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伝説の香料「シャム安息香」カイト、トレジャーハンターになる。Season1-Ep.1

キッカケはすごく単純だった。

『何か自分の手でプロダクトを作りたい。』

現在ラオスでの仕事はサービス業ばかりなので、
熱中できるような“何か”を自分の手で生み出したいと思うようになっていた。

思い立ったら吉日。
早速何かあるか考える。

のだが、、、

考えても浮かばなかったので、
お世話になった方に電話(笑)

カイト「ラオスに何か面白いモノはありますか?」

唐突な質問だ。

お世話になった方
「そうだね〜。ミャンマーの不動産市場がラオスより進んでいるから勉強のためそれを見に行くのはどう?」

カイト「不動産は今はピンときません。」

お世話になった方
「タイの北部で冬から春にかけてイチゴ栽培をしている人がいるからODA関連で(現在ラオスで進めているイチゴプロジェクト)見てみるのは?」

カイト「自分プロダクトが作りたいです。せっかくラオスにいるので地の利を生かしてラオスでは何かないですか?」

お世話になった方
「ん〜。ラオスの北のほうで蜂蜜の化石とか松茸とか取れるよ?」

(蜂蜜の化石は面白そうだと思ったが、後から調べてみたら、琥珀なようなものではなく、普通に市場に出回っているものだった。)

カイト「右から左系じゃなくて、何か特別なモノで、かつ加工して販売できるようなものはないですか」

お世話になった方
「あっ、そうだ。ラオスで“安息香”が取れるよ?」

カイト「安息香??って何ですか???」

お世話になった方
「香水に使われる香料の原材料なんだけど、有名なものだとシャネルのNo.5に使われていて、すごく甘くて良い香りがするんだ。昔、日本の企業から頼まれて、その安息香をラオスから輸出しようとしたんよ。待ってね、今資料を送るから。」

安息香に関わる資料が送られてくる。

「香水を作る」なんて面白そうだ。

話は少しずれるが、
そのちょうど1ヶ月前、
日本に帰る途中で経由したタイの飛行場で、
シャワーを浴びた後、
おそらく前の人が忘れたのであろう柑橘系とウッド系の香りを持つスッキリする匂いのオイル?を部屋で発見したので、
勝手に拝借し夜発の便に乗って日本に帰国したのだが、
ほんのり良い香りが翌日まで続いていたのでフライト中は快適に過ごすことができ、
この香り欲しいな〜っと思っていた。

そんな矢先、香水の原料の話が転がり込んできた。
しかも調べてみると香りが高いシャム安息香の生産地はタイ、ベトナム、ラオスだ。地の利も得ている。

※安息香には産地の違う2種類(シャム安息香とスマトラ安息香)があって、
そのうち香りが豊かで希少価値高いシャム安息香がここラオスで採れるらしい)
ビビッときた。

しかし、
お世話になった方がそんなビジネスをしていたことは今までに聞いたことはない。

カイト「なぜやらなかったんです?」

そこには例のごとく、『利権』というものが絡んでいた。

8年前、日本企業からの依頼で安息香の輸出をしようとしていたお世話になった方は、
安息香の手がかりをおってあるフランス人にたどり着いた。

そのフランス人によると、
「ラオスには安息香を原料から抽出する技術や機械がないため、彼は政府の許可を得て独占的に村から原料を買い、輸出する権利を保有している」
のだとか。

そして原料を一旦海外に送って抽出してから、香水の巨大マーケットであるヨーロッパに輸出しているというのだ。

そのフランス人はその時すでに高齢で今も存命かわからないということと、権利を保有していると言っても、結局は勝手に持ち出しているブローカーが何人かいた。

それに抽出した状態であれば、輸出することも可能だと(安直に)考えた。いける。(と安直に思った。笑)

しかし、どこで手に入るのだろう。
お世話になった方の送ってきた資料には生産地は書いていないし、
ネットでいくら調べても、具体的な場所はほとんど記載されていない。
また20年以上前の資料ばっかりで最近の更新情報がない。

木を仕入れている家具工場の人に聞いても「見たことがない」。
林産省に言っても「詳しい人を手配するから、申請書を書いてくれ」。
←時間も、お水代もかかるし、使えない。
ビエンチャンの誰に聞いても「こんなの知らない」の一点張りだった。

手がかりは、ない。

けど、諦めない。
逆にチャンスだと思った。
安息香は木だ。

木なら特徴がある。
別の視点から考えた。

安息香の植生を調べてみると、
その香料の素となる樹脂が取れるのは樹齢7年から20年とのことだった。
資料は20年前のものから更新されていない。

以前ラオス人から聞いた話、
ラオス産「ヒノキ」は有名で、
昔は他国に輸出をしていたらしいのだが、

お金になるとわかったラオス人が乱獲しすぎて、
今はほとんど残っていないのだとか。

(1年半ラオスで仕事をしていて痛感するのだが、ラオス人は目の前のことしか考えていないのかと感じることがある)

つまり仮に乱獲されたとしても、
今はちょうど収穫できる時期に木が育っているということだ。

絶対にある。
根拠のない自信が湧いてくる。

安息香が育つ環境、気温、時期、標高(google mapは強い味方)から安息香がありそうな場所をピックアップし、

生産されていた(る?)大まかな地域から周辺の村をマークして当たってみることに決めた。

情報は近づけば近づくほど信憑性が高まるものだ。

トレジャーハンターみたい。
すでに楽しい。

目的の安息香は実際見たことも匂ったこともないので、
どんなものかはわからないが、
今の時代は便利なもので、
ネットで調べられる限りの情報と画像を、
最近買った文明の石板ことiPadに保存。

とりあえず、
“あるかもしれない”村々に行くのに一番近くの町まで飛行機でいくことに決めた。

ちなみにバスだと2日はかかるようで。
ヒドく車酔いするカイトにはちと、、いやだいぶ厳しい(笑)

荷物はリュックひとつ。
どこに行くのもリュックひとつ。

何が起こるかわからない。
山賊におそわれるかもしれない。

見つかるまでにどのくらいかかるかわからない。
山奥まで探しに行く覚悟だ。

ビエンチャンでは安息香は『ない』と言われた。

「ない」と言われれば、

「あるよ」と答え、

「できない」と言われれば、

「できるよ」と答えたくなってしまうへそ曲がりカイト。

ひとに無理といわれても、
できないと言われても、
後悔するくらいならやる。
自分が納得するまでやる。

下調べをして、荷造りを済ませ、早速明日出発する。

否定がカイトを突き動かす。
絶対見つけてやる。

To be continued...

P.S.
かねてより、
小学以来の友人(おいでよと言ったら本当にきてしまった最初の被害者)がラオスに来ることになっていたのだが、
ラオスに来ても観光する場所はほとんどないので、
トレジャーハンターの旅に一緒に連れて行くことにした。
これが彼にとっては良いも悪いも地獄の始まり。
まさに“旅は道連れ”だ😈

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