独学でTOPIK6級を取る方法

先日、ようやくTOPIK6級を取得しました。韓国語の教室に通ったり、大学で講義をとったりはしなかったので、一般に言う独学だと思います。

作文の点数がちょっと低くて受験生の模範には程遠いですが、6級は6級だろうということで自分を納得させて筆をとっています。この記事の目的は、半分が6級を目指す人向けの解説、もう半分が自分の勉強方法の備忘録です。そのため、中身は自分がどのように試験対策してきたかという経験的な話が主です。各セッションの最後には勉強する上で役に立つツールも紹介してるので、そちらも参考にしてみてください。

なお、本記事はクソ長いです。ご了承ください。



1 全体的な話

1.1 TOPIK6級のレベルとは?

TOPIKにおいて最上級である6級とは、具体的にどの程度のレベルを指すのでしょうか。韓国教育財団は公式サイトで6級の認定基準を次のように示しています。

◆級別の認定基準(全般)
6級
・専門分野における研究や業務遂行に必要な言語(ハングル)機能を比較的正確に、流暢に使用でき、政治・経済・社会・文化などの全般的なテーマにおいて身近でないテーマに対しても不便なく使用できる。

・ネイティブ程度までではないが、自己表現を問題なく話すことができる。

https://www.kref.or.jp/examination/topik

平たく言えば、専門的な韓国語の表現をそれなりに使えるレベルということです。ただ、「ネイティブ程度までではない」という表現が気になりますね。最上級なのにネイティブ並みじゃないの?と思うかもしれませんが、この表現は決して間違ってはいません。

例えば「野原」は韓国語で들と言います。들はNAVER辞書のTOPIKⅡの範囲外ですので、それなりに難しい(とされる)言葉です。しかし、韓国語ネイティブは当たり前にこの単語を知っていますし、自分の発話に組み込んで使いこなします。考えてみれば、日本人も「野原」という単語くらいなら自由に使いこなせるはずです。我々が難しいと思っている単語は、ネイティブからすれば大した難易度ではないものです。

同じことがTOPIKにも言えます。6級の取得に要求されるレベルは我々からすると高いように感じますが、それだけで韓国語を習得したとは言い難いものです。ニュースに出てくる単語を一言一句残らず理解できるのか?韓国語で小説や詩を書けるのか?…自分には無理です。断っておきますが、6級を所持していることで留学や就労で恩恵を受けられるくらいには政府もその能力を認めています。しかし、「TOPIK6級≠ネイティブレベル」ということには留意しておきましょう。

1.2 必要な語彙数は?

結論から言えば、約6000語です。これはNAVER辞書に登録されているTOPIKⅠ, Ⅱのタグがつけられた単語の合計に基づく数字です。ただ、実際の試験では余裕で範囲外の単語が出てきます。ですので、ストレスなく文章を理解するためには、8000~10000語程度あると安心でしょう。6000語はあくまで最低値と考えておくのが良さそうです。ちなみに日本人の日本語の語彙数は3万~5万語程度らしいです。韓国人も同じくらいとすれば、ネイティブの壁は高いですね。

1.3 必要な総勉強時間は?

身も蓋もないですが、人によります。こればかりは個人の母語能力や韓国語の上達速度に影響されるので一概に言えません。目指すレベルが高くなるほど個人差が出てくると思います。

自分が机に向かって対策をした時間は、韓国語力0から始めて計約500時間です。あーそうなんだ、くらいに思ってください。過去問や単語帳以外にSNSで韓国語に触れたりもしていたので、正直何時間韓国語をやっていたのか分かりません。

必要な総勉強時間を考えるのは難しいですが、日々の勉強時間については自分の中で基準があります。6級を取得するために効果的な勉強をするなら、毎日3時間以上韓国語に触れることがおすすめです。

外国語学習ツール(某林檎)の広告で、毎日数分やるだけで上達!みたいなのが流れてますが、あれはライト勢向けの宣伝です。外国語学習は、バケツに水を一滴ずつためる作業のようなものです。つまり、バケツに水をためる速度より水の蒸発が早ければ、いつまで経っても水はたまりません。毎日数分の勉強だと単語の復習すら終わりませんね…。6級の取得はそこまで甘くありません。勉強時間はしっかり確保しましょう。

