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「ベイトマンニュース」身についた事は、離れている時間が長くても再開できる。

最近になって、新しく始めた事があります。いや、新しく始めたわけではないですね。正確には、およそ30年ぶりに再び始めたことがあるんです。
なんとそれは「バイオリン」です。実は私は小さい頃からバイオリンを習っていて、かなり長い間、そうですね。高校を卒業するまでのおよそ10年間、先生についてバイオリンを習っていました。
まぁ特別才能があったわけではなく、ものすごく練習したわけでもなく、結局はダラダラと「続けた」だけの習い事になってしまい、働き始めてからはずっとバイオリンを弾くこともなく過ごしてきました。
それでも楽器はずっと私のそばにあり、イギリスにもスコットランドにも持ってきてはいたんです。

今回たまたま知り合いがバイオリンを習っている、ということがきっかけとなり、私もまたやってみようか、と思い立ったわけです。

スコットランドには「フィドル」という独特の音楽があります。主に使われる楽器はバグパイプ、アコーディオン、バイオリンで、人々は楽器の演奏に合わせて踊ります。なのでテンポは比較的速いものが多いですね。いわゆるフォークダンスを少し速くしたような感じです。
奏でる楽器のせいでしょうか。テンポも速くて楽しいのに、音楽としてはパーっと明るい印象は受けません。でもちょっと懐かしいような、厳かなような、クラッシックとは明らかに違う独特の特徴があります。
私は何故だか昔からこの「フィドル」が好きで、機会があればやってみたい、と思っていた音楽の一つなんです。

ということで、私が参加し始めたのは地元のスコットランドフィドルのグループです。楽器はバイオリンとアコーディオンで、15人ぐらいかな。みんなで週に1回集まり、輪になって、ただただ音楽を奏でます。
年齢層は高いです。笑。こんなヨロヨロのおじいちゃんが、大きくて重いアコーディオンを抱えて演奏できるんやろか、と思っていたら、突然めっちゃ軽やかに弾き始めてびっくりしました。
楽器を弾いている人以外にも、いろんな人たちが周りに座っていて、飲み物を飲みながら音楽に合わせて歌ったり、身体を揺らしたりして楽しんでいました。まぁ皆さん楽しそうで、めっちゃいい雰囲気でしたよ。

いやぁ、最初に行った時は、私を見て皆さんかなり引いてましたねぇ。笑。人生の中で関わったこともないであろう日本人が、いきなりやって来たわけですから。さぞかしびっくりしたことでしょう。スコットランド人のおじいちゃん、おばあちゃんたちの中で、私は完全に浮いていました。笑。
それでも音楽を奏で始めると、もうそんなことは関係なくなります。ただ皆で音楽を奏で、拍手し、盛り上がりましたよ。楽しかったです。と同時にヘトヘトになりました。そりゃそうだ。30年以上弾いてなかったですからね。指や首がつりそうでした。笑。

それにしてもバイオリンからあんなに長い間離れていたのに、案外弾けることにも驚きました。バイオリン、いつの間にか身についていたんですね。情熱を傾けて練習することはなかったのに。ただダラダラ続けていただけやのに。ありがたいことです。
そして一旦身についたものは、やらない期間があっても(それが30年でも!)、またすっと再開できるものなんですね。
自転車に乗るように。スケートをするように。

子供の頃から合気道を学び、17歳で黒帯をもらうまで稽古を続けた息子も、スコットランドの大学に行っていた数年間は全く稽古もせずに離れていたのに、最近はまた時間のある時に稽古を再開しているようです。まぁ息子の場合はまだまだ若いし、離れていた期間も長くはないので、簡単にカンを取り戻すことでしょう。

身につくまで続けたことは、いつでも戻れるんですね。何かを始めたら、とりあえず身につくまで続けること。それが大事なことかもしれません。
おかげでまた30年ぶりに、バイオリンが、音楽が、私の生活に戻ってきました。
今度はもうちょっと情熱を傾けて、楽しんでいこう、と思っています。スコットランド人のおじいちゃんやおばあちゃんたちと共に。

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