最終テスト中

 自分のゲームをいい加減公開しようと思って最終テストをやっている。

 しんどい。作業量とかじゃない。手を加えるところはもうほとんどない。テスト自体はもう何周したかよくわかっていないけど、大量のセーブデータから推察するに(少なくとも2017年からカウントして)六周ぐらいやっていたらしい。なのでこれが七周目になる。さすがにそれだけやればバグのようなものはだいたい根絶される。

 いや実を言えば、修正したい点自体は見つかる。が、もうリリースを急ぎたいので、ほとんど無視する。表記ゆれのチェックとかもうしたくないし、バランス調整もやらない。ただちゃんと最初から最後までやって、途中でエラーを吐かないかとか、ちゃんとコンプ要素埋まるかどうかとか見る。それだけ。

 で、それの何がしんどいのか。

 プレッシャーがある。それ以外の何ものでもない。緊張している。たかだか一個人が無償で配布するだけのもので、遅れても文句が出るわけでもないのに。

 だいたい公開したからといってそんなに遊んでもらえるかもよくわからない。遊んでもらえたらもちろん嬉しいけど、昔作ったものを改訂しただけではあるのでちょっと恥ずかしい。公開後、身近な人に「プレイしてみたよ」みたいなこと言われたら、さらに「ひゃ~」となってしまうだろう。ばじるという人間が昔あれを作っていたという意味でも、そしてそいつが最近までこのゲームの改訂作業をやっていたという意味でも、何だか面白いと思う。べつにそういう消費をされること自体はかまわないし、むしろそれぐらいに見ておいてほしい気持ちはある。(昔公開したときもそんなことを言ったかもしれない。)

 ゲームとして面白いかどうかはもう客観的に判断できない。少なくとも七周目のテストをやっていて面白くは感じない。そんなことは当たり前かもしれないが。まあ自分の作品である点を抜きにしても、周回に耐えるような作品にはなっていないし。最近まで『新約・帽子世界』をやっていたのもあって余計につまらなく感じる。

 もっとも、自分の作品のテストプレイはやればやるほどつまらなく感じるものだろうし、やがて憎くなっていくことさえ珍しくないだろう。実際、かつて公開したときはそうだった。時間的な都合もあったけれど、とにかく制作から解放されたい一心でテストよりも公開を優先してしまった。バランス調整は明らかに不十分だったのだが、制作中、動作確認だけは念入りにしていたつもりだったし、当時テストプレイしてくれていた友人もいたから大丈夫だろうと思っていた。ふつうに甘かった。途中でエラー落ちするデータをVectorにアップしてしまっていた。

 なぜそんなことになったのかと言えば、遅れて届いた用語集などを申請間際になって実装したからだが、プレイヤーからすればそんな事情は知ったこっちゃない。ゲームバランスについても同様だ。マイルドに言っても、「納期も何もないはずなのにどうしてこんな状態で急いでリリースしたんですか?」って話になる。感想をいくつかもらった一方で、そこに至るまで、いろんな声が自分のもとに届いた。

 トラウマになっている。大きく支障をきたすようなバグなんかもうおそらく見つからないだろう。それなのにまだテストしてしまう。べつに公開後様子見つつ修正すればいいようなものでも、気づいたら直してしまわないと落ち着かない。まだ不備があるのではないかと考えてしまう。どうせ残ってる。いくらでもある。だから諦めたい。諦めてさっさと公開してしまいたいのに、公開すると考えると重たい気持ちになる。胸がざわつく。不安になる。嫌な汗が出る。じっとしていられない。他にやりたいことがあっても集中できない。だからとにかくテストを進める。無心に。執拗に。見飽きた光景が繰り返される。変わらない結末を見届ける。物語を変えたいと思っても、諦めなければならない。満足しなければならない。そうしなければ本当にループに陥るから。これ以上公開を遅らせるのはもう意味がない。何年も停滞してる。他に作りたいものがいっぱいある。さっさと次に進みたい。

 作業量は大したことないのにいちいち疲れてしまう。公開前って緊張するとは思うけど、もっとドキドキするものかと思ってたよ。あとなんだかんだワクワクしたりとか。でもいまはキリキリしてる。ピリピリしてる。ギャーって感じだ。しんどい。

 なんかここで終えると暗い日記になっちゃうな。暗い気持ちで書き始めたのは事実だけど。

 どうせ公開されたらわかることだし、もうこの際書いちゃいます。タイトルは『Apocrypha of Atelier』ってやつです。変なタイトルですよね。AoAって略します。アトリエシリーズは一作もやったことないです。ググったら自分の書いた変な文章とかがいくつか出てくると思います。(改訂版との混同を避けるためにそろそろ消す予定だけど。)恥ずかしいけどまあ読んでもらって困るというほどのものではないし、読んでもらっても大丈夫です。恥ずかしさはあるけど関心をもってもらえたことにちょっと嬉しい気持ちにならないこともないし。あーでも「まあそういうこともあったんだね~」ぐらいに流してほしい……恥ずかしいのは確かなので……

 改訂されたゲーム本編は面白いかわからないけど、まあたぶん面白いでしょう。面白いのでやってみてください。そう、めっちゃ面白いです。めちゃめちゃ面白いんですが、今後はもっと面白いゲームを作る予定です。「存在一般の意味を知るRPG」とかわりと作りたいんですよね。まあRPGを連続で作るのはしんどいしすぐにはやらないと思うけど。その前に作っておきたいADVとかもあるからそっちかなあ。

 AoAも面白いからやってね。

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