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生物学を斬る#11 【脳】

サムネイル画像が何を表しているかわかるだろうか?

多くの人はわからないのではないかと思う。
答えは記事の最後にのせるが、この絵で面白いと思うのは、一度答えを知ってからもう一度同じ絵を見ると、もはやさっきまでただの模様にしか見えなかったものが、それにしか見えなくなってしまうということである。
つまり、普段客観的だと思っている視覚情報でさえも、僕らは脳というフィルターを通してしか見ることができない。
僕らが認知している世界は(実際に存在している実体をもとにはしているはずだけれども)脳が作り出した情報に過ぎない、ということを改めて思い知らされる。
このように脳は知能をつかさどるため、生物の器官の中で最も本質的な部分であると認識されつつも、複雑なため現状最もブラックボックスとなっている器官でもあり、脳を解明しようとする研究が多数なされている。

自由意志は存在するか?

僕らは脳で、意志によって、何をしようとしているか自分で決めて行動していると信じている。
しかし、脳活動の測定により、被験者が意思決定したと思っている数百ミリ秒前から特徴的な脳活動が始まっていることを示した研究が存在する。
つまり、もしこの研究が正しければ、脳活動の測定により外部からヒトの意思決定を事前に知ることが可能だということだ。
また、これはヒトが自由意志によって決定したと考えている選択は実は無意識の情報処理のうちになされていて、自由意志により意思決定したという認識は完全に後付けかもしれないということを示している。
今日食べた朝ごはん、世紀の大犯罪、あの時言えなかった言葉…
そのすべてがその時々の環境や神経発火のノイズ、それまでの経験等により無意識下で決まっていたのかもしれないと考えると少し複雑な気分にならないだろうか?

ジョジョの奇妙な冒険part2 戦闘潮流① p330

脳の可塑性と可能性

脳の他の特徴として、可塑性(刺激により神経回路の構造・機能を変化させることができる能力)があり、脳は生まれた当初は幅広い環境に順応できる能力を備えているが、臨界期という特定の時期を境目に可塑性は一気に落ちてしまう。
臨界期までにLとRの発音を聞かないで育った日本人は、聞いたヒトよりもLとRの発音の区別がつきにくくなるといったことが知られている。
これは、LとRの音を聞くという環境で育ったヒトの脳は、発生過程で自律的にそれらの音を判別できるように神経回路の編成が行われた(自己組織化・教師なし学習)のに対し、それらの音を聞かないで育ったヒトの脳はそのような変化が起きなかったということだ。

では、脳は可塑性によってどの程度まで能力を拡張することができるのだろうか?
例えば、僕らは3次元空間までしかイメージすることができない。
進化の歴史でできた脳の構造上4次元以上の空間のイメージは不可能なのだろうか?
それとも4次元空間の環境に生きていたら4次元空間もイメージすることができるようになるのだろうか?
人工知能は超高次元空間の処理を行う事で一部の領域でヒトを凌駕する性能を出しているが、可能ならばそのような超高次元空間を理解してみたいと時々思う。

http://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/story/newsletter/page/6030/

「4次元空間の正120面体」
4次元空間には6種類の正多面体が存在しますが,これは120個の正12面体からなるもので,頂点は600個あります。3次元空間への影を模型で表現しました。

http://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/story/newsletter/page/6030/

サムネイル画像の答え:牛

https://www.senju.co.jp/consumer/resteye/damashie/072.html#

脳の可塑性と可能性について、考察している。脳は生まれた当初は幅広い環境に順応できる能力を備えている。臨界期という特定の時期を境目に、可塑性は一気に落ちてしまう。

ELYZA DIGESTを用いて要約
サムネイル画像の出典:https://www.senju.co.jp/consumer/resteye/damashie/072.html#