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司書教諭・学校司書・司書の違いとは??

〈2024.5.19更新〉


こんにちは。ばっつもさっちもです。
ほかの記事で、明星大学スクーリングについて記事を書きました。その際、司書教諭というワードを出しました。簡単に言えば「学校の図書館を運営する人」なのですが、「司書教諭」のほかにも、学校の図書館を運営する人には「学校司書」「司書」と呼ばれる役割があります。

スクーリングに向かった私ですらも、なかなかその違いについて分からなかったので、今回はそれぞれの違いを記していこうと思います。


※この記事は、公立図書館ではなく学校図書館に焦点を当てています。また、画像は文部科学省のホームページを引用しています。


司書教諭・学校司書・司書のそれぞれの位置付け

「文部科学省」

司書教諭
【業務】
・学校図書館の専門的職務を掌る
【職種】
・主幹教諭、指導教諭又は教諭(教員)
【資格】
・必要(5科目10単位)※取得後、申請して取得
【法的根拠/設置義務】
・12以上の学級に必ず置かなければならない(絶対)

学校司書
【業務】
・専ら学校図書館の職務に従事する
【職種】
・学校事務職員(地方公務員)
【資格】
・不必要(将来的にはいるかも)
【法的根拠/設置義務】
・置くように努めなければならない(努力義務)

司書
【業務】
・図書館の専門的事務に従事する。(学校図書館以外)
【職種】
・無し
【資格】
・必要(①大学で必要な単位を取得 ②大学卒業後、司書の講習を修了 ③3年以上司書補と働き、司書の講習を修了[①②③のいずれか])
【法的根拠/設置義務】
・必ず「置かなければならない」とまではされていない(自由意志?)


業務について

「文部科学省」

文部科学省の通知によると、業務に関しては大きな違いがないようです。どの職名も、図書館の運営をしていかないといけません。なので学校図書館の専門的知識は必要です。ただし、司書は学校図書館ではなく公立図書館を指すので、以下の業務はなさそうです。

学校図書館は教育の場であるため特殊です。「読書センター」であり、「学習センター」でもあり、「情報センター」であるとされています。さまざまな工夫・取り組みを通じて、児童生徒の読書意欲を掻き立て読書スキルを養わせます。また読書を楽しむだけでなく、主体的に図書から学習に向かっていく姿勢も向上させないといけません。

そして最近の学校では児童生徒が「一人一台タブレット」を持っているので、情報活用能力を身に付かせる場でもあります。例えばインターネット上にある情報を吟味し、果たして正しいのかを客観的に精査できる能力を身に付かせないといけません。

なのでこれからの学校図書館関係者はICT機器の使い方を熟知しておかないといけません。蔵書検索システムOPACの使い方、図書館ホームページの運営、インターネットを通じた授業支援など、従来の業務よりも複雑になりそうです。

職種について

「文部科学省」

司書教諭
職種については違いが見られます。司書教諭は「主幹教諭、指導教諭又は教諭」をもって充てると書かれているので、「教員免許保持者」でないと司書教諭にはなれません。そもそも司書教諭の資格のための講義を受けるには、教員免許を持っていないと受けることができません(厳密には大学の単位を62以上持っている人も受けられます)。

その県や市、私立の教員採用試験を受けて合格した場合、「司書教諭」としての役割を与えられるかもしれない……ということです。

さらに、分掌のような扱いになるので、先生として授業をこなしながら学校図書館を運営することになりそうです。図書館に常駐する人とは異なり、表では先生をしながら裏で図書館を運営する感じですね。

そんなん仕事が増えるだけじゃん……? と思われるかもしれませんが、そうでもありません。おそらくどの学校でも、先生になれば「校務分掌」が割り当てられます。

例えば「時間割や成績を管理する教務」、「職員の研修会を企画/運営する研修」、「児童生徒の進路実現に関する取り組みを行う進路」など、様々な分掌があります。先生が足らないところは二つを受け持ったり……。 私の勤務校はそうでした。この分掌、教員としての仕事の半分くらいは占めています。あと、この分掌、一年ごとに変わることがあるんですよね。去年までは教務をやっていたのに、今年は研修かよ……。 はザラにあります。また新しく仕事を覚えないといけません。

これらを踏まえると、学校図書館に何か貢献したい意欲があれば「司書教諭」を目指すことは意味がありそうです。授業以外の仕事として「司書教諭」を任されれた場合は、適切な図書館運営に力を注ぐことができます。

大きな学校には図書館に常駐する司書の方もいるので、協力しながら図書館運営をできそうですね。

学校司書
学校事務職員として配置されます。学校事務職員は地方公務員なので、学校の設置者(県や市町村)によって配置されます。公務員試験を受けて合格した場合、「学校司書」として学校に配属されるかもしれない、ということです。

