天皇賞春2022参考レース分析、展望

 ディープボンドとタイトルホルダー。日本の長距離界を引っ張る2頭の激突。この2強に割って入ることのできる馬はいるのか。それだけを焦点に参考レースの回顧、分析を行います。まずは2つの前哨戦、そして有馬記念、ステイヤーズS、ダイヤモンドSの順で。これだけ見れば今の日本の長距離界が分かると言っても過言ではない。かもしれない。。。


GⅡ阪神大賞典(阪神3000m 別定)

1着 ディープボンド(57.0)
2着 アイアンバローズ(56.0)
3着 シルヴァーソニック(56.0)
4着 マカオンドール(55.0)
5着 ユーキャンスマイル(56.0)
7着 トーセンカンビーナ(56.0)

レースラップ〉13.0-12.0-12.6-12.6-12.9-12.7-12.3-12.7-12.6-12.6-11.9-11.6-11.6-11.5-12.4

 レースラップを3つに割ると前63.1-中62.9-後59.0。残り1000mからペースが上がり、中距離レースのような流れ。例年にないSペースで、トップスピードの上限値が低い馬には厳しくなった。
 その影響をモロに受けたのがユーキャンスマイルトーセンカンビーナ。前者は衰えによるスピード能力の低下、後者はズブさを見せペースアップについていけず。ユーキャンスマイルはもう厳しい感じがするが、トーセンカンビーナはタフで上がりのかかる競馬なら。
 アイアンバローズはやや掛かったもののスローの二番手で、力は出し切った。シルヴァーソニックも内ラチ沿いを回る好騎乗によるもの。マカオンドールは仕掛けが遅すぎた印象で、斤量3kg増もあって伸びなかったか。
 そんな中でも大外ぶん回して勝ちきったのがディープボンド。ズブさは増しているようにも思えるが、この馬が上がり最速。この馬のみ57.0kgで、得意とは言えない展開。正直役者が違う感のある勝ちっぷり。

ディ≫アイア>マカオ≧シルヴ≧ユーキ>トーセ


GⅡ日経賞(中山2500m 別定)

1着 タイトルホルダー(57.0)
3着 ヒートオンビート(56.0)
4着 クレッシェンドラヴ(56.0)
5着 ハヤヤッコ(56.0)
11着 ディバインフォース(57.0)

レースラップ〉6.9-12.0-12.6-12.6-12.7-13.4-13.4-12.8-12.3-12.0-11.7-11.2-11.8

 下の有馬記念のラップと比べれば一目瞭然、かなりのスロー。タイトルホルダーが一本被りの人気で、各馬が「タイトルホルダーを行かせて…」という競馬を選択。
 向正面からペースが上がったとはいえ、タイトルホルダーはそこまで離そうとはせず。4角を1〜4番手で回った馬がそのまま1〜4着に残るレースとなった。
 タイトルホルダーはペースを抑えたことが自身の首を締めた印象で、トップスピード勝負だと危うさがあることを露呈。ただそれでも勝ちきったことで強さを示した。
 ヒートオンビートは堅実派そのものという走り、クレッシェンドラヴは渋った馬場と前目につけた好騎乗。ハヤヤッコは阪神大賞典2021のシロニイ枠。
 この流れと展開では捲くっていけない後方勢には厳しく、ディバインフォースなんかはまさに。前が速くなって潰れる形でないと好走できないことが分かった一戦。

タイト≫ヒート>クレッ>ハヤヤ
(ディバインフォースは明らかに展開向かず)


GⅠ有馬記念(中山2500m 定量)

2着 ディープボンド(57.0)
5着 タイトルホルダー(55.0)
9着 ユーキャンスマイル(57.0)
15着 メロディーレーン(55.0)

レースラップ〉 6.9-11.3-11.6-11.5-11.9-12.5-12.6-12.2-12.4-12.4-12.2-12.0-12.5

 後にドバイターフをも逃げ切るパンサラッサの参戦で、総決算に相応しい締まった流れに。前半は11秒台連発で、ある程度後ろからも差してこれるペースとなった。
 2着に入ったディープボンドは3角〜4角の運びがパーフェクトで、やや恵まれたと言っていい内容。ただ内々を立ち回ることができるというのも能力の証。
 タイトルホルダーは不利な大外枠から先行し、早目先頭の競馬で掲示板。苦しいことが重なった中で最後まで抵抗しての5着は強い内容。
 ユーキャンスマイルは流れに身を任せてなだれ込んできただけの9着、メロディーレーンは能力が足りないと言わざるを得ないレースっぷり。
 今回「2強」となる2頭の初対戦はディープボンドが先着したものの、内容を考えればどちらとも言えない結果。斤量差の分ディープボンドを上には取りたい。

