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A君

近々、大学で知り合った友人のA君が遠くへ行ってしまうらしい。今日はそんなA君との思い出に浸っている。




A君とは、毎日顔を合わせるような関係でもよく遊びに行くような間柄でもなかった。

年に数回友人の家で顔を合わせたり、なんとなく一緒に出かけたことがある。そんな距離感の友人。


( 僕自身、あまり友人と遊びに行くことが少ないから、A君と遊ぶ機会が少ないのはそのせいだろうけど。 )


しかし、僕にとってA君はちょっと特別なのだ。


というのも、A君は大学で知り合った友人の中でも特に僕に衝撃を与えた人物の1人なのだ。僕はそんな友人たちを「 四天王 」と位置づけている。


四天王と表している通り、僕に衝撃を与えた人物は4人いる。彼らにはそれぞれ特化した個性があり、僕はそのあまりにも特化した個性に「こんな人たち見たことない!」と驚愕したのだ。


僕から見て四天王の友人はそれぞれ「コミュ力」、「知識」、「万能」、「自由」の特化した強い個性を持っている。


A君はその中でも「 自由 」に特化している。


常に自分の胸が踊る選択肢を選び、すぐ行動する。その姿は、僕が今まで出会った人たちの中でも一番自由な人だった。常に楽しそうなのだ。


( こんな自由人みたことない! )


彼の行動力の高さを目の当たりにしたとき、シンプルな感想だがほんとに驚いた。


僕は一度、彼の流れるような衝動と行動に付き合わされ、山に連れていかれたこともあった。


その山は大学から比較的近くにある山で、そんなに高い山ではなかったが、頂上からの見晴らしがほんとに良くて、時間を忘れられるような景色がそこにあった。


A君は何度か頂上からの景色を見たことがあったらしく、頂上付近に来た時に、急に走り出して僕を案内し、その景色を見せてくれた。


僕はなぜか、「 もうすぐそこだよ!」と言わんばかりに、楽しそうに駆け出したA君の後ろ姿が忘れられない。


そのせいなのだが、その後何度か別の友人を連れてその山の頂上へ連れて行ったことがあるが、僕は毎回頂上付近に来ると、A君の真似をして急に走り出し、友人たちを頂上へと案内するようになった。




そういえば、A君とは一度、「 神様はいると思うか? 」というテーマで話したこともあった。


そんなテーマで今まで話したこともなかったし、なんなら考えたこともなかったので、とても印象に残ってる出来事だった。話した内容は正直覚えてないが、とても新鮮な気持ちで会話をしたということだけは覚えている。



思い返しても、本当におもしろい出会いがあったものだと思う。大学に来てからは常にネガティブだった僕にとって楽しいことは少なかったけど、この出会いは実に充実したものであった。


「 なんでそんなにネガティブなの?笑 」


とA君に笑われたこともあった。A君は僕と正反対で常に明るくポジティブで羨ましかった。しかし、イヤミなやつではないし、むしろ好感度は高く尊敬できる人だった。


今年の夏の終わりあたりにあることがきっかけで、

( 今、俺って何してるんだろう、、、ずっと逃げてばっかりでダメじゃん、、、 )

と落ち込んだ時があった。


その時、なぜかA君が頭の中に浮かんできた。頭の中に浮かんだ常時楽観的なA君は、


「 もっとテキトーに考えていいんだよ笑 」


と言ってくれた気がした。前にそんなことをA君本人が言ってた気がする。


頭の中のA君のアドバイスで、僕は少しだけ考え方を変えた。「 もっと人生をテキトーに生きよう 」と。


もちろん、堕落して生きようということではない。そんなに深く考えすぎないで生きよう、そういう意味でのテキトーだ。


僕は、A君のおかげで少しだけ元気が出てきた。そして、失敗しても良いや!人生テキトー!の精神で立ち直ることができた。


今でも何かにつまずいた時は、テキトー精神で物事を考えるようにしている。そうすると、随分と心が楽なのだ。


今までいろんな人と出会ってきて、いろんな人が僕の中に住み着いてきた。今ではA君も僕の中に住み着いているらしい。


どこか遠くへ行ってもまたいつか会えるでしょう。


( まぁ、僕の中に住み着いているのでいつでも会おうと思えば会える。でも僕の中のA君は歳を取らないし、考えている事はいつも同じだから、しょっちゅう会ってもあまり意味が無い。 )



遠くへ行っていろんな経験をしてもA君の根っこは変わらないと思う。むしろ、もっといろんな経験をして、さらに自由を極めた人になると思う。


いつになるかはわからないけど、冒険をしていろんな体験をしてくるであろうA君に、また会える日が楽しみだ。









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