勤務先に学校司書の方がいらっしゃるので訊いてみたのですが、特に読書にこだわりがなくても配属されたそうです。つまり、なりたくてもなれるものではない可能性があります。運要素が強い職種かもしれません。もちろん面接などでアピールすれば配属される可能性はありそうですが……。言って損はないですね。

でも、司書の資格を持っていると優遇されそうな気がしますね。もし誰も持っていない場合は、仕方なく誰かに学校司書になってもらう……。 という流れが想像できます。真相は謎ですが……。

また私立学校では独自な方法で募集しています。私立は法人なので地方公務員とは関係ありません。独自の採用方法に則って、学校司書を配属しています。

日本図書館協会が、通年、学校司書に関する採用を一覧にしています。私立の大学や高専では足りないことが多いんですかね。また市立でも足りないところがあるようです。見る限り条件が悪いのが問題だと思いますが……。給料が低いし任期付きなので……。甘くみられている感がありますね。重要な仕事なのに……。なんだか悔しいです……。

司書
これは学校図書館勤務ではなく、○○市立図書館や、国立国会図書館で働く際の、職種を指します。学校とは直接関係のない図書館ですね。なので、設置者(県や市町村)の採用試験を受けて図書館に配属される必要があります。

ちなみに国立国会図書館は独自の採用試験を実施しています。資格を持っている方はチェックしてみると良いかもしれません。

ちなみに、司書資格を持っていなくても受験できます。司書資格とは一体なんぞや……となるかもしれませんが、間口が広いのはいいことですね。



資格について

「文部科学省」

司書教諭
司書教諭になるには資格が必要です。5科目10単位を取得して、資格書類をもらう必要があります。

具体的な取得方法については下の記事に書いていますので、ご覧ください。


学校司書
学校司書になるための資格はありません。そもそもほとんどが地方公務員からの配属のため、配属先が「学校図書館」という流れが多いようです。

しかし私立学校については別です。学校司書になるためには、ほとんどのところが「司書教諭としての資格」か、「司書としての資格」、「図書館勤務3年以上」などの条件が付いています。つまり私立学校で学校司書として働きたい場合は、資格か経験が必要ですね。

司書
資格が必要です。3パターンありまして、いずれかを満たせば資格がもらえます。

①大学で必要な単位を取得
②大学卒業後、司書の講習を修了
③3年以上司書補と働き、司書の講習を修了


法的根拠/設置義務の有無について

「文部科学省」

司書教諭
「12以上の学級に必ず置かなければならない」とされています。つまりある一定の人数がいる学校図書館には、必ず司書教諭が必要になります。

ということは、もし「司書教諭」の資格を持っていない教師がその学校にいなければ、重宝される人材になります。必ず置かなければならないのですから。

特に私立学校では重宝されそうですね。持っていて損はなさそうです。そもそも今は教員不足が問題となっているので、「教員」+「司書教諭」は重宝されそうです。

学校司書
「置くように努めなければならない」と法律に書かれているように、努力義務に留まっています。しかし、学校図書館であれば、図書館にずっと常駐していた方が一人はいると思います。貸出返却の管理、蔵書管理、図書館だよりの作成など様々な業務、そしてICT機器を使った業務まで含めると、学校図書館には欠かせない存在です。

司書教諭一人で学校図書館を運営することは無理難題ですから……。

司書
法的根拠はありませんが、学校司書と同様、必要な存在ですね。特に国立国会図書館となると、規模が凄まじいと思うので、それなりの司書を確保する必要があると思います。国立国会図書館の場合、資格は必要ありませんが!

出版された本は国立国会図書館に寄贈しなければならないという規則もあるため、毎日大量の本が来そうです。新しい本は分類していかないといけませんので、大変な作業だと思います。

おわりに

以上、司書教諭学校司書司書の違いについてご理解いただけたでしょうか。法律もそうですが、こういう微妙な違いって世の中に多くありますよね。

「本」って言葉だけでも、「蔵書」、「図書」、「文庫本」、「書籍」、「著作物」などいろいろな言い方がありますから……。

読書離れが進み、図書館があまり使われることがない時代ですが、図書館って最高なんですよ。知らない世界や知識が無限に詰まっていますから。

また図書館は「心の病院」と誰かが言っていたのを覚えています。

「言葉さえ見つかれば解決できることがたくさんある」

本に書かれている一言が誰かを救ったり、本によって何か重要な決断ができたり、本は人生を変える力を持っていると思っています。将来的には、図書館に携わってみたいです。


See you!



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