忙しい方は長期休暇、あるいは土日を活用してください。自分は2週間の夏休み期間中、毎日5時間勉強しました。まとめて勉強すると、復習のスパンが短くなる=繰り返し触れることで脳が重要だと認識するため、上達が早くなります。ここで蓄えた貯金は意外と長持ちするもので、夏休み後は毎日1~2時間程度しか勉強できませんでしたが、そこまで実力が衰えた感覚はありませんでした。


2 各セッション別の対策

2.1 単語

TOPIKにおける単語力は読解、リスニング、筆記全てにおいて非常に重要ですが、その重要性は各項目で話すことにします。自分の場合、新出単語は毎日30~50個覚えていました。一か月で1000単語くらいですね。一日に覚える個数は自分の限界を探って、ギリギリで調整してみてください。ここで頑張って覚えると、いつの間にか理解できる文が増えます。

復習も大事です。自分は復習を毎日150個くらい、新規単語と合わせて一日1時間程度単語に費やしていました。よく知られているエビングハウスの忘却曲線は、一定期間ごとに復習すると再度暗記し直すのが楽になるという法則です。復習には後述するツールを使うのがおすすめです。

韓国語は日本語や英語に比べると一単語あたりに出てくる音素数が少ない傾向にあります。要は기다(這う)、새다(明ける、漏れる)のように短い単語が多いんですよね。単語の暗記には語呂合わせがよく使われますが、こうも短いと語呂合わせを作るにも音が足りないという問題が出てきます。そこで、韓国語については例文ごと覚えることを推奨します。例えば새다を가스가 새다(ガスが漏れる)の形で覚えるといった感じです。털을 털다(毛をはたく)のように、耳に残りやすい文を自分で作るのも効果的です。ちなみに、特定の単語について語呂合わせや例文作成をChatGPTにやらせてみましたが、現時点ではそういうのは向かないみたいです。

ChatGPTにめちゃくちゃ嘘をつかれた図

【単語の対策ツール】
①NAVER韓日辞書

https://korean.dict.naver.com/kojadict/#/main

詳細な解説記事もあります→https://note.com/bashon/n/ndd073ea8082d

辞書でありながら単語帳としての機能も備わっている、TOPIKのために存在すると言っても過言ではない最強のツールです。最高。以下メリットとデメリットです。

<メリット>
・無料
・TOPIK頻出単語のプリセットが存在する
・発音が載っている
・三択クイズで理解度が確認できる
・単語をクリックすると辞書のページに飛べる
・その辞書のページが高機能(例文が豊富、コロケーションが載っている、部分一致検索できるなど)

<デメリット>
・単語帳機能を使うには会員登録が必要
・発音が人工音声&たまに変
・ちょっとだけ動作が重い

いろいろ書いてますが、宗教上の理由がなければ単語帳はNAVER辞書を使いましょう。外国語学習において最難関である単語帳の作成が必要ない他、辞書に飛べるのが本当に便利です(めんどくさがり屋大歓喜)。単語帳の発音が時々おかしいですが、辞書に飛ぶとネイティブの発音が聞けるので一応それで解決できます。

簡単に単語帳の雰囲気だけ紹介します。TOPIK用に割り当てられている単語帳のプリセットがいくつかあり、ここでは中級語彙を開いてみます。

PCでの画面(スマホアプリもあり)

するとこのように単語、発音、品詞、意味、例文が出てきます。辞書に飛ぶというのは、文字通り単語の部分を押すと辞書に飛べるんですね。単語カードには「覚えたチェック」やメモ機能が備わっています。覚えたチェックがついていない学習中のカードだけ表示することもできて便利です。カード連続再生機能と三択クイズ機能もついています。

実際に使用した時は、覚えたらチェックをつけ、どうしても覚えられない単語は作った例文をメモに書いておく、あるいは「覚えられない単語リスト」を作成して放り込むといった感じで、しらみつぶしに覚えました。プリセットとして初級語彙が約2000語、中級語彙が約4000語登録されています。中級語彙まで一周するころには、大きく語彙力が上がっているはずです。

②reminDO
単語の復習間隔を自分で考えるのは骨が折れるので、「reminDO」という復習間隔を教えてくれるサービスを使っていました。

例えばreminDOに「中級1」と打ち込んだら、一定の日数が経つごとに「中級1」を復習しろと教えてくれるわけです。復習間隔は自分で設定することもできます。

ちなみにAnkiという単語帳を使えば単語帳内で復習間隔の計算をしてくれます。Ankiも素晴らしい単語帳ですが、自分で単語帳を作る必要があるのと使い方が難しいので、ここでは紹介しません。


