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用語集 : 「合成の誤謬」

今回は「合成の誤謬」についてコメントをさせて頂きます。

「合成の誤謬(fallacy of composition)」: ミクロ(個人)の視点では正しいことでも、それが合成されたマクロ(集計量・全体)の世界では、必ずしも意図しない結果が生じることを指す経済学用語です。

例えば、ある個人が貯蓄や節約に励むと、その人の資産が増えるという効果があります。しかし、国民全員が貯蓄や節約志向になると、国全体の消費が減退し、国民の総所得が減ってしまう可能性があります。これは、貯蓄や節約が増えると、その分だけ消費が減り、経済全体の需要が減少するためです。

また、景気悪化に伴い企業が一斉に費用削減を行うと、経済全体がさらに悪化してますます企業業績が落ち込むようなケースも合成の誤謬の例として挙げられます。これは、企業が費用削減を行うと、その分だけ雇用や投資が減少し、経済全体の需要が減少するためです。

合成の誤謬は、経済学だけでなく、他の分野でも起こりうる現象です。例えば、交通渋滞を解消するために、一人一人が車の運転を控えると、渋滞は解消されるどころか、逆に悪化する可能性があります。これは、車の運転を控えると、その分だけ公共交通機関の利用が増え、公共交通機関の混雑が激化するからです。

合成の誤謬を避けるためには、ミクロとマクロの両方の視点から問題を考慮することが重要です。個々のレベルでは正しい行動でも、それが合成されたマクロの世界では、必ずしも好ましくない結果が生じる可能性があることを認識しておくことが大切です。

以下に、合成の誤謬の例をいくつか挙げます。

  • 個人の貯蓄が増えると、国民の資産が増える

  • 企業の費用削減が増えると、企業の利益が増える

  • 一人一人が節電すると、電力不足が解消される

  • 一人一人がエコカーを購入すると、環境問題が解決される

これらの例は、すべて合成の誤謬の可能性があることを示しています。

世の中「合成の誤謬」で溢れていそうです。

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