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あとがきとおぼしきもの 前編

 目次

 五百円。

 『夜天を引き裂く』に俺がつけた値段である。この値が適正価格であったかどうかはわからないが、二つの事実は提示しておこう。

・最初の有料章である「#13」を購入した人(ほとんどブッダ)は、全員が最後まで購入してくれた。

・いただいた電子ドネートのうち、基本の支払い分よりも、追加サポート分の金額の方がでかい。

 これら二つの事実から鑑みて、顧客満足度はすこぶる高い作品だったと己惚れても良かろう。

 一方で、普段から仲良くさせていただいている(と俺が勝手に思っている)パルプスリンガー諸氏以外の人からの購入は、残念ながらなかった。つまり今回の好調は、俺が美麗な絵を携えて突飛なことを始めたために、まぁその、ご祝儀的な? そうゆう側面も、ないことはないのだろうと思う。今回の幸運がいつまでも続くとは思わないことだ、俺。

 つまるところ、最初の敷居である「#13」を見知らぬ人に買わせることはできなかった。

 この事実は重く受け止めるべきだろう。

 退路を断つために言っておくが、俺の最終目標は小説で得た収益だけで生計を立てることである。恐ろしく険しい道のりとなるであろうが、とにかく宣言はしておく。

 それにあたって重要なのが、知名度と、「こいつに金を出せばそれ以上の感動を提供してくれるだろう」という信頼である。この二つは目先の利益などより遥かに重要な資産だ。

 後者に関しては、応える自信と覚悟はある。

 だが、それ以前の前提となる「知名度」に関しては、正直なところどうすればいいのかさっぱりわからない状況である。

 とても興味深い記事だ。これらを読むにつけ、「前半は無料公開、後半は金をとる」という売り方は失敗、とは言えないまでも、唯一の方策ではないことがわかる。

 先駆者たるダイハードテイルズ出版社を見習って、本編は無料公開し、なんかこう、外伝? 的な? エピーソードンで金をとるという? そうゆう道もあるんじゃないの? おん? そして『ニンジャスレイヤープラス』のごとく月額制で金をとるという?

 そのためには、まず俺の執筆速度のクソ雑魚ナメクジぶりをどうにか改善しなくてはならない。

「いやいけますよバール=サン! 『絶罪殺機アンタゴニアス』だって毎日即興連載でそこそこの分量を一か月以内に提供できましたし、けっこう好評だったじゃないですか!」とか軽く考えてはいけない。アンタゴニアスと夜天では、込められたカラテの量がまるで異なる。決して手を抜いていたわけではないが、登場人物は最低限で、風呂敷を畳むことを考えずにタイトル回収するところまで書けばよかったアンタゴニアスと同じノリで今後もずっと創作を継続できると考えるのは希望的観測にすぎる。罪業を熱に変換するアイディアが偶然降ってこなければ間違いなく成功しなかった作品なのだ。単に運が良かったのである。しかも月額制ということは毎月、最低でもアンタゴニアス級のクオリティの作品を発表しなければならないということだ。これは並大抵のことではない。

「いや、やる前からできないできない言ってないでとりあえずやってみろよ」

 そうゆう意見も脳内からは出る。そもそも夜天とアンタゴニアスでは労力がまったく違うとは言ったが、実際の反応を見ると正直そこまで大きな差はない。無論、主人公・久我絶無氏の取っ付き悪さを加味するにしても、ひとつの作品に夜天ほどのカラテを込めるのはオーバーキルすぎて非効率的であるという見方もある。

 創作能力、というものを数値化した場合、それは「執筆速度」と「クオリティ」の積で求められると思う。この二項目に振り分けられるカラテ量が有限である以上、最適解は両項目にそれぞれ同じくらいの力を込めることだ。

 あれだ、「1×9」よりも「5×5」の方が高いって話だよ。

 夜天は明らかに「1×9」タイプの作品であった。書き上げるのにかかった時間は半年だ。恐ろしい話であるが、これでも他の「1×9」作品に比べたら短い期間だ。そんな長期間、待たせてしまうようでは「小説の収益だけで食っていく」など夢のまた夢である。

 ええとだからつまり何? 何が言いたいの? これからどうするの? ワカラナイ……とりあえず、俺はメンタルがシングルタスクなので、夜天連載中はスキ数や売り上げが気になって気になって、今一番重要なはずの「最新作である五十三万字小説の推敲作業」がさっぱり進まなかったので、すぐに次回作を投下する、というのは控えようと思う。たまに何かしょうもない雑文を投下するかもしれないが、まぁしばらくはそれだけだ。

 残る「1×9」大長編作品は三つ。

・現代を舞台にしたギャグ&バトルもの。

・『神なる~』とはまったく別口の暗黒ファンタジー。

・呪いの五十三万字小説。

 これらをいつ、どのような形で売るか。俺にはゆっくり考える時間が必要である。冬が明けるまでには何らかの結論を出したい。

夜天のあとがきを書けよアホ

 そうだった。明日にしよう。なんかこう、裏設定とかいろいろ語っちゃおう。明日。明日……(フェードアウト)

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