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「閑散期の社内リソースを有効活用し、個人向けビジネス領域を開拓」(東京チャネルデザイン)

F&A株式会社は1966年の創業以来、「最先端の技術で未来を創る。」をモットーに、抜型の企画・製造・販売に取り組んできた老舗メーカー。2006年にはシール・板紙用抜き型を得意とした「富士」と、段ボール・樹脂用抜き型を得意とした「アネックス」を統合し、あらゆる抜型作成を可能とした「F&A株式会社」を設立しました。

企画・設計・製造などのトータルパッケージサポート事業として立ち上げた「東京チャネルデザイン」部門も対法人向けの取引が順調に伸びていく一方で、どうしても発生する業務の繁忙期と閑散期の波が課題として上がり、その解決策としてはじまったのが「Web販売」だったそうです。

同社がネットショップ作成サービス「BASE」を使っていかにしてこの課題を解決していったのか、はじめに結論を申し上げますと、活用ポイントとしては以下の通りとなります。

活用ポイント

・法人向けビジネスで培われた「技術」「社内リソース」「機材/設備」など、もともと社内にあったアセットを活かすことで、新たなコストを発生させずに個人向けビジネスに参入されたこと

・未知の領域だった個人向けビジネスの立ち上げ時に、「BASE」というツールの「簡単さ」「低コスト」というメリットを活かしていただいたこと


このように、新たな設備投資や人材採用をおこなわずとも、ターゲットを今までと違う人々へと変更してみるだけではじめられるような新規事業領域での活用方法があります。今回、課題の発見から、じっさいにBASEを活用されるまでの道のりについてF&A株式会社 営業部 関東本部長の山本さんと、同営業部の鈴木さんにお話をおうかがいしました。

オンライン販売に至った経緯

——オンライン販売前、社内でどういった課題がありましたか?

山本さん:当時、取引の95%は法人様相手でした。法人様の場合、需要が発生する時期がだいたい同じなので、繁忙期と閑散期のご発注の波が激しいという課題がありました。

特に、閑散期については「人」と「機械」両方のリソースが無駄になってしまうため、このリソースをもっと有効に活用できないかと考えたのがスタートです。

——具体的にどのようなことからスタートされましたか?

山本さん:まずは、各法人様に向けて作製した数々の実績やや設計士からの提案物を中心にInstagramにアカウントを作って投稿してみました。

我々としては「こういう製品がオーダーメイドで作れますよ」という法人様に向けた「ポートフォリオ(ウェブカタログ)」としてInstagramを活用しようと思っていたのですが、思いがけず、個人のハンドメイド作家様からダイレクトメールでお問い合わせが多数来たのです。

——想定していなかったターゲット=「個人の方」からお問い合わせが来たのですね。

山本さん:はい、そうですね。その後、キャンドルを作られているハンドメイド作家様がInstagram上で弊社の製品をタグ付けでしていただいたおかげで、他のハンドメイド作家様からもご発注いただく機会が増えまして。

うれしい悲鳴なのですが、個人の方ですと、法人様のように振込先口座を登録する依頼書をお送りしてご記入いただたり、経理を通して銀行振込で入金作業をしたり……と、社内もそうですが、お客様にもご負担をかけてしまうことになるという、新たな課題が生まれました。それがBASEを使うようになったきっかけです。

なぜ販売ツールとしてBASEをお選びいただいたのか?

——BASEはどうやって知ったのでしょうか?

鈴木さん:山本から、「ネットショップを簡単に作成・運営できるサービスを探してほしい」と頼まれて、インターネットで「ネットショップ 無料」で検索しました。そこで見つけた、BASEをふくめた幾つかのサービスを候補として山本に提示しました。

山本さん:鈴木から上がってきた候補を見た後に、BASEの事例ページに出ていた他のショップを見て完成イメージがわいたこと、そして鈴木と機能などを調べて相談した上で「BASEが一番使いやすそうだね」という話になりました。

——大手のショッピングモールで出店することは想定していなかったですか? 

山本さん:正直、モールに出店することはもともと構想がなかったです。あくまで「小規模」に「個人の方向け」で運営することを考えていたので。いわゆる「モール型EC」と「カート型EC」という言葉の定義や区別、それぞれの特徴もわからなかったですし(笑)。

——最終的にBASEに決めた理由はどこにありましたか?

山本さん:やっぱり、初期費用も月額費用も「無料」だったからです。新規事業でしたので、有料サービスの場合は数字の根拠(費用対効果や目標)を上層部にプレゼンする必要がありました。無料でしたらそういった必要もなく、スピード感を持って始められますので。

鈴木さん:じつは個人のブログで「BASEを使ってみた」という記事を見たことがあり、そこで「BASEって簡単そうだな」という実感値を持っていたことも大きいです。また、私がプライベートで見ていた個人作家さんのかわいいアクセサリーショップがBASEで作られていたので、「個人もふくめて(いろんな人が)使っている有名なサービスなんだ」と感じたことも影響しているかもしれません。

販売開始前の目標設定について

——具体的な目標設定や、会社からのノルマなどはありましたか?

