メソポタミアの神話とナイル川大氾濫の終焉

メソポタミア文明のシュメール神話にエリドウやシュルッパクなどの下流5都市が冠水し、やがて衰退してしまう物語があるそうですが、考古学的調査で紀元前2900年から紀元前2750年にこれらの都市が大洪水で壊滅した時期と符合するらしいのです。

少し強引かもしれませんが、クフ王などの3大ピラミッドができたのが紀元前2500年頃で、その時代がナイル川水面が最高位から下り坂の時代だとすれば250年以上も違いがありますが、比較的近いと勝手に感じます。

イラン高原西部からトルコ東部一帯の高地には当然氷河が膨大蓄積されていたでしょうが、ナイル川流域の氷河蓄積に比べればはるかに少ないです。地球温暖化により同じように熱せられても、ナイル川のほうが赤道に近いのでよはやく溶けるでしょうが、氷河ボリュームの違いからピークが遅くなるのはありそうです。

メソポタミア文明の中心都市がだんだん上流へと、すなわち氷河蓄積量の減少、流水量の減少から水を求めて耕作ゾーンが上流に移動したとも考えられます。塩害とか砂漠化とかは単なる結果でしょう。

ナイル川の流量減少とファラオの罷免

メンフィスを首都とする古王朝時代もペピ1世の紀元前2300年から150年後の2050までは30人以上のファラオ、混乱期で資料も非常に不明瞭のため一説には80人以上のファラオが就任と罷免を繰り返したようです。

一人平均2年から5年間はそれ以前に比べて極端に短命です。短命化の根拠は想像できます。ホルス神の化身として、太陽神ラーの息子として国の繁栄をつかさどる絶対的な権威を帯びたファラオが、ナイル川の流水量の減少で穀物収穫量が毎年毎年減少を続ければ、当然このファラオも次のファラオも無能!交代せよ!の罵声を浴び、中央の統率力は低迷し・無政府化するでしょう。

もはや農業生産を主力とするのではなく、豊富な金などでの海上交易を中心に立て直すしかありません。ようやく紅海方面への拠点ルを持つクソールに首都を移転して復活させます。