夏目ちゃんのこと、いつの間にかこんなにも好きになっていたんだなぁ。夏目ちゃんとは、先日引退した夏目三久さんのことである。

引退直前に出演した番組は全部見たし、なんなら録画もした。引退はとても寂しいけど、心から幸せを願わずにいられない。

こんなにも好きで、応援したい理由はなんだろう。人を惹きつける要素はどんな点だろう。

私が一番好きで、尊敬しているのは、どんな状況でも腐らずベストを尽くす姿勢だ。

夏目ちゃんは日本テレビで錚々たる番組に抜擢されて華々しいキャリアをスタートさせていた。でもつまらない週刊誌ネタのせいで、日テレから干されてしまう。

そんな会社を辞めてフリーになって初めて始まったレギュラーが『怒り新党』だった。今となっては人気MCの人気番組だけど、当時はまだ一介の毒舌キャラ芸人だった有吉さんと、出たてのマツコさんのすぐ終わるかもしれない深夜番組に過ぎなかった。

夏目ちゃんが日テレで担当していた帯番組やゴールデンのバラエティとは全然格が違う。

でも夏目ちゃんは手を抜かなかったし、一方で悲愴感を漂わせるわけでもなかった。ただ良い番組にしようとする前向きな姿勢がとても好感が持てたし、だから私はあの番組をすぐに好きになった。そのままの姿ではないけれど『怒り新党』が今も番組として残っているのは、この時の夏目ちゃんの頑張りの貢献が間違いなく大きいはずだ。今思えば、この時からもうずっと応援してたのかもしれない。

二つ目の好きな点は、感謝の表現を惜しまないこと。

気持ちや考えは全て言葉にせずに以心伝心で伝わることや、そっと察することもあって、むしろそれを美徳とする文化もあるけれど、私は感謝と謝罪はアウトプットしてなんぼと思っている。それらは受け手に委ねるものではなく、こちらからお願いして受け取ってもらうものだと思うから。

その点で夏目ちゃんは自分の引き際にあたって、最後まで感謝の姿勢を貫いた。

結婚発表から引退まで、『怒り新党』での夫婦共演が2回あったが、これも惜しみない感謝の表現ゆえだ。自分にチャンスをくれた番組とマツコさんへの感謝、視聴者への感謝、そしてもしかしたら有吉さんへの感謝も込められてたのかもしれない。この感謝の表現はしっかり伝わったし、だからこちらも惜しみなく、「幸せになってくれ！」とエールを送りたくなる。

ちょっと脱線するけど、『怒り新党』という番組の夏目ちゃん&有吉さん夫婦への突っ込みのラインも本当に素晴らしかった。これくらいなら答えてくれるかな〜のギリギリのところを突っついていて、視聴者の満足度も高いし、誰も不幸にならないし、とても幸せな時間だった。信頼関係がちゃんと出来上がっているんだなぁ。

好きなところ最後は、やり切った過去ゆえ、一片の後悔も感じさせないこと。

これは最初の、「どんな時も腐らない姿勢」からも通づるものだけど、そうして全力で駆け抜けたからこそ、自分で選んだ最後に何の後悔もないと感じさせる。

好き、というか、憧れ、の方が適しているかな。こんな風に未来で後悔しないために、やり切る人生でありたいなと思う。

夏目ちゃんは人として尊敬するところがたくさんある人だった。公にしているところだけでそうなんだから、プライベートはもっと素敵なんじゃないかな。

あぁ、とにかく今は、夏目ちゃんの未来が穏やかで幸せでありますようにとお祈りしたい。