見出し画像

宮城編:福よし@気仙沼②

震災から約一年半も経たずに新しい福よしが存在していた。
わずか一年半。その一年半には私達では想像もつかない思いや悲しみ、別れ、苦労があったに違いない。
それがこうして立派な福よしが港の前に建っている。ご主人をはじめ家族、いや気仙沼の希望が形となっていた。

入口には「気仙沼港 魚料理 福よし」の行灯看板、漁船に吊るされていそうなランプがあり、居酒屋の入口というか新築の家の玄関に近い雰囲気だ。綺麗な階段を上がり途中でスリッパに履き替えた。
階段の先には、お馴染み鯛の鯛(魚の胸ビレ付け根の穴のあいた骨)と白波の紺暖簾が立派にあがっている。

「どうも。予約していた瀬間です。」
目の前には立派なカウンター。店内は広く凜としていて眩しいくらいに綺麗だ。
カウンターで仕事をしていた弟の修一さんが笑顔で
「いらっしゃいませ。どうぞ、空いてるカウンターへ。まぁまずは店内を見てやってくださいっ。」
「では。」
目の前には立派なカウンター席。座敷。大きなテーブル席。あの焼き魚を焼く囲炉裏を囲むカウンター席。全てが木材で立派に仕上がっている。
漁船にある縄で吊るされたガラス浮玉や傘を被った電球の灯りがいい。二階階入口にはお祝いの花が飾られ、店内は団体客や家族連れ、二人客と皆楽しそうで暖かい雰囲気が店内に充満している。

お目当ての焼き秋刀魚!!!

見事なまでの復活にしばらくカウンターに腰をかけず、店内を眺めた。また外にあるベランダでは腰を掛けることができそこから眺める港の夜景が静かで、そして美しい。

弟の修一さんに
「いやー、凄い立派なお店ですね!」
「何とかここまで、来れました。皆さんのお陰です。今日はゆっくり食べてって下さいっ。」
「はい!」
まずは、生ビール!
「新しい福よしに乾杯!」
「ありがとうございます!」
隣にいた方とも自然と乾杯となった。

弟の修一さんは団体客さん用の刺身のお造りに忙しそうだ。
それにしても、大きく立派である。
カツオに秋刀魚、マグロにツブ貝、ボタンエビ、タコにホタテ、ウニ、アワビ!
あー、早く食べたい。。
「今、注文伺うので待って下さいね。」
待ちますとも~!

おかわりの生ビールを飲み干し。
お刺身合い盛りが届いた。これには日本酒だ!と地酒男山の福よしオリジナルの特別純米を。

刺身はカツオ、秋刀魚、シメサバ、ボタンエビにつぶ貝。醤油皿は貝殻を二つに割ったような器で生姜とワサビ両方をちゃんと味わえるようになっている。醤油を両方にさし、右は生姜にしよう。
まずはカツオ!
ここでカツオを食べれる感動の美味しさ!
さらに秋刀魚は今日大船渡で漁れた初もの!
シメサバは程よく酢で〆っていて素材の旨さがわかるくらいのいい塩梅だ。
生のエビは苦手だが初めて美味いと思ったボタンエビは甘くそしてプリプリである。
つぶ貝はコリコリと歯ごたえがあり新鮮。
そして、旨味、酸、キレとバランスの良い酒が魚とピタリとくる。

以前、確かラベルには港・人・魚と書かれていたが、更に心の文字が加わった。
また、ご主人のケンイチの名前も入ってる。

心のこもったおもてなし。

まだまだ、気仙沼の夜は続く。

■居酒屋ロマティクス 2012年8月29日 自身のblogより

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?