕事柄、なかなか名古屋から北海道へ来る機会が少ないため、まず名古屋では食べることが出来ない捌きたての新鮮で透明な北海道産の活イカや、開陽亭のもう一つの名物である塩水ウニを贅沢に用いた「うにぎり」にえらく感動なさっていた姿を見て、私もつい嬉しくなってしまった。その際の思い出深く、お二人とは、ぜひまた北海道でうまいものを食べようと約束しているところである。

人生にはBarが必要だ。

AUTHENTIC BAR Kreis
〒460-0008 愛知県名古屋市中区栄1丁目4−12 第一御園山田ビル2F
052-231-3223
https://www.barkreis.com/

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