2.2 読解

前提として、読解力・読解速度を上げたければ単語力をつけましょう。知らない単語が出てきたときに毎回意味を予想していると時間を食いますし、文の内容にも集中できません。70分間は意外と短いので、いかに効率よく文が読めるかが大事です。TOPIKに出てくる文はそこまで専門的すぎない上に論理的な構成をしているので、単語の意味さえ分かれば文意が分からずにつまづくことはないと思います。内容の難易度は、難しくても博物館の解説文くらいな感じです(それなりに難しいけどあくまで一般人向けの説明)。

【小問別対策】
個別で対策が必要な問題を紹介します。問題番号は第83回のものです。
逆に言えば、以下に示す問題以外は語彙力と読解力で殴るだけです。

<1~4番>
連結表現に関する問題です。頑張って覚えましょう。自分が使っていた下のテキストには連結表現が30ページ以上載っていて、かなり参考になりました。意外とよく使うものばかりなので、この機会に一通り覚えたほうがいいと思います。

<13~15番>
文の並び替え問題です。対策というよりチップですが、選択肢を見ると最初に来る文は2種類しかないことが分かります。ですので、先に選択肢を見てから文を読むようにすると時間ロスが減ります。

<21番>
慣用句を埋める問題です。上のテキストに慣用句・ことわざ一覧も載っているので参考までに。慣用句を覚えていなくても日本語に似ている表現が多いため、意味を推測できる場合があります。できない場合もあります。(慣用句関連はこの問題しかないので、最悪捨ててもおk)

<23, 24, 42, 43番>
小説を読んで、筆者の感情と内容に関する質問に答えます。特に42, 43番は小説特有の単語選びが厄介で、個人的に全問題中で一番難しいと思います。感情を選ぶ問題の選択肢は、事前にストックされた単語の中から選ばれるらしいです。上のテキストに感情を表す単語が載っているため、見ておくことをおすすめします。NAVER辞書の単語帳だけでは、その手の単語がTOPIK用としてほとんど登録されておらず、カバーしきれません。

【読解の対策ツール】
①KBSニュース

動画についているスクリプトを読むだけでも勉強になります。ついでに韓国社会の情勢も分かって一石二鳥です。

②나무위키
https://namu.wiki/w/%EB%82%98%EB%AC%B4%EC%9C%84%ED%82%A4
韓国版Wikipediaなのですが、本家より面白くておすすめです。

世俗的な内容が豊富で、Wikipediaというかニコニコ大百科やピクシブ百科事典に近い気がします。例えば、韓国で有名なミームの一つである무야호を調べると…

https://namu.wiki/w/%EB%AC%B4%EC%95%BC%ED%98%B8

出てきました。皆さんはこんなことより韓国の祝日とか調べたほうがいいと思います。


2.3 リスニング

リスニング問題は本来、聞く力を測るために行われます。しかしTOPIKのリスニングでは語彙力と読解力が必要です。

まず出てくる単語が普通に難しいです。박탈(剥奪)や발효(発酵)といった、読解問題に出るような単語が平気で出てきます。過去問の中で一番印象に残っているのは、해마という単語です。漢字では海馬と書き、英語に直訳するとseahorseとなることからも、タツノオトシゴであることが分かります(分かりません)。この問題では動物のオス、メスを表す単語も出てきたりして何の話をしているのか全く分かりませんでした。こうした例は極端ですが、語彙力が必要なのは間違いありません。

読解力も必要なのは、問題の選択肢が文章になっているためです。音声が始まる前に文を読む感じになりますが、文が長ったらしい上にインターバルが短いため、読み切れないケースも多々。そうは言っても音声が流れている最中に文を読むのは難しいです。リスニングでは、音声についていくために読解速度が要求されます。ただ聞き取れればいいわけではないというのが、TOPIKのリスニング問題の難しさです。

自分はそもそも聞く能力が無さすぎて対策法が分からなかったので、第35~83回までの過去問に加えて対策本の模擬試験3回分を各2周、つまりひたすら過去問を解いていました。過去問の音声は、ネットにmp3ファイルが転がっています。
(例)https://kajiritate-no-hangul.com/KENTEI/TOPIK_data.html

