山梨の朝晩はすっかり冷えるけれど、
昼間はまだ蒸す。
今朝届いた秋服の出番は早くて来週かな、と
天気予報を見て思う。待ちきれない。
一通り試着を終えた後、
遅すぎる朝ご飯と家事雑事を済ませ
14時過ぎにようやく家を出た。

午前中のお天気も、昼過ぎに曇るというからこの時間まで待ったのに、見上げれば空は青と白のマーブル模様。
だけど今日は暑くない。風が気持ちいい。
そうそう、これ、この気温。

歩きながら目を閉じて、ふわっと風にのり、
金木犀のにおいを運ぶ。
目を細めれば遠くの山もぼんやり青いが
既に黄色やオレンジの斑点が見え始めている。
アイスを買い食いする高校生を見て
こんな姿もまた来年と思う。


涼しいよりのぬるい風に体が馴染み
スーパーに立ち寄ると店内はほんの少し寒い。
白菜買って夜は鍋なんか食べよう。
今日は贅沢にしゃけを入れる。
柿も安いので買っておく。
気分がいいのでお団子と、
赤ちゃんサイズのビールを追加する。

買い物かごの中が秋だ、と1人はしゃぐ。

弾むようにして店から出たら
さっきとは違う期待はずれのもわっとした空気が体にまとわりついた。風はやんでしまった。

心は秋へ秋へ駆け足なのに
夏はいじらしく私のスカートの裾を引っ張ってくる。私は君が苦手。
早くどっか行って！

帰り道は遠回りして猫に会いに行く。
今日も昨日と変わらぬ、いや、ますますの可愛さを褒め称え、いろんな撫で方をしてみるもいまいち響いてない。

君もまた焦らし上手ですね、
呟く9月最後の昼下がり。