見出し画像

悪魔のコーラス は映画もしくはドラマになる

モモコグミカンパニー2作目の小説

7月21日にモモコグミカンパニーが「御伽の国のみくる」に次ぐ2作目の小説を上梓しました。プロットを作ってから書き上げたというこの作品は、6月29日解散ライブを控えて、全国ライブツアー等日程的に厳しい中でモモコグミカンパニーが書き上げた意欲作です。

ミッション系中学を舞台にしたサスペンスホラー小説

ミッション系という言葉は古くからありますが、学校の設立にキリスト教団が関わった学校のことを言います。キリスト教の布教を目的として作られた学校で聖書の時間があったりします。mission は「使命」や「宣教」という意味があります。規律が厳しい学校が多く、「悪魔のコーラス」においても学校の規律という学生を縛るルールの拡大解釈を利用したサスペンスとも言えます。

合唱部が舞台

学長自らが指導する合唱部がサスペンスの舞台となりカギとなりますが、ミッション系スクールでは讃美歌が非常に重要であり、聖歌隊などの活動が極めて重要視される学校が多いため、小説の舞台として、ミッション系スクールの合唱部という聖域を選んだ辺りがモモコグミカンパニーのセンスの良さだと思われます。

人間の本質に向かい合う作品

マズローは人間の基本的欲求を低次から、生理的欲求 (physiological need) 、安全の欲求 (safety need) 、所属と愛の欲求 (social need/love and belonging) 、承認の欲求 (esteem) 、自己実現の欲求 (self actualization) の5段階に分類しています。「悪魔のコーラス」では承認欲求を中心に、自己実現の欲求、所属と愛の欲求を学園と家族という10代前半までに誰もが体験する社会組織を舞台に書き込んでいます。これらの欲求が満たせない場合に起きる欠乏欲求により、人は不安や緊張を感じ、その要素を塗りつぶすかのように事件は起きていくのです。特にマズローが危険だと述べる、他者からの尊敬、地位への渇望、名声、利権、注目などを得ることによって満たすことによる尊重欲求が本作には渦巻きます。

映像化を意識した作品

「悪魔のコーラス」は前作「御伽の国のみくる」に比べて、舞台設定が少なく、若干残虐な記述はあるものの情事などエロの要素を排除したことにより、全年齢対応の映画やテレビドラマとして映像化がしやすい設定になっています。また特殊な用語などを排除して、リズム感があり読みやすい文書となっているため、本を読むことに対してライトな層にも受けやすい作品となっています。小説としてのクオリティも大衆作品として高いレベルにある本作が、映像化されることでモモコグミカンパニーの作家としてのレベルもさらに上がることでしょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?