【リスニングの対策ツール】
①Audipo
mp3ファイルを聞くうえで便利なツールを2つ紹介します。まずスマホを使っている方は「Audipo」というアプリがおすすめです。mp3ファイルを読み込ませるタイプの音声再生アプリで、実際に使うとこんな感じ↓です。


画面下の再生ボタン左右に「任意の秒数を巻き戻し・早送り」ボタンがあり、これがめちゃくちゃ便利です。今なんて言った?と思ったら少しだけ戻して同じ部分を聞けます。また、音声のある部分が表示されるため、どこから問題が始まるか一目で分かるのも嬉しいです。音声が最後まで流れると、フォルダ内の次のファイルに自動で切り替わります。

画面分割できるタイプのスマホを使っている方は、このように上部にAudipo、下部にスクリプトのpdfファイルを表示しておくと、いちいち画面を切り替える必要がなくてストレスフリーです。


②VLC media player

PCでmp3ファイルを読み込むなら、「VLC media player」というソフトをおすすめします。

音声ファイルを読み込むと、ご覧の通り画面は非常に簡素です(動画ファイルを読み込むと真ん中に動画が再生されます)。ショートカットキーを設定すると、数秒の巻き戻し・早送りが可能になります。こちらも画面を分割して片方に再生ソフト、もう片方にスクリプトのpdfをうつすと便利です。

③Netflix
皆さんご存じ、動画視聴サービスです。オリジナルの韓ドラ作品が数多く公開されていることもあり、Netflixは韓ドラに強い印象があります。最近有名になってきましたが、Language ReactorというChromeの拡張機能を合わせることで最強になります。字幕の任意の部分に一瞬で移動できる、同じ箇所を何回も再生できるなど、非常に使いやすいです。利用法を解説している人がたくさんいるので、詳しくはそちらを参照してください。

④Youtube
字幕の便利さという点ではNetflixに劣りますが、より好みに合った動画が見つかりやすいと思います。K-pop関連やモッパン(大食い)の動画が多いのは韓国ならではですね。スマホアプリなら設定から画面をダブルタップしたときの戻る・進む時間を変更可能で、5秒にするとちょっと聞き取れなかったときに戻れて便利です。

⑤EBSi
https://www.ebsi.co.kr/ebs/xip/xipa/retrieveOnlineExam.ebs?cookieGradeVal=high3

マニア向け教材です。韓国の高校生は수능と呼ばれる、日本でいうところの共通テスト、センター試験のようなものを受けます。このサイトでは、수능の対策講座がなんと無料で見られます(字幕もあり)。TOPIKでは専門的な話も出てきますので、意外と参考になるかもしれません。分かりやすく話してくれていると思うのですが、大学受験対策の内容ということで普通に難しいです。全然分からん。

2.4 作文

よくTOPIKの作文は難しいと言われます。各科目の平均点を見てみると、回によりますが大体は
・듣기:50~60点
・쓰기:30~40点
・읽기:50~60点
です。作文の平均点は他の科目よりはるかに低いんですよね。じゃあ作文は難しいからできなくてもしょうがないのかというと、その逆です。作文は皆できないからこそ対策するべきです。さらに言うと、対策すれば54番の長文であろうと絶対書けるようになります。ただ、練習量はかなり必要です。参考までに自分は5級取得後、6級をとるまでに400字詰め原稿用紙を約50枚使いました。

個々の問題を解説する前に、最後まで書き終わることを前提とした時間配分について考えてみたいと思います。リスニングと作文が合わせて110分、そのうち約60分はリスニングなので、作文に使える時間は約50分です。これを踏まえた理想の時間配分は次のようになります。

・51番:会話的文章の穴埋め、約10字、2分半
・52番:説明的文章の穴埋め、約10字、2分半
・53番:グラフを読み取って説明、200~300字、10分
・54番:論説文を記述、600~700字、35分

終わりそうですk無理ですよね。でも練習すれば、最終的にこの配分で書けるようになります。

【小問別対策】
<51番>

会話的文章の穴埋めです。52番もそうですが、文字数は特に決まっていません。하기로 했다しか埋まらず5文字だけ!?と困惑することもありますが、自然なら問題ありません。51, 52番はとにかく早く解く部分です。ここで巻いた分だけ長文作文が楽になります。時間を食わないためにも、尊敬表現や部分否定(항상 ~하는 것은 아니다:必ず~するとは限らない)は抑えておいて、すぐ出るようにしましょう。覚えておいたほうがよさそうな尊敬表現をまとめておきます。

・~해 주시겠습니까? / ~해 주시겠어요?:~していただけますか?
・~해 주시기 바랍니다:~していただきますようお願いいたします
・~하실 수 있습니까?:~するのは可能でしょうか?
・~해도 괜찮으십니까? / 되십나까?:~しても大丈夫でしょうか?

