ユーザーインターフェースの向上に貢献した方々の話

あこがれだったMacのユーザーインターフェースの神様、Bruce Tognazziniさんと会えた喜びの回。

内容的には、それだけでなく今や当たり前になってるUX(ユーザーエクスペリエンス)をかなり早い時期に取り上げた記事で、なかなか興味深い内容になっています。でも僕もプログラマ、UIを設計して実装していた側なのでUI重視の考え方で語ってしまっているのは若さゆえであろうか。いまなら、もうちょっと違う言い方になるかなーとも自分では思ってます。UIは重要な一部分だけど、何を提供したいのかがはっきりしていないプロダクトはどんなUIを持ってきてもぼやけるだけで、まずは中心をしっかり考えてからそれを届けるUIを見つけていく、そういう流れ、考えだと思います。

さてTogさんの伝説の本、Tog on Interface はいまだ中古市場に出回っております。

なかなか手軽に手に入れられる値段ではないのですが、歴史にも価値のあるこの本、ぜひお手元に。UIと言っていますが上記のように何を伝えたいのかを決めなければUIは考えられないことがいろいろわかります。エッセイ方式なので英語ですが読み進めやすいと思います。

そしてさらに続編も出ています。

もうちょっと幅を広げて、UIからソフトウェアデザインに幅を広げています。実はぼくはこの本は一度立ち読みをしたんですが買ってなかったのでした。あれは、95年ごろ、まだAppleの本社がInfinity Loopにあって一階に本屋が入っていた頃ですねー。あそこで立ち読みしたんです。というわけで、思い立ったが吉日、早速注文してみました。来月到着。楽しみです。

この本が出たのが1995年、Windows 95が出た年ということもありますが、パソコン用のソフトウェアが急速に肥大化していく時期でもありました。それまでは作りたいもの、便利なものをただ提供できればよかったのですが、ユーザーが正しく機能を使えること、使えるように導いていけるようにソフトウェアを作っていくかが大きなテーマになっていました。使いやすいことで定評のあるMacintoshだって、ソフトの扱うエリアが拡大していくに従って混乱が生じるようになってきていました。まぁなによりこの時期、MacOS自体が混乱はしていたのですがw。

さて、この本から数年後、TogさんはNielsen Norman Groupに参加します。最初で書いているTogさんの来日も、このNN/g での仕事としてきていました。この組織が世に残した影響はとても大きく、ソフトウェアのインターフェースにとどまらず、何かを操作するインターフェースを設計する人は多かれ少なかれ影響を受けている言っても過言ではありません。

立ち上げ時の二人は、Jacob Nielsen (ヤコブ・ニールセン)さんと Dr. Don Norman(ドン・ノーマン)。ヤコブさんはSunのエンジニアだったのですが、個人のウェブサイトで発表したユーザーインターフェース論が高い評価を受け、その後独立します。ユーザビリティという用語をソフトウェア業界に広めた人の一人です。

かたやドン・ノーマンはもっとアカデミックな人で、年代も一回り上です。ユーザー中心のデザインという考え方を広めた方です。ぼくがNewtonに夢中になっていた時代のAppleのフェローで、その時期のAdvanced Technology Groupに所属していたと記憶してます。

実は前にAppleの本屋に行った時に、駐車場でドン・ノーマン本人をみつけて、サインをもらいに行ったのがいい思い出です。紙がなかったので持っていたNewton MessagePadにデジタルなサインをもらいました。いま、ふとあのサインはまだあるのかとNewton引っ張り出してみましたが、一瞬電源が入った後にプツってお亡くなりになりました。

最後の時を迎えたNewton MessagePad 2100

アメリカ来てから何回か火を入れた覚えはあるんですが、ついに最後の時を迎えたようです。というわけでドン・ノーマンのサインはお見せできないのですが、90年代のNewtonのイベントで誰かにビームしてた気もしますので、今もどこかで生きているかもしれません(用語が謎な方はスルーしてください)。

ということで、懐かしのユーザーインターフェース界隈の方々の話でした。

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