錘をぶら下げる

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0227を巡る

バイト先の人は昨日誕生日だった 私の祖母はちょうど2年前の昨日死んだ 心臓の内壁に沿って 涙を上手に流すための 細い管が張り巡らされている として そのうちのひとつを塞いでいる これが 祖母のいのちの破片である どんなに激しく鼓動を打っても ビクとも動かない むしろ そこに在るのだというその気配が 確固とした気配が 咽頭あたりまで侵食してくる

    • 0228

      自分だけの言葉も 自分だけのからだ みたいに 触ればそれと分かる 分かるならいいのに 今吐き出したのに 近くで見るとなぜだか あの子の指紋がいくつか

      • 0130

        すごく好きになれた人だから すごく嫌いになれる すごく嫌いな人でも すごく好きになれる?

        • 0103

          空には今日も返り血が飛び散り 街灯まで頭を垂れて疲弊している 一緒に不幸になってくれそうなあの人を想う これこそ恋だと歌う チカチカ消えかかる蛍光灯の光を眺めては あれこそが希望だと 今日もただ好きな歌だけ歌ってたら 突然世界には私一人しか居ないように思えて 不安のあまり立ち止まる 数歩歩けば全部忘れて ぽかんと再び歌い出す そうして何も知らないままで 最後の瞬間を迎える日 全ての謎は謎でなくなって 誰かが答えだけを そっと、教えてくれるらしい あの時仲良くしたかった

          霜が降りる朝

          12月30日霜が降りる朝 寝ぼけた姉夫婦を部屋に残して 1人ベランダに出る 2人のあっけらかんとした態度や 幸せな空気感のちょっとした切れ目に わたしを心配するような視線を感じる 元気なほうが都合が良い それはそうだろう あの人が貸してくれた本の ページを一枚めくるごとに 冷たい空気が指先に滲んで染みて それがなぜだか心地いい ふとベランダの外に目をやると ほうきを持った近所のおじいちゃんが 掃除する訳でもなく 歩道の端に立って坂の向こうを見つめている そのすがたを見

          霜が降りる朝

          疲弊しきったので

          憎悪、嫌悪、サディズム、劣等感 汚いものも綺麗に拭けば 意外と上手に飲み込めるんだってね 人を裏切り傷つけた時 ちゃんとあなたは痛いですか 胸が痛い、 そんなロマンチックな話じゃない ちゃんと血を流していますか 痛覚はあるあるならばどこだ 今この時も徐々に鈍って 最後はなくなるのだ

          疲弊しきったので

          客家定食の夜

          例えれば昨日の早朝に見たひこうき雲 途切れながらも真っ直ぐに走る美しい線 私の目にはあなたの暮らしが そんな風に映っています あなたの人生のこと まだまだ分からないことばかり 少しずつ教えてくれますか あなたのことを知るなかで 私のことを知りました 今夜のように笑ってお話する時 ずっと続けばいいと言いながら こんな夜は二度と訪れないでほしいと 思いました 私が彼の線に触れる時 それは私が真っ直ぐじゃない時 私の震えて歪んだ線 こんなの違うといつでも嘆いている や

          客家定食の夜

          また散文

          例えばオアシスだけ好きな女の子 オアシス以外の全てを知らないけれど オアシスの全てが彼女の全て 一方でオアシスも一応好きな私 ちゃんとブラーも聴いている レディヘやスウェード、パルプも少しだけ オアシス以外も知ってるけれど 彼らが私の全てという訳でもない 私もオアシスの全てを知っている そんなつもりでおしゃべりしてみたい めちゃくちゃ適当でもいい 嘘でもなんでもいいから 小さなたくさんのことより 大きなひとつの事を知っている あの子みたいになりたい

          また散文

          cuz I'm

          昼までベッドの中 眠るわけでもなくただ ぼーっとしていた 友人からのメッセージに 寝ぼけた風で返信する ベランダに出る 荒れきった手先とたばこ 変な方向に枯れ葉が舞っている 穏やかに晴れたこんな日も 風は複雑なんだな 音楽に合わせて コーヒーの入った ホーローのマグを 指の腹で叩いたら カン、と意外な音が鳴った 昨夜指輪外してなかったっけ こんなときに あなたがいたらなあ とおもう 突然ぶわっと風に煽られる 部屋に入ろう 誰も居ない部屋 私さえも居ない部屋

