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新潟編:五郎@ 古町

新潟で美味い酒、旨いものを堪能するなら、古町がいいだろう。
古町は日本三大芸妓の街として、京都の祇園、東京の新橋と並び称されいて、200年の伝統を誇る新潟古町芸妓は、港町新潟を代表する文化と言っても過言ではなく、おもてなしの心が素晴らしい。
今宵も、どんなおもてなしが迎えてくれるのか楽しみだ。

特に古町通八番町、九番町辺りの昼間の商店街は正月ように静かだが、夜には飲み屋、飲食店などが目を覚まし、またキャバクラ嬢をあちこちで見かける。
だが、東京のように高いビルなどは全くなく、江戸時代から残る古い小路が今もなお健在し料亭風の敷居の高そうな古風な店があったり、歩いていても京都の祇園の町を歩いている気分でそれだけでも楽しい。クラブも多いいな。

鍋茶屋通りと古町通には良さそうな居酒屋が沢山ある。その殆どが新潟の地酒をもちろん置いていて特にハズレのお店はないだろう。
その中でも、お気に入りは古町通八番町にある旬魚酒菜「五郎」だ。
古町通をぶらぶらと歩いて、五郎の本日のお勧めメニューの書かれた立て看板があったら、そこが五郎の目印。それを見て今旬の海の幸、山の幸をチェック、店を入る前から注文を組み立てるのもいい。

佐渡寒ブリ刺、舟べた刺、寒鯖の浅〆、南蛮海老刺、ヤリイカ刺、皮ハギ肝正油和え、寒ブリなめろう、女ガニむき身甲羅づめ。
冬の魚の王者ブリに、新潟といえば舟べたや南蛮海老もあるぞ。イカも大好きだし、皮ハギの肝正油和えなんかもいいだろう。

建物の中の奥を進み、五郎の暖簾をくぐると、店内はやや暗めの明かりで靴を脱いで小上がりを上がると板の間に団体用一枚板の分厚い天然木のテーブルがあり、カウンターはL字の掘りこたつ式で落ちつく。
壁にはお客さんの落書きのようなサインなどが書かれているが店の雰囲気は漁師の隠れ家のようなで落ち着きがあり、裸電球の傘は釣った魚を入れる網で装飾され、ゆっくり腰を据えて呑むにはいい。それでも、後ろで若い団体客やサラリーマンは愉快に呑んでいるがまったく嫌な感じはしないのが不思議だ。それは、新潟県の一人当たりの日本酒消費量が全国一位と裏付けるように、新潟の人が本当に酒が好きでその呑みっぷりを見て自然と仲間意識が湧いてきたからだろう。

手拭いを頭に巻き作務衣姿の若い店員さんにコートを預け、カウンター座席に座った。
暖かいおしぼりが今まで歩いて冷えた手を温め一息ついた。

まずは寒くてもビールがいい。
手元にあるメニューもいいが、今が旬の黒板メニューと短冊メニューから注文するのがいいだろう。
旬の地魚の刺身は食べておきたく、でも一品づつでは値段が張るので三点盛900か五点盛1500がお得。せっかく遥々、新潟まで来たのだからケチケチ行かず五点盛を!
「ブリと鯖とイカは入れてもらえます?」
「大丈夫です!」と以前も厨房に立っていたキムタク風のイケメン好青年タイプのあんちゃんが答えた。

ビールと粋なお通し三点が届き、しばしこの旅、新潟にいるという事実に浸る。

しばらくすると、日本海獲れたブリ、鯖、イカ、新潟といえば南蛮海老に舟べたの五点盛。

それに合わせた酒は、越の白鳥の秘伝仕込み700。ここは日本酒を頼むと、あらかじめ冷やしてある竹で作った酒器で楽しめる。

店員さんが、「今の時季のしか外子が付いていない佐渡のズワイ(メス)がもう最後になるのでいかがですか?」と言うから飛びついた。
ズワイの甲羅に丁寧に取り出した身が盛られて、ズワイの外子と一緒にポン酢で頂く。爽やかな甘味の身と貴重な外子の食感、酸のきつくないポン酢が素晴らしい。

初物タラの芽の天ぷらはまだ若いがサクッとした衣の中から香りが鼻に抜けてくる。

次のは、と。。
メニューを凝視。

県外には出ないと言われる女池菜のお浸し、佐渡の歯ごたえが素晴らしい岩もずくもいいし、カワハギの肝醤油和えも棄て難い。以前食べた佐渡の白子の松前焼きは最高だったな~。
あれこれ迷うが、栃尾の油揚げに落ち着こう。
ここは三つの味が楽しめる。他の店だと、ネギ味噌か納豆のどちらかが油揚げの中に入って出されるが一枚の油揚げに真ん中は素のまんまで、両サイドにはネギ味噌、納豆が入り、食べていて飽きない。
酒は長岡の越乃景虎の純米しぼりたてを注文。
店員さんに「両方とも長岡ですねっ」
「地物は地酒で(笑)」

ここは創業して27,8年。新潟駅にも分店がある。mixiで知ったが東京にもあるようだが新潟の店員さんはあまり知らなかった。
また、五郎オリジナルの五郎酒は新潟駅から歩いても行ける今代司酒造からお願いしており、ここの蔵で以前見学させて頂いたが蔵の黒板に五郎の文字がありその時知った。

最後は五郎めし(ご飯の上に、納豆・明太子・鮭・筋子・塩辛が乗っている。※大五郎めしは+山芋・刺身)で締めたいのだが次を考え店を後にした。

雪が降っていたら、まず五郎に入る。その時のホッとする店の雰囲気が堪らないからだ。

腕時計の針は20時を回っていた。古町が賑わい始めてきた。

夜はこれからだ。


メニュー(2011年1月のメニュー・カウンター手前のみ記載)
鮎正宗純吟700、景虎純米しぼりたて700、〆張鶴しぼりたて原酒700、佐渡びと純米700、本正火当て半生熟成800、越の白鳥秘伝仕込み700、山古志特純700、想天防大辛口600、五郎酒500、五郎オリジナル・日本酒サングリア500、さむらいハイボール480、瓶ビール500、他多数
五郎めし600、大五郎めし800、のど黒1800~、三点盛り900、五点盛り1500、舟べた600、佐渡寒ブリ900、南蛮エビ600、寒サバ浅〆700、ヤリイカ600、初物タラの芽天500、岩もずく酢400、塩辛(手造り)400、うどの芽天500、牛テール焼き600、牛すじ煮込み600、地アン肝ポン酢800、女池菜おひたし500、うどみそ400、いぶりがっこ350、ポテサラ400、王泉の里芋コロッケ500、栃尾の油揚げ680、佐渡の白子ポン酢or松前焼き700、カキ酢・昆布焼き・フライ・天ぷら600、カワハギ肝醤油和え780、初物そら豆焼き、アンコウ鍋、活タコ漬け炙り串2本400 他

■居酒屋ロマンティクス 2012年4月23日自身のblogより

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