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京都大学iPS細胞研究所(CiRA)見学ツアーレポ

私は研究者ではない一般人なのですが、研究棟を見学できる機会があると知り「それは行きたい!」と申し込んで、抽選の結果、参加することができました。というわけで、一般人目線の見学ツアーレポです。

その前に…実はこれが初noteで少し緊張しながら書いています。見ていただきとても嬉しいです。ありがとうございます。

京都大学iPS細胞研究所とは?

京都大学iPS細胞研究所は略称をCiRA(サイラ)と言い
Center for iPS Cell Research and Applicationの頭文字を取っています。最後の「Application」に「適応・実用」の意味があり、日本名にこの単語は入っていないけれど、この「Application」にとても熱い想いが込められているのだそう。(以下、CiRAと表記します。)

ご存じの通り、iPS細胞を使った再生医療や創薬の研究をされているのですが、その内容はここでは書ききれないので詳しくはホームページを。

CiRAホームページ:https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/

所在地は京都大学敷地内。私は京阪電車で行ったので、神宮丸太町駅で降りたらすぐでした。

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写真でしか見たことがなかった研究所を自分の目で見て興奮します。さらに今からこの中に入ります。

研究棟見学ツアー内容

私が参加したのは、2020年2月1日14:00からの「第16回研究棟見学会」です。25名ほどの方が参加されていました。年代は幅広く男女は半々ほど、中学か高校の学生さんもいらっしゃいました。いろんな方がiPS細胞に興味を持たれているようです。

ちなみに私の参加動機は「ノーベル賞を受賞したiPSの研究現場を自分の目で見てみたい」です。iPS細胞はノーベル賞で初めて知りました。ノーベル賞以降、山中先生をテレビなどでお見掛けすることが何度かあり、iPS細胞研究にまっすぐに取り組まれている姿を知って山中先生のファンにもなりました。

iPS細胞研究所の見学ツアーがあると知ったのは、山中先生のご本の中に書かれていたからです。ノーベル賞受賞の研究現場を見学できる機会があるなんて思ってもいなかったので飛びつきました。

見学ツアーは、14:00~レクチャー・質疑応答、14:30~研究棟見学。終わったのが15:00過ぎ。まずはレクチャーからです。

iPS細胞とは?

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まずは広報担当の方による「iPS細胞とは?iPS細胞研究所とは?」のレクチャーです。iPS細胞の拡大写真や動画を使って、とても分かりやすく興味を惹かれる説明が30分ほど。

iPS細胞で有名なのは再生医療に使われること。パーキンソン病、ALSなどの治験に使われていたり、軟骨移植に使われたり、神戸の理化学研究所で網膜再生医療に使われていたりします。その他に創薬のためにも使われるそう。

表面ではなく少し奥の皮膚細胞や臍帯血の細胞からつくられます。

また、iPS細胞による再生医療には多額のお金と時間がかかるのですが、それらを抑え、より多くの方にiPS細胞を提供するために「再生医療用iPS細胞ストックプロジェクト」というものがあるそうです。

免疫拒絶反応が起きにくい細胞からつくられたiPS細胞をー160℃の液体窒素で保管しておき、必要に応じ提供するというもの。(この説明では端折りすぎているので、詳しくはCiRAのホームページをご覧ください。)

iPS細胞がたった数年の間にどんどん進んでいっていることを知って、遠いことのようだったiPS細胞が自分にも関係のあることに、近いうちになるんだろうなと思えました。

レクチャー後、質疑応答。今回は3名の方がご質問。

iPS細胞が様々な再生医療への活用を期待されているのは多くのメディアで見聞きしますが、参加者の方の質問でもそのいった内容のものがあり、実際の期待の大きさを肌で感じました。

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レクチャールーム内では、本物のiPS細胞を顕微鏡で見れたり、iPS細胞からつくられた軟骨組織が展示されていたりもしました。写真の左上にあるのは「iPS細胞かるた」。本屋さんで誰でも購入できるそうです。調べてみたらAmazonにもありました。載せておきます。


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これがiPS細胞です。ピンクなのは、分かりやすいように色付けされているためで、実際はピンクではないそうです。この写真では分かりにくいですが、これを拡大したのが、一つ上の写真の、真ん中の画面とその左下の写真に写っています。

さて、それでは研究棟見学のために移動します。

この最初のレクチャールーム内と1階ロビーは写真撮影可能でしたが、研究棟内は撮影不可でした。ですのでこの後は文章レポのみになります。がんばります。
撮影可能部分の写真と文章レポはSNSシェア可とのこと。確認しました。

研究棟見学

研究棟見学は、参加者が3グループに分かれて、それぞれのグループにスタッフの方が1名ずつついて説明してくださいました。

研究棟は第1棟・第2棟・第3棟と3つあり、私たちのグループは第3棟からです。どの建物も新しくてきれいで、第3棟には入口部分に木材が使われていました。建物の何%かは木材を使うように、京都市の条例で決まっているそうです。

エレベータで5階に上ります。見たかったオープンラボです。

オープンラボとは、それぞれの研究グループの研究室が個室になっているのではなく、壁のない広いワンフロアがあり、ブロックごとに研究グループがいて研究を進めているという形式です。

ラボは明るく、テレビでしか見たことのない実験器具があったり、テレビでも見たことのない実験器具があったり。オリジナルの「CiRA」と入った白いラボコートがあハンガーにかかっていたり。キョロキョロずっと見回していました。

この日は土曜日でしたので、研究されている方は数人だけいらっしゃいました。

オープンラボのとても良い点は研究グループ同士の交流ができること、難点は広すぎて空調が効きにくいことと、風通しが良すぎて所長の悪口もすぐに届いてしまうことだそうです(笑)。

続いて他の階や他の棟も案内していただき、同じようにオープンラボや共用スペースがありました。研究は必ずしもオープンラボでするわけではなく、例えば雑菌などが入っていはいけない研究をするときは個室の研究室も使うそうです。

教員には個室があり、フロアには共用の休憩室などもあります。
廊下には研究者の顔写真と名前が掲示されていて、これはスタッフが数百人と多くなったので、所長が全員の顔と名前が一致しないからだそうです。

様々な種類の研究機材があり、1億円はしないもののウン千万円するゲノム解析ができる機械もガラス扉越しに見ることができました。iPS細胞は「がん化するのではないか」等の心配の声もあり、検査は重視して行っているそうです。

また、CiRAの特徴として、「上廣倫理研究部門」という倫理を専門に扱う部門があるとのこと。写真はいただいた、その部門の「2018年研究実績報告書」の最初のページです。

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少し前にiPS細胞の補助金打ち切りというニュースを見たりもしましたが、私はiPS細胞研究を応援しています。ただの一市民ですけども。

以上で見学ツアーレポ終了です。ここまで読んでくださった方、とても嬉しいです。ありがとうございます。

最後に、見学ツアーの参加方法を載せておきます。

CiRAツアー参加方法

CiRAツアー案内ページ:https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/seminar/191204-000000.html

2020年度の予定はまだ発表されていませんが、2019年度は年3回(それぞれ午前・午後)の開催でした。2019年度の「CiRAツアーについて」という開催案内の日付が2019.4.1になっているので、今年もそのあたりに発表されるのではないでしょうか。

予定が発表されればホームページから申し込むことができます。「人数が多ければ抽選」となっていますが、倍率は分かりません。

スタッフの方は丁寧に説明や案内をしてくださるので、細胞研究はまったく素人の私にも分かりやすく、あっという間に時間が過ぎました。少しでも興味がおありなら、参加をおすすめします。

それでは、ありがとうございました!

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