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IT化を阻む本当の理由ってやっぱり現場だよね

業種や会社によって違いますが、一日8時間週5日間働くというのが日本社会の労働の典型的なパターンでしょう。
ところが機械というのは、基本的に24時間365日働きます。
ということは、サービスをIT化すると人がいなくても24時間稼働するサービスがつくれることになります。
SAAS型と呼ばれているビジネスの大半がこのような形態です。

しかし既存のビジネスをIT化しようとすると、これが大きなネックになります。
その結果、人の稼働時間にシステムを合わせざるを得なくなり、例えば登記情報システムのように、ネットなのに営業時間しか使えないという摩訶不思議なWEBシステムが誕生することになります。

世の中DXとかなんとかが流行りですが、これに限らずIT化の最も大きな障害は、肝心の人間が限られた時間で、限られた範囲の仕事をしていることが常にボトルネックになる、という事実です。
もちろん本来は余分な人を飛ばして、システム化するのが正しいアプローチなのですが、慣れ親しんだ自分の仕事やその権限を奪われて、いい気持ちになる人などただ一人もいるわけがないので、ことはそうは簡単ではないのです。

ITの世界に少し足を突っ込んでみると、IT化の最大の障害は“現場“であるということにすぐ気がつきます。
しかし日本では経営が現場を重視することが当然とされ、世間的にも賛美されているため、優秀とされる経営者が率いる会社ほどIT化が難しいというジレンマに悩まされることになります。
ましてや経営レベルの変革を余儀なくされるDXなぞ夢のまた夢でしょう。

これは誰が悪いということではなく、会社を社会的なコミュニティの単位と位置づけ、その分、人を大事にしてきた、日本的経営の帰結として起こった副作用だと言えます。
日本は遅れていると、バッサリと切り捨てたらいいと言えないところに、問題の根の深さがあると感じるのです。