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僕たちは偶然に気づく(5)4月14日

さて、思いがけず印刷が完了したからといって、

「さあ、今日から販売開始だー!」

という訳にはいきません。

「まず著者に見せないと」と私は思いました。

完成品を最初に他の人に見せてしまって、たとえば一週間後に吉田仁さんに渡す、という流れは順番としておかしい気がします。

小包で送る方法もありますが、何だかんだで延びてしまい、その間に私は付録の冊子を印刷したり、折り作業をしたりです。結局、実際にお会いできたのが4月13日でした。

本にサインをいただいたり、献本や宣伝についてなどなど、あれこれ話しました。


4月13日にいただいたサイン


やっと準備が整うと、今度は早く売りたくなってきます。

「この本を一刻も早く売りたい!!」

とはいうものの、

「夜7時から販売しますよ」と予告して、夜7時ぴったりに販売開始できるかというと、難しいかもしれない。「だいたい夜7時から11時の間」のようにぼかした言い方にすると、ずっと待つ人も出てくるかもしれない。

なので迷いましたが、翌日の「午前中」と薄ぼんやりした表現で予告をして、朝7時57分くらいに販売を開始、商品の写真を整えているうちに、58分にはもう購入された方がいました。

その後は8時台に4人、9時台に2人、というペースで購買の通知が次々と届くようになりました。

夜までポツポツと売れて行って、ふとXを見ると、

「今日は小沢健二さんのお誕生日です」

というポストがあるではないですか。


「AERA」臨増  1998年11月25日号より


これもまた狙った訳ではなく偶然ですが、初日に買った方は、

「オザケンの誕生日にこの本を買った!」

ということになります。


(終)


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