ディー≧タイト≫≫ユーキ≫メロデ


GⅡステイヤーズS(中山3600m 別定)

1着 ディバインフォース(56.0)
2着 アイアンバローズ(56.0)
3着 シルヴァーソニック(56.0)
4着 トーセンカンビーナ(56.0)
8着 ヴァルコス(56.0)

レースラップ〉13.2-12.3-14.4-13.3-12.1-12.8-12.8-13.1-12.8-13.4-13.4-12.9-12.2-11.9-11.7-11.6-11.3-12.4

 超長距離重賞らしく、何度も13秒台が刻まれるラップ。2周目向正面から徐々にペースが上がり、ふるい落としが始まった。
 そんな中で大外から進出し、スタミナに物を言わせて差し切ったのがディバインフォース。コーナリング性能の良さと、なんといってもスタミナというところを見せた。
 アイアンバローズは2週目で先頭に立ち、そのままレースをコントロールして2着粘り込み。シルヴァーソニックはザ長距離馬というようなズブさ。同じ位置にいたこの2頭はトップスピードの差で前者に軍配。
 トーセンカンビーナは手遅れからの位置上げとあうチグハグな競馬で見どころあり。ヴァルコスは長期休養明け2戦目もあってか、3角で置いていかれた。

ディバ>アイア≒トーセ≧シルヴ>ヴァル

 

GⅢダイヤモンドS(東京3400m  ハンデ)

1着 テーオーロイヤル(54.0)
3着 トーセンカンビーナ(55.0)
4着 ヴァルコス(54.0)
13着 メロディーレーン(52.0)

レースラップ〉13.0-11.7-12.4-12.5-12.0-12.1-12.4-13.1-13.0-12.7-12.7-12.6-12.2-12.2-11.4-11.9-12.2

 長距離重賞にしてはまずまず流れたペース。2、3着には道中11番手から進めた2頭が入った。3着トーセンカンビーナは、斤量と通った場所を考えれば2着馬より上に取っていい内容。
 ただ、そんな中で3番手から早めに逃げ馬を捕まえに行って快勝したのがテーオーロイヤル。54.0kgだったとはいえ、着差以上に強い。
 4着ヴァルコスは得意の東京コースで復調気配。長距離が合っているという感じではなく、スローから末脚を活かす競馬でないと厳しい。
 メロディーレーンは52.0kgでこの着順、着差であるということが全て。

テーオ≫トーセ>ヴァル≫メロデ


まとめ

 ここまでが、登録馬の複数が出走した参考レースの分析。やはりディープボンドとタイトルホルダーが強い。どちらの前哨戦も「得意ではないSペース」「後半5ハロンの速さが求められる」レースであったことがこの2頭の評価を更に高めている。よって、既に対戦経験のある馬の逆転はかなり可能性が低いと言わざるを得ない。

 となると逆転候補としてまず名前があがってくるのは、未対戦かつ重賞ウイナーのテーオーロイヤル。距離を伸ばしながら4連勝している内容は勢いを感じさせ、想定3番人気も納得。ただ、気になるのは前走のレベル。2、3着に負かした2頭はそれぞれ日経賞、阪神大賞典に出走しており、2強には歯が立たず。古馬重賞を快勝したことは評価しつつも、54.0kgだったことを踏まえると今回更に斤量が増えてどうか。未知の魅力はあるが、、、今のところは軽視寄り。

 ついついテーオーロイヤルのことを書いてしまったが、ここまででこの記事はおしまい。週中で気づいたことがあれば追記していくつもり。狙ってみたい馬は何頭かいるので、それはTwitterにて。
 ここまで読んでくださった方、ご意見ご感想等お待ちしております。「これはこうじゃね?」とか「その見解違くね?」と言われて私が納得すれば、即訂正致しますので。
 こんなレースやるもんじゃない!とも思いますが、私には古馬の芝OPしかないので。伝統の天皇賞、GWにワンチャンスを探すのも面白いのではないでしょうか。1週間楽しみましょう!


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