クラシック界における究極の一発屋が作曲した黄金のコード進行♪
上田晃司さん撮影
パッヘルベルは、17世紀後半のバロック時代におけるドイツを代表するオルガンの名手であり、ドイツ・バロック音楽の発展に大きく寄与した人物です。
代表作として名高い「パッヘルベルのカノン」の正式名称は、「3つのヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグニ長調」なんですね。
パッヘルベル:パッヘルベルのカノン
パッヘルべル:パッヘルベルのカノン(B. チルコットによる合唱とギター編「ばらの奇跡」)
パッヘルベルのカノンを解説したこんな一文があります。
「低音部がしずかにバス主題を奏しますが、これは以下28回もくりかえされてゆくものです。
このうえにのって、3つのヴァイオリンが、次々にひとつのメロディを真似しあい、追いかけあいながら、カノン(輪唱ですね)をくりひろげてゆきます。
建築をおもわせるような数学的な技巧のうえに構成されていながら、その訴えはたいへん口マンチックで、もっとも人気あるバロック・ポピュラー名曲のひとつとなっている作品です。」(出典:皆川達夫 著「バロック名曲名盤100」P140より引用)
解説にもある通り、ヴァイオリンの輪唱と言いますか、メロディが追いかけながら重なりあう美しさ。
これが、パッヘルベルのカノンの特徴であり魅力でもあります。
そして、淡々として平凡な流れでありながら、野に咲く、名も知られることのない一りんの可愛いお花を思わせるという特徴があります。
これは、淡々として平凡で、一見つまらない毎日の中に小さな喜びを見つけたときのような感覚に近い、そんな楽曲のようにも思います。
寒さの厳しい冬、ときたまおとずれる小春日和な日。
焼けるような暑さの夏、ハンカチで額の汗を拭いながら聴く、風鈴の音。
ただ単に、美味しいものが食べられる、また、夜、気持ちよく眠れる等、そんな、ちょっとしたことでも幸福を感じられる瞬間を持つことは、大切なことと思います。
そして、その瞬間と共にあるクラシック音楽。
その中のひとつが、パッヘルベルのカノンかもしれませんね(^^♪
Pachelbel: Canon and Gigue in D Major, P. 37: I. Canon
Canon in D (Pachelbel's Canon) - Cello & Piano [BEST WEDDING VERSION]
さて、この中の前半部分で聴くことのできるカノンを抜き出した同曲は、さまざまな楽器のために編曲されて親しまれる人気曲です。
作品の中で繰り返される8つの音は、通称「パッヘルベルのカノン」と呼ばれており、例えば、
175R「空に唄えば」
AKB48「恋するフォーチュンクッキー」
B’z「ALONE」
B’z「愛のバクダン」
Billy Joel「Piano Man」
BOØWY「わがままジュリエット」
BORO「大阪で生まれた女」
FIELD OF VIEW「DANDAN心魅かれてく」
GLAY「HOWEVER」
Kalafina「君の銀の庭」
KAN「愛は勝つ」
King Gnu「BOY」
LINDBERG「今すぐKiss Me」
MONGOL800「小さな恋のうた」
Mr.Children「終わりなき旅」
Mr.Children「足音 ~Be Strong」
Official髭男dism「Pretender」
Perfume「未来のミュージアム」
SEKAI NO OWARI「Dragon Night」
Superfly「愛をこめて花束を」
X JAPAN「Endless Rain」
YOASOBI「もう少しだけ」
ZARD「負けないで」
あいみょん「マリーゴールド」
スピッツ「チェリー」
ロードオブメジャー「大切なもの」
井上あずみ「となりのトトロ」
井上陽水「少年時代」
一青窈「ハナミズキ」
岡本真夜「TOMORROW」
河村隆一「Love is…」
学園生活部「ふ・れ・ん・ど・し・た・い」
山下達郎「クリスマス・イヴ
山下達郎「クリスマス・イブ feat.KEIJU/tofubeats/m-flo/2NE1/Dragon Ash/ORANGE RANGE」
松田聖子「時間旅行」
松任谷由実「ひこうき雲」
森山直太朗「さくら(独唱)」
菅田将暉「虹」
星野源「折り合い」
赤い鳥「翼をください」
大塚愛「さくらんぼ」
中島みゆき「糸」
徳永英明「壊れかけのRadio」
福山雅治「桜坂」
木村弓「いつも何度でも」
和田光司「Butter-Fly」
などなど多くの音楽に生かされる黄金のコード進行です。
ただし、現在一般的に知られるパッヘルベル作品は、この曲のみ。
ここで、こんな短歌でも如何ですか(^^)
「街のここかしこにカノン湧き上がり落ち葉は落ち葉を掃く人に降る」
(稲葉京子『花あるやうに』より)
「花あるやうに―稲葉京子歌集」(角川短歌叢書)稲葉京子(著)
「花の散る速度と競ひ音階をのぼりたりわが少女期のカノン」
(米川千嘉子『夏空の櫂』より)
「夏空の櫂」米川千嘉子(著)
焦り。
落ち込み。
イライラ。
そんな感情は、毎日のように訪れる招かれざる客のようなもの(^^;
でも、成長する過程では、そんな感情も、時には、受け入れつつ、急いでコトを進めていくことが重要なときもあります。
また、成長を焦るばかりに、心が押しつぶされてしまっては元も子もありません。
成長することは、幸福に奉仕するものですが、幸福そのものではありません。
本来の自分のペースを取り戻すときのお供に。
ひとつの曲で、たくさんな楽しみが満喫できる。
それが、クラシック音楽の醍醐味ですね(^^♪
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