用語集: 「倹約のパラドックス」

今回は「倹約のパラドックス)」について見て行きましょう。

「倹約のパラドックス(paradox of thrift / paradox of saving」: 経済学において、個人や企業の貯蓄が増えると、経済全体の経済成長が低下するという現象です。

通常、貯蓄が増えると、それが投資へとつながり、経済成長を促進すると考えられますが、倹約のパラドックスでは、貯蓄が増えると、消費が減少し、総需要が低下し、経済成長が低下するというメカニズムが働きます。

具体的には、個人や企業の貯蓄が増えると、その分、消費が減少します。消費が減少すると、企業の売上や利益が減少し、投資が減少します。投資が減少すると、経済成長が低下します。

倹約のパラドックスは、1930年代の大恐慌の際に、ケインズが提唱した経済理論です。ケインズは、大恐慌の原因は、個人や企業の貯蓄過剰にあると考え、政府による財政出動や金融緩和によって、総需要を拡大し、経済成長を促すことを提唱しました。

倹約のパラドックスは、現代の経済においても、有効な理論であるとされています。例えば、2008年のリーマン・ショック後の世界経済の低迷は、倹約のパラドックスの現れであると解釈されています。

倹約のパラドックスを回避するためには、政府による財政出動や金融緩和によって、総需要を拡大する必要があります。また、個人や企業の消費を促進するために、税制や金融政策などの政策が検討されます。

なお、倹約のパラドックスは、経済学において、さまざまな議論がなされています。例えば、貯蓄が増えると、将来の消費が増加するため、経済成長が促進されるという意見もあります。また、倹約のパラドックスは、短期的には有効であるが、長期的には有効ではないという意見もあります。

倹約は裏目に出るということですね~

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