言い訳

僕の記事をこれまで通して読んできてくださっている有り難くも奇特な(?)方には、
「お前、散々経済的に苦しかったって書いてるくせに、なんで長々と学校に通ってたんだよ。そこんとこ矛盾してねぇか?実はボンボンなん?」
と思われていても仕方ないかと思います。

という訳で今回はタイトル通り、そこら辺の事情を書いてみます。これから大学に進学しようと考えている方、もしくは在学中の方(そんな若い読者がいるとは思えませんが)には役に立つかも知れません。……本当は、ただのネタ切れです。

貧困の度合いはそれぞれなので、本当に食うに困るような場合もあるでしょう。幸い、うちはそこまではいってませんでした。住居費、食費は何とかなっていたようです。とは言っても、住居費は当時あまり大っぴらに出来ない方法でかなり安く抑えていました。

実家の本当の契約者は母方の祖父母でした。その昔、我々は元いたアパートを建て替えを理由に追い出されたのですが、たまたま伯父が二世帯住宅を建てて祖父母を受け入れたので、空いた(空けてもらった)部屋に転がり込んだ訳です。
事あるごとに母親からは、
「誰かに聞かれたら、おじいちゃん、おばあちゃんは○○(地名)の息子のところに遊びに行っています、と言いなさい」
と教え諭されていました。あと、
「うちはお金がないから、進学したかったら公立にしなさい」
とも。

いま改めて思い返すと、生活の為とはいえ、小学一年生に他人に嘘を吐きなさいと教えるのはよろしくないなぁ、と思います。母親も嫌だったとは思いますが……。男親(父親とは書きません)の方は既に子供には無関心でしたので、どうでも良かったと思いますが。男親は自分の側の親、特に母親(僕から見たら祖母)が生きていた頃は孫に相当する我々(兄弟がいます)を連れて小遣いをせびりに行ってましたが、それに使えなくなると用済みだったようです。それくらいは、幼稚園児でも分かります。

ちなみに僕は、この祖母が双極性障害だったと考えています。本人および彼女が産んだ子供たちには程度の差こそあれ、祖父の前妻の子たちには見られない、精神疾患特有の問題行動が見られるからです。

現在は規則が改定されたので契約者を切り替えています。契約者は母親です。契約には安定した収入が必要だからです。職を転々とする男親には、その権利がありませんでした。

既に、うちには穀潰しがいました。
母親は貧困の連鎖は断ち切られるべきであり、それは教育により成し遂げられると考えていました。そして、少々変わり者ではあるものの、学力的には問題がない子供たちがいました。そこで出る結論はひとつしかありません。
男親の方は、大学進学に乗り気ではありませんでしたが、発言力はありませんでした。

新型コロナなどの特殊な状況下では分かりませんが、僕が大学生の頃はバイトで結構稼げました。家庭教師とか塾の講師は時間あたりの単価は高いですが、小中高校生の放課後から数時間しか稼げないのがデメリットとなります。僕はそれを補うために、朝5時まで開店している喫茶店(今は無きコマ劇場の斜向かいにあった)のウェイターを掛け持ちしました。夏休みに入ると昼間も働きました。若いので少々寝なくても、どうとでもなります。空いた時間に働くのではなく、空いた時間に寝れば良いのです。こんな生活、今なら一発で躁転ですが。これで食費、交遊費くらいは簡単に稼げるので、その点の親への負担は考えなくても良いと思います。

ただし理系だと、3年生後期もしくは4年生になって研究室に配属されるとバイトは難しくなります。大学院に進学する場合、4年生の前半は院試もあるので、よほどの自信と余裕がなければ無理でしょうし、大学院在学中のバイトは教官が良い顔をしません。

研究室配属前に大学卒業までの分は、貯金しておきましょう。大学院に上がると奨学金の金額が上がるので、何とかなるでしょう。最近は「奨学金が返せない問題」というのがあるそうですが、厳しいようだけれどこう言いたい。

「奨学金が返せないくらいの給料しか貰えないのなら、貴方にはそもそも大学院に進学する資格はない」

大学であろうと企業であろうと、研究者としてやっていけるのならば奨学金くらいは返せる給料を貰えるはずである。研究者とは名ばかりの研究補助員にしかなれないような大学院ならば、借金をしてまでいく必要はない。この記事は、現在貧しいけれど自分の学力を武器にそこから抜け出したい人のために書いている。無駄な時間と金銭を費やすのは愚の骨頂である。

筋肉は2週間で裏切るが、知力は認知症になるまでもっと長いあいだ貴方を助けてくれる。お金を掛ければ効率よく、最短のコースで学力試験をこなす技術を高めてくれるが、それしか方法が無いわけではない。そして、必ずしも知力だけが逆境から抜け出す手段ではない。

授業料免除は絶対に利用すべき。
自分の身の上話など無駄な部分が長くてこんな後ろになってしまったが、言いたかったのはこれに過ぎる。

この記事を書くにあたり調べたのだが、大学によって免除の額(割合)は異なるものの、意外にも国公立大学の多くには未だにこの素敵な制度が残っているらしい。そして、偏差値の高い大学ほど親は金持ちである。成績よりも経済的理由が優先されるので、貧乏人の子には大きなチャンス。

僕の経験からすると、ほぼ通る。ほとんど全額免除された。半年ごとに申請しなければならないので書類の準備が面倒だが、それで年50万円くらいだったかが浮くのだから、出すに越したことはない(しかし、親の源泉徴収票の額がショックだった)。ただし、受付は長蛇の列。忙しい事務員の塩対応には我慢が必要。

悪用する人も……。
細かいことは省くが経済的に自立したことになっていたのだが、親が税金対策に買った高級マンションに住んでいて、そこに家賃を納めている形にしたりして免除を受けている人がいた。当時としては珍しい浴室乾燥機能までついた2LDK。そこまでしますかね。本当、頭の良い人は凄いことを考えるね。

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