          感受性の殻

          電線に区切られた空の下 見上げない人々は今日も 無害だけが取り柄といったような微笑を 安いセロハンテープで貼り付けながら その裏側に無関心と底なしの憎悪を孕み 小さく小さく息をする 今日も死人のように沈黙を守っている 大人になるということは 感受性を何層もの殻に 閉じ込めることだという 大人になどなってくれるな あなたの形はあなたのものだ あなたの感受性はあなたそのものだ その受け皿を社会に求めた代償に 人々は無機質な部品に成り腐ったのだ 紙切れに保証された偽物の生を

          感受性の殻

          話がしたいよ

          会話 「あなたの言うことって、不思議と 本当に言っているように聞こえない。」 「それ本当に思っているの?」 と言われることが最近多い。 そう言われると確かに、本当に思っているのか? というか、なんだかずっと、しっくりきていない。 そもそも会話というものの本質なのかもしれないが、 うわべだなあ、って思う。 言葉はぷかぷか浮かんだり、ぐにゃっと歪んだりして頼りない。 いつからか意識的に、会話というものに多くを期待していない。 だから自分の発する

          話がしたいよ

          高野悦子20歳の原点を読みながら。深夜の殴り書き

          矛盾している、と感じた時なにかと突っつきたくなってしまう。 読み物や書き物に関しては、矛盾そのものというより、矛盾を指摘されないように保険をかけた意図が読み取れる文章が嫌い。他人の文章に対しても、自分の文章に対しても、なにかを守ろうとして嘘をついてるんじゃないかと考えることが多い。こうして書いてみると分かるけれども、私は基本的に性格が悪い。なんというか、ずっと自分のことも他人のことも許せないのかもしれない。 性格のことはさておき、とにかく矛盾を他人に指摘されないように取り繕う

          高野悦子20歳の原点を読みながら。深夜の殴り書き

          誰も私を救えない

          生と死を経験するのは わたしの人生でわたし一人だけだから 私たちは決して互いの得体を知ることがない あなたはわたしに名をつけられない 同様にわたしはあなたを救えない 愛する誰かをそばに留めて 互いの生を共有した気になれば そんな心地のいい酔いに身を任せれば 私自身の得体の知れなささえ 忘れていられるのかもしれない でもどれだけ近くにいたって わたしはあなたの視線の先にあるものが やっぱり分からないよ あなたの構造を目で確かめたとて あなたを知ったようには思えない そして

          誰も私を救えない

          言葉の先にあるもの

          会話が好きではない 自分の取るに足らない話を 嬉々として語る人間を見飽きたからか それとも 言葉の先にあるもの それだけを見たいからか知らない 7月が終わろうとしていた この間本を借りたお返しに ふと思いつきで持ってきた短歌集を 灰皿ひとつ分隣のあなたが パラパラとみている なんとなくその手つきから 目を逸らして そわそわと煙草をいじる 向こうから祭囃子が聞こえる 微風が汗ばんだ肌を撫でる しばらくするとあなたは突然 私の方に頭を向けてベンチに寝そべり 「読み終えるか

          言葉の先にあるもの

          早く秋!

          山梨の朝晩はすっかり冷えるけれど、 昼間はまだ蒸す。 今朝届いた秋服の出番は早くて来週かな、と 天気予報を見て思う。待ちきれない。 一通り試着を終えた後、 遅すぎる朝ご飯と家事雑事を済ませ 14時過ぎにようやく家を出た。 午前中のお天気も、昼過ぎに曇るというからこの時間まで待ったのに、見上げれば空は青と白のマーブル模様。 だけど今日は暑くない。風が気持ちいい。 そうそう、これ、この気温。 歩きながら目を閉じて、ふわっと風にのり、 金木犀のにおいを運ぶ。 目を細めれば遠くの

          早く秋!

          私にとっての日記

          半年前から日記をつけている。
日記と言っても形式ばったものではない。 更新頻度もばらばらで、平均して4日に1度。 
「今日はあれこれ考えずさっさと寝るべし」の一文で終わった日もあれば、少しの行間をも惜しむように心の声を書きなぐった日もある。 そして、単に1日の出来事を記録するだけならば取りこぼされてしまうものもの。 お気に入りの歌や本の一節、上手くいったコーヒーの淹れ方、あの人の香水の香り、ペンをぐちゃぐちゃに走らせながら溢れた涙の滲み。 前だけを見つめて日々を消化してい

          私にとっての日記