<52番>
説明的文章の穴埋めです。これ以降の問題では、文章語特有の한다体を使って書いていくことになります。한다体で書く際は間接話法に気を付けましょう。例えば접하다(接する)は動詞なので、한다体では접한다となりますが필요하다(必要だ)は形容詞なので変化しません。間接話法で使用する際も同じなのですが、つい접하다는 것、필요한다고 하다と書いてしまうことがあるので注意しましょう。

<53番>
グラフを読み取り、数字の変遷やその理由、将来展望を200~300字でまとめます。過去には大衆媒体の特徴をまとめる問題などが出たようですが、最近の傾向はグラフの読み取りな気がします。どんな問題でも共通して言えることですが、自分の意見を書く場ではありません。書いてあることをまとめるのに専念してください。

文を書くときは構成を意識しましょう。序論、本論、結論の順で書くだけで論理的な文章になります。というかTOPIKの作文では、論理的な文章を韓国語で書けるか見ているんですね。「論理的に書け」が作文の根幹です。自信がなければ実際の問題を使って練習してみてください。その際、まずは日本語で書かれることをおすすめします。日本語で書けないことは韓国語で書けません。せっかくなので、第83回の過去問を使って問題へのアプローチをやってみようと思います。

問題文を読むと、「次は인주市(TOPIKによく出てくる謎都市)の世帯数変化についての資料である」とありますね。グラフが二つ、原因と展望が書いてあります。これらの内容を、具体的な数字とともにまとめてみましょう。

序論
・このグラフは인주市の世帯数変化についての調査だ

本論
・인주市の世帯数は2001年には15万世帯だったのが、2021年には21万世帯まで1.4倍増加
・世帯別の比率では1人世帯が大きく増加、2~3人世帯は少し増加、4人世帯は大きく減少
・原因は①20代の独立の増加 ②高齢者世帯の増加
・2040年までに1人世帯が43%以上になる展望

結論
・調査結果から인주市の世帯数変化に関する情報がわかる

内容が分かれば、あとは順に韓国語に直してつなげるだけ。頭が良さそうな表現を使うと加点される、嬉しい仕様です。なお、53番の序論と結論は簡潔でいいです。最近の問題は情報量が多いので、文字制限を超えるなら最悪結論は書かなくてもいいと思います。その他時間短縮のコツとして、構文化してしまうと楽です。自分の場合、グラフが出てきたら必ず序論は「이 그래프는 ~에 대해 조사한 것이다」、結論は「조사 결과 ~를 알 수 있다」と書いていました。

<54番>
与えられたお題に対し、600~700字で自分の意見を述べます。何よりも大事なことは、最初の5分で日本語のメモを作ることです。理由としては、文全体の整合性をとるためです。夢中になって書いていると最初と最後で意見が食い違ってくることがあるので、書く内容を最初に決めて論理的な構成を目指します。メモに書く内容は①テーマ ②本論の誘導質問&それに対する回答がおすすめです。具体例として、第83回の過去問でメモを作ってみます。この回のテーマは抽象的で難しいですが、近年は書きやすいテーマが増えている気がします。

(日本語)
創意力は新しいことを考え出す能力である。現代社会は個人に創意力をより多く要求する。以下の内容を中心に、「創意力の必要性とこれを育てるための努力」について自身の考えを述べよ。
・創意力が必要な理由は何だろうか?
・創意力を発揮するとき得られる成果は何だろうか?
・創意力を育てるためにどんな努力ができるだろうか?

