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『それが何を意味するかが、誰にとっても同じ』言葉【理事長のコラム】

「共通の言葉」

皆さんが仕事をするにあたって『共通の言語』がありますね。
以前にもコラムで取り上げたことがあるので、覚えている人もいるでしょう。

共通の言語とは、誰に聞いても同じ答えが返ってくること、
「これはどういう意味ですか?」
と聞かれた時に全員が同じ認識を持っているということです。

執行役員と管理職の違いは何か、幹部の一番大事な仕事とはどんなことか、お客様とは誰を指す言葉なのか、等々。
我々は方針勉強会を通して、全員が同じ価値観のもとに、同じ方向を向いて目的を達成する為に動いています。これが会社のあるべき姿といえます。

もちろん福祉の業界でも、共通して使われる言語はたくさんあります。
例えば、最近は報告でも頻繁に耳にする言葉『様子を見る』『経過観察』など。ケース記録にもよく記載しているのではないでしょうか?

「ご利用者様が発熱しましたが、その後検温したら平熱に下がっていたので『様子を見ます』」
「通院した結果、インフルエンザもコロナウイルスも陰性だったので『経過観察を行います』」
これらは果たして、本当の意味で共通の言語と言えるものになっているでしょうか。

『様子を見る』とは、具体的に何を行うのか人によって違いますよね。
「大丈夫?」
と声をかけて
「大丈夫」
と返ってきたならそれで良しとする人もいるでしょうし、再度熱が上がる可能性があるからと定期的に検温を行い、食事量や水分量まで記載するべきと考える人もいるでしょう。
もしかしたらその後の動向を確認するだけで何もしない人もいるかもしれません。

福祉というのは、とても広い範囲をカバーする業種ですから、言葉の一つ一つをとってもかなり汎用性が高い、どこでも使える言葉があえて選ばれる傾向にあります。
だからこそ、その解釈が人によって大きく変わる事も珍しくない。発熱者に対して、ある支援者が『様子見』をして特変なしと判断した後、別の人が『様子見』をした結果熱が再度上がっていて、検査した所陽性だったという事も大いにあり得る話です。
特に、コロナウイルスやインフルエンザは日を置いてから陽性判定が出る事も珍しくない為、発熱後すぐ病院に行って陰性だったから安心、というものではありません。申し送りに『様子見をお願いします』と記載したとしたら、それを受けた人にどこまでの支援をしてもらえるかは、その人次第という事になってしまいます。

ですから、このような場合はバウムの報・連・相で最も大切とされる『数字』を必ず入れるようにして下さい。上記を言い換えるなら、
「〇時間おきに検温をお願いします」
「体温が〇℃以上だったら幹部に連絡を入れて下さい」
「食事量を〇割程度、水分量を約〇mlと記載して下さい」
どうですか?
数字を入れることで、個人の価値観によって左右されない、具体的な申し送り内容に変わりましたよね。

もう一度言いますが、共通の言葉とは『誰に聞いても同じ答え』であり、『それが何を意味するかが、誰にとっても同じ』言葉です。人によっていくつもの解釈ができるような言葉を使わず、会社の認識・自分の認識・他者の認識すべてが違いなく共有できるように努めて下さい。

理事長 笹谷 寛道

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