白旗

だいたい物思いに耽るのは、寝る前の夜中の事が多く、今も日を跨ぐ前後で、何だか消化されていないふわふわと思う事がありnoteを開いてみた。下書きにまだ完成されてない文章があったので、先にそれをゴールさせようと思う。

白旗を上げる時ってどんな時か考えたことがあるだろうか。

かなり日を遡るが、友人と新小岩で飲んだ時の話。
その友人はグルメに詳しく、もうここ5年くらい月に1回は定例会として、その友人が気になっている街やお店に飲みに連れて行ってくれる。

お互い早めに集合出来る時は、次のお店の予約時間まで、その街を散歩することもしばしばある。
この日も15時からお互い集まれるということで、軽く飲んでから、新小岩を散歩する事になった。

まず1軒目のお店は、商店街の中にある酒屋さんの2階の立ち飲み屋さん。酒屋さんが運営しているのか、お酒の種類がかなり多いお店だった。締めの牛すじカレーも美味かった。

次のお店まで時間があるという事で、軽く散歩する事になった。商店街を外れて10分ほど歩くと、割と大きめの川に着いた。たぶん荒川だったと思う。

川縁の堤防を上がると遊歩道になっていた。これは散歩しがいがあるなと思って左を見ると、ある一隻の船が川に浮かんでいた。

エンジンも付いておらず、ぷかぷか浮いている。中に人がいるかどうかも確認出来なかった。ただ、仮に船を留めてあるとするなら、岸のどこかに結び付けてあったりするものだが、その様子もない。ちょっと怖い。人が確認出来ないので、どこからか流れてきてしまったのだろうか。なんて話しながら、船から遠ざかるように川の流れる方向へ散歩を再開する事にした。

対岸は高速の高架下になっていて、少し広くなっているのだろう。学校の学級活動か部活動と見受けられるダンス集団が多くいた。あれは、ソーラン節かなーとか話していたら、程なくして猛スピードで川を上る一隻の船が現れた。

その船の側面には「警視庁」と書かれていた。

ああ良かった。やはり通報していた方がいたのかと思い、先ほど見かけた止まった船に目を向けた。

すると船頭部分で、全力で白旗をぶん回す人が確認出来た。

今までの人生で白旗を上げる事も無ければ、上げる人も見た事がなかったので、しばし見入ってしまった。
しかも、物理的に白旗をぶん回しているのだから、それは見てしまう。他の通行人も見入っていた。

白旗を上げているという事は、きっとあの人が自ら通報したのだろう。だとしたら船内のトラブルか何かかなと思い、警察の船もゆっくり近づいていき、どうやら話をしているようだったので、まあこれで解決するのかなと目を背けようとした。
すると、警察の船は、その船から通り過ぎてしまった。かなりビックリしたのだが、船頭部分に立っていた人が船内に戻っていた。
次のお店への時間が無くなるということで、最後まで見れなかったのだが、おそらく川のルール上、そのままでは救えないので、また折り返して来るんじゃないかと、友人と無理矢理こじ付けて消化させた。

しかし、もちろん消化など出来るはずもなく、その後3件くらい居酒屋を梯子したのだが、ずっとその船のことが気になってしまったのは言うまでもない。

帰宅後、ふと自分が白旗を上げたかった瞬間はいつかなと考えていた。

高校生の頃、体育の授業で柔道をしていたのだが、いつも柔道経験者の友人と、体格が合うというただ一つの理由で、柔道未経験の私とペアを組んでいた。
ある時、先生から友人に背負い投げのデモをしてほしいというリクエストがあり、当然投げられるのは先生かと思いきや、年齢的な理由から、私が受け身を取ることになった。

1.2.3の掛け声で投げられる。いつもペアなので、体落としとか大外刈り等の受け身は取っていたから、その程度だろうと思っていた。

1.2.3

いつもとは違うスピードだった。
気づいたら畳に叩きつけられていた。

友人曰く、いつもとは違うデモンストレーションという事で、少し気合が入っていたと言っていた。

私は畳に叩きつけられた時に、運悪く受け身を取るはずの手が、自分の太ももの側面、つまり「ももかん」と言われる部分に入ってしまい、痛さのあまり悶絶してしまった。

まさにこの時白旗を上げたいと思った。

投げた友人は心配してくれたが、私のリアクションに爆笑した先生と他の友人の事は、今でも忘れてはいないし、一生忘れない。

今日はこれまで。
読んでくださってありがとうございました!

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