以下実際のメモの例です。5分で作りたいので、各項目1,2行でいいです。主張の骨格を作るイメージで、各項目がつながるようにします。

「創意力の必要性と育てる努力」
・創意力が必要な理由
    前例がない問題への対応=新しいことを考える思考力
・創意力で得られる成果
    近年増えた社会問題の解決
    ex) 会社の幹部→雇用格差や賃金問題への対応
・創意力の育て方
    インプットがなければ新たなアウトプットは難しい
    ex) 本を読む、様々な人と出会って話す→新しい知識の蓄積

日本語で書くと、後からテーマや本論の内容を確認しやすくて便利です。とにかく時間がないので、自分は本論のみメモを作って序論と結論はその場で考えていました。序論では用語の説明や近年の動向を書くといいです。今回のテーマなら、「創意力とは新しいことを生み出すために必要な思考力を指す」「近年、社会では個人に創意力が必要とされる」のように書くと本論へ繋げやすくなります。結論では本論の各項目をまとめる&今後の展望を書きましょう。「創意力とはこういうもので、こういうことに有効だ。創意力を育てるにはこういうことが必要で、現代社会では今後も不可欠だから意識して育てよう」といった感じです。

文字数は、序論、本論①、本論②、本論③、結論を各120字(原稿用紙6行)程度で書くと600字に達します。100均に400字詰め原稿用紙が数十枚入りで売っているので、実際に書いて文字数の感覚をつかみましょう。その他、模範解答に使われている便利そうな表現は自分用にまとめておくのがいいと思います。

【作文の対策ツール】
①HOT TOPIKⅡ 쓰기

最高の作文練習用テキストです。圧倒的な数の練習問題、加点につながる表現、54番で出題されやすいテーマのリストなど、作文に必要なノウハウが全て詰まっています。また、模範解答とともに「良くない例」が掲載されており、比較することで自分の文章に何が足りないのか、細かく理解することができます。本国で売られている教材のため中身は全て韓国語で書かれていますが、6級を目指すくらいの人であれば困らないと思います。

②ChatGPT

https://chat.openai.com/

作文を練習していると、54番で難しいテーマに出会うことがあります。自分は「未成年の犯罪を処罰するべきかどうか」という、これまで考えたことがないテーマを見たときに困りました。そんなとき、ChatGPTが役立ちます。試しに賛成側、反対側の意見をそれぞれ聞いてみましょう。

普段は無難な意見しか出さないポンコツAIですが、このように一般的な意見を知りたいときは逆に重宝できます。適材適所ってやつですね。54番ではあらゆるテーマが出るので、日ごろからニュースを見るなどして自分の意見を持っておくことが大事だと思います。

③DeepL翻訳

2023年1月、ついにDeepLが韓国語に対応しました。これまでGoogle翻訳やPapagoが韓国語⇔日本語翻訳の主流だったと思いますが、圧倒的に精度の高いDeepLを使えるようになったのは嬉しいですね。こういう表現をしたいんだけど、どう言えば自然かなと思ったとき瞬時に調べられるのが非常に便利です。完全に頼るのは危険ですが、かなり参考になります。Chromeの拡張機能を使うと、webサイトの文章をその場で翻訳出来ます。

Google翻訳との比較ですが、もともとGoogle翻訳は非英語同士の翻訳において、英語を介する仕組みでした。「りんご→apple→사과」のような翻訳方法です。2016年にニューラルネットワークを利用した翻訳法に変更されて精度が向上しましたが、英語を介さない直接翻訳が行われるようになったという事実は見つけられていません。今も明らかな誤訳があることを考えると、韓国語⇔日本語の直接翻訳は実現していない可能性が濃厚です。DeepLは翻訳システムが完全にブラックボックス化されていますが、精度を見るに、おそらく直接翻訳が行われていると思われます。こういった理由で自分はGoogle翻訳よりDeepLをおすすめします。

3 まとめ

本文が長くなってしまいましたので、TOPIK6級をとるために必要な勉強のまとめを簡潔に示します。この記事が参考になれば幸いです。

<単語>
・6000語覚える
・例文ごと覚える
・NAVER辞書使う
・反復学習する

<読解>
・連結表現覚える
・感情表現覚える
・読解速度上げる
・読む読む読む読む

<リスニング>
・語彙力と読解力鍛える
・聞く聞く聞く聞く

<作文>
・時間考える
・表現覚える
・論理的な構成を意識
・書く書く書く書く

4 紹介しきれなかったツール

・Hello talk
ネイティブと交流できるアプリです。使い方は人によりけりですが、自分は全体のTLに質問をぶん投げていました。助け合い精神の雰囲気があり、皆親切に答えてくれます。たまに変な人もいるので注意。

・우리말샘
https://opendict.korean.go.kr/main

韓韓辞書ですが、その大きな特徴は語源が載っていることです。時代別の例文も見ることができ、学習用より研究用のツールという印象です。


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