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私ってめっちゃ暗黒星雲

平日朝9時のカフェ。
素敵な柄の振袖に身を包み、どこかへと歩く人々をカフェの窓越しにぼんやりと眺めながら、熱すぎる美味しい深煎りコーヒーを少しずつ啜る私。あちっ。9時30分を過ぎるとカフェも少しずつ、体積の割合としては人より空気の方が増えてくる。

朝日とはもう言えない、それでも正午よりかはまだ瑞々しさのようなものを感じさせる9:40分の太陽は、真緑色の葉たちに淡い色を足していく。厚みはないけれど少し光沢のある葉っぱたちを眺めながら、天然シャンデリア、と一人でツッコミを入れる。葉の後ろにあるバイクが反射する光より、ずっと綺麗。バイクよりかは強い光ではないけれど、そこそこの光がそれぞれの葉に宿るから、総じて美しい。バイクだとピンポイントに反射してしまうから、どうしても光景として強過ぎる。

食器同士があたる音や、タイマーのなる音、少しばかりの忙しなさが、かえって心地よい。コーヒーはまだ冷めてくれない。代わりにマグカップの模様を眺めながら、私について考えた。

振り返ると、私の人生(といってもまだ17年と3ヶ月ほどだけれど)、周囲には常に「すごい人」たちがいた。そこの定義はと聞かれたら曖昧で何も言えないのだけれど、私個人の中にある尺度、だけではなく世間的にもそう。勉強ができるだけではない。独特の空気感、人を惹き込む何かがあったり、誰とでも仲良くなれたり、一つのことに卓越していたり、反対にありとあらゆるレーダーチャートが限界突破して、巨大な星が輝いていたり。

そんな人たちに囲まれていた
小学生の私は、自分もすごい人だと勘違いしていた。
中学生の私は、自分はすごい人にいつかなれると信じていた。
高校生の私は、自分をすごい人っぽく見せようと努力でカバーしようとした。
高校を卒業した私は、私は努力もできないことを思い知った。

時折、文章を褒めていただけることもあるけれど(少数派)、私の知る「すごい人」たちは、何かの傍ら、プラスアルファで文章がすごい。
努力だってそう。努力しているよと言われても、それは私の好きなことをやっているだけで、人生には時折訪れる、好き嫌いは別で努力しなければならない時にできなかった。私の知る「すごい人」たちは、割り切って努力して、結局彼らの本当に好きなことを存分に行い、その力を発揮する土台を手に入れている。彼らを見るたびに、こういうところだよなぁ、と少し落ち込む。ただ17年くらい生きると、それにも少しずつ折り合いをつけることを学ぶ。なんというか、記録的凡人。それでも「すごい人」に憧れ、なってみたいと心のどこかで想い続けているのは、私のエゴ以外の何者でもないと思う。いや、ここまでくるとエゴどころではなく、エスなのかもしれない。

ただ客観(もどき)的に考えてみても、凡人の中でも私は、周りに「すごい人」ばかりいるという点は特殊で、本来いるはずのなかった異種としてその世界に迷い込み続けているようにも感じている。最近は、どうにかそこに自分のアイデンティティを見出すという試みを密かに始めている。

コミュニケーション能力が高いわけでもないくせに人と話すことが好きな私は、話しかけることへのハードルは1cmにも満たないわりに、話しかけた後に何も話せなくなって、後ろを振り返ったらハードルが1kmくらいになって戻れなくなり動揺し絶望することが多いのはここだけのお話。それでも毎度話しかけにいくわけだから、自分の中では「行きはよいよい帰りは怖いメンタル」と名づけている。

彼らと話すと自分の記録的凡人を痛感して辛いはずなのに、それでも人間と話したいという欲求は止められず、相手をもっと深く知りたいと思い続ける私は、とても誰かに似ている。

あれです、あれ、、(最近あれしか言えない)
馬。馬の、、オリオン座の、、、好きだったやつ。
馬頭星雲!!!!そう暗黒星雲だ!!!!!
周囲の散光星雲によってその存在が現れる(見える)暗黒星雲。まさに私。いや私より何倍も大きいし、先輩だし、比較対象にするなんて失礼極まりないけれど。それ自体は光を持てないけれど周りの光によって形が影となって現れる。

そろそろコーヒーが冷めてきた。

長年すごい人に囲まれていると、新しく出会う人も、どこか「どうせこの人もすごいんだろう」と思って話すようになる。そして本当にやっぱりすごい人だと感じる。そして彼らと出会い、知り合い、語り合うことで、私は新しいことを考えたり、既存の思考を変形させたり壊したりする。

ここまで読んでお気づきでしょうか。すごい人すごい人ばかり言っていますが、すごくない人はいるんですかと聞かれてしまいそうです。今のところ出会ってはいないですね。すごい人の中でも、私にとって「ひどい人」はいるけれど、それはすごい/すごくないとは異なる基準なので。だからこの文章を読んでくださっているあなたもきっと私とお話ししたら、私にとってのすごい人だろうと思います。

私の話は基本的にオチがありませんので、いつも何かを理由に強制終了させるクセがあります。だから今日もここら辺で強制終了させる予定です。

とりあえず、これからも潜在的な人との出会いを掘り起こす活動を続けようと思います。暗黒星雲より私の面白いところは(失礼な話ですが)、死ぬその直前まで私の影(形)は、完璧なまま浮かび上がることはないという点です。その点で、私は暗黒星雲のようにすごくはないけれど、未知の面白さはあるかもしれませんね。(宇宙という圧倒的な未知に対する暴言並の発言をお許しください)

ということで今日の題名は暗黒星雲にしようっと。

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