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03号編集日記 1019-1025

11月に文学フリマ東京で販売予定の「ベレー帽とカメラと引用」03号の製作・編集・進行具合などをメモした日記です。

毎週日曜日に更新する予定です。


1019

織田作之助の「世相」に以下のような記述があるという。たまたまアマゾンのカスタマーレビューで発見したのでメモ。

「僕はほら地名や職業の名や数字を夥しく作品の中にばらまくでしょう。これはね、曖昧な思想や信ずるに足りない体系に代わるものとして、これだけは信ずるに足る具体性だと思ってやっているんですよ。」

「数字から歌詞を見直す」という話題を少し出しているので、これは興味深い。自分がこのように考えたのは蓮実重彦からの影響だが、考えてみれば昭和どころか明治、江戸以前の文芸にも数字や固有名詞の列挙はあるのだ。

 

赤い公園の津野米咲さんが亡くなられたというニュースに驚く。今年の4月に出た「THE PARK」を聴いたのが確か7月頃だったと思う。

時々言葉がみつからない いない どこにもいないな 

したい話もどこかで無くしちゃったみたいだ

時々気持ちがみつからない いない どこにもいないな 

期待したい明日がそこまで来てるのに

とりわけ「Unite」に強く惹かれるので公式サイトの解説を読んだ。

この曲は手塚治虫の「火の鳥(復活編)」に出てくるロビタをイメージしたという。それを知って以来、歌詞に何かを引用する例としてどこかで紹介したいとずっと考えていた。

手塚ファンにはもちろん、今後「THE PARK」を聴く人にもこの情報は伝わりにくいと思うと残念でならない。インタビューする人も「大名曲」と言っていたのに。

 

 

1020

「雑誌の記事ベスト5」を書いている。熱が入りすぎて頭痛がしてきた。ほどほどに気を抜かないと、読む方も疲れて息苦しいかもしれない。そうは言っても今回は時間的に余裕がないため、息抜きの座談会コーナーはなし。

 

これまでに書いた文章を再構成して、全ての記事を「Q」と「A」に分けたらよいのではと思いつく。

Q1:1990年の音楽評論家はFGの歌詞をどのように評していたの?

A1:「ロッキンオン」に「××××××××××」と書かれていたよ。

 この調子で100問100答くらいは書けそう。しかし、ちょっと胡散臭い印象を与えるかもしれない。

 

 

1021

03号のおまけ用ポストカードのデザイン案を絞る。某氏の「BCQ新聞」用の文章も進んだ。

 

自分は「少しだけシャイなふりをした変な~」をなるべく気楽な調子を維持しながら書き進める。

 

名盤として知られるアルバムや曲のタイトルに対して「さらに良い案としてはこれでは?」という例をいくつか文章に書いているうちに、癖になってしまった。

たとえば山下達郎の「メロディーズ」は他のどのアルバムにも当てはまる。それどころか別のミュージシャンのどのアルバムにも当てはまるほどだ。

どちらかというと、このアルバム名は「ハーモニーズ」とするべき(いや、それでも山下達郎のどのアルバムにも当てはまってしまう)。

 

歌詞に限らず何かを深く読むには、何度も何度も読むことが重要だろうか。もちろん多く読むのに越したことはないが、何か決定的にそれだけではない。

歌詞であれば何十回、何百回と耳に入れることができる。好きな曲の歌詞であれば、暗記しろと言われなくても覚えるし、聴けと命じられなくても何回も聴く。しかし、単純にその回数が多ければ多いほど深みにたどり着くかというと着かない。

 

 

 1022

そういえば小島麻由美は小沢健二の曲に対してアンサーソングを書いてなかったっけ?と急に思い出した。「やられちゃった女の子」だっけ?

調べてみたら「渋谷系」にカテゴライズされたかったというインタビューを見つけた。大体いつも「自分は渋谷系という括りに入れられたくない」という人が多いので、これは例外的なケースではないだろうか。

 


自分はデビューの時に「ガロ」のインタビューでこの人を知って以来、ずっと優れた音楽家だと認識していたのだが、今に至るまで一度も「渋谷系」には入れていなかった。明日から心の中では入れさせていただく。

 

「少しだけシャイなふりをした変な角度のウインク」に関する文章が予想より長くなって、綿矢りさの小説の主人公や「マキとマミ」「トクサツガガガ」の話も入れたら、さらに延びて3700字くらいになった。少し行間を空けて、余白を多くすることで、親切な、優しい雰囲気を出そうと試みる。

 


 1023

ちくま文庫の「三島由紀夫レター教室」の小沢健二エッセーつき限定版が出るというニュース。「発売は2020部限定版10/31、普及版11/11。」とのことだが、書店に電話しても予約が難しくなっているらしい。

 

「恋とマシンガン」に関しては4500字くらいになりそう。じっくり時間をかけて書いているのか、予想外に時間がかかっているのか、よく分からなくなってきた。

 

 

 1024

早起きして「恋とマシンガン」について書く。大学で話した時のメモが出てきて、それを組み入れたらもっと長くなった。

音韻論を鍵にして、歌謡曲、ポップス、ロック、フォーク、その他あれこれの歌詞を総ざらいしてみたい。去年の今頃もそんなことを考えていた。


 03号用のおまけのポストカードができた。

 


1025

「文科系トークラジオ」というラジオ番組をまとめた本にFGのファンからのメールがあって、本当に当時の人の証言だという生々しさが伝わってくる。これは記録しておきたい。 


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