山本さん:1年目は特に大きな目標金額を設定していなかったんですが、結果としては当初目標の7倍を達成することができました。翌年からは実績がすでにあるので目標設定もしやすかったですが、去年に関しては、目標の3倍を達成できています。

——初年度から目標クリアは素晴らしいですね。

山本さん:はい。でも、ネットショップをオープンして5ヶ月はまったく売れなかったんです。「スタンドボード」という今でも一番の売れ筋の商品があるのですが、これをチームメンバーが設計して、商品としてアップしてから少しずつ売れはじめましたね。

設定した目標に対しての結果について

——初年度から目標売上に対して700%という結果でしたが、社内での評価・評判はいかがでしたか?

山本さん:弊社の場合、商品の素材となる紙やダンボールは、もともとの事業でも使うものなので、「東京チャネルデザイン」の事業のため“だけ”にかかっている実質的な原価は、配送時の送料くらいなんです。つまり、「東京チャネルデザイン」の事業は売上に対しての利益率をかなり高くできるという特徴があります。

もともと、法人様向け取引と個人様向け取引の売上額比率は95:5でして、売上比率は今でもそこまで変わっていないのですが、利益率でいうと10:90と、個人向け取引の利益率を2倍の比率まで高めることができています。

そもそもこの事業は「閑散期にいかに社内のヒト・機械のリソースを有効活用するか」という課題に対してスタートしたので、上記の売上・利益の改善もそうですが、年間を通してさまざまな催事やイベントで安定的に個人のお客様から発注(=ネットショップでの購入)があるおかげで、リソースの有効活用ができたことが一番大きい成果かなと思っております。

——なるほど。他に、定性的に感じられた成果はありましたか?

山本さん:購入されたお客様が催事やイベントで什器を利用されているところを、じっさいに写真に撮りに行ったりしているのですが、「デザインフェスタ」でお声掛けさせていただいたお客様に「あーチャネルさん!いつもお世話になってます!」と言われたときはとてもうれしかったですね。

運営していて気づいたBASEのいいところ

——ちなみに、ショップの運営は何人でやられているのでしょうか?

山本さん:BASEの運用は実質私と鈴木とデザイナーの3名でやっております。管理画面の操作もかんたんですし、我々のうち誰か1人は土曜日も出勤しているので、制作指示や出荷作業、お問い合わせ対応なども3人で問題なくやれています。

——BASEを利用してみてよかった点(活用できた機能など)はありましたか?

山本さん:我々は設計士が常時社内におりますし、制作する機械も社内で持っていることが強みです。ですので、お客様から注文が来てから制作する「受発注型」の商売をすることが可能なのです。最悪1つも注文が来なくても、「ショップの維持費(=月額運用コスト)が掛からない」ことはやっぱり大きな魅力ですね。

また、設計士が新商品を作ったら、すぐその画像をTwitterでツイートして、BASEで商品ページを作って販売開始する……というスピードを担保できるのがいいですね。

鈴木さん:先ほど申し上げたような「本当の繁忙期」になって個人のお客様の対応が難しい時期は、在庫を調整すれば、誤受注をしてお客様を困らせるリスクも防げますし、在庫数の設定をかんたんに素早くできることもうれしいです。

最近、「ロゴデザインを作ります」という商品も追加したのですが、こういった「デザインスキル」のような無形物を販売できることもありがたいですね。デザイナーも社内に抱えている強みも活かせますし。

——なるほど、貴社の強みをうまく活かして商品設計されていらっしゃいますね。

鈴木さん:最近では、既存サイズと完全オーダーメイドの中間として、「セミオーダー」も受けられるようにしています。これも、お問い合わせをいただいた後にお客様とやりとりをして内容と価格を決定した後に、BASE上に「お客様専用ページ」を作ることで、決済フローがとてもスムーズになりました。

先ほど申し上げたように、BASEで運営していなかったときは代金振込の煩雑な手続きがどうしても発生していたので。

今後のショップ展開・展望について

——今後の販売目標や展望を教えていただけますか?

山本さん:定量的な部分ですと、今期は、前期の130%を目標として掲げています。

定性的な部分ですと、世の中には「個人向けに、オーダーメイドの什器を、1個から作れる」というニーズを満たすサービスがじつはほとんどありません。

我々はそのニーズに対して応えられる数少ないネットショップとして、「オリジナル什器と言えば、東京チャネルデザイン」という地位を確立したいなと思っております。

活用ポイント

繰り返しになりますが、F&A株式会社様の活用ポイントとしては以下になります。

・法人向けビジネスで培われた「技術」「社内リソース」「機材/設備」など、もともと社内にあったアセットを活かすことで、新たなコストを発生させずに個人向けビジネスに参入されたこと

・未知の領域だった個人向けビジネスの立ち上げ時に、「BASE」というツールの「簡単さ」「低コスト」というメリットを活かしていただいたこと

このように、新たな設備投資や人材採用をせずとも、ターゲットを今までと違う人々へと変更してみるだけではじめられるような新規事業領域での活用を、みなさんもご検討してみてはいかがでしょうか?

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