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学級閉鎖中の次男と

次男が先週からコロナで学級閉鎖となり、週末も含めたら早や8連休。当初は3日間だけの予定だったから、前半はタブレットに送られてくる課題をやりつつ、家でゴロゴロ。

そろそろエネルギー持てあましてる感が気の毒になってきたのと、わたしも予定がなかったので久しぶりに二人で出かけることにした。

優雅に朝寝坊して、家族みんなが出かけたあとに起きてきた次男と近所のカフェまでモーニングに行った。他愛もない話をしていたのだけど、そうそうもうすぐとあるサッカーのセレクションの申込みが迫ってる。数週間前から考えといてね、と伝えてたあの話、結局どうする?と次男に聞いたとき。

それまで漫画とか友だちの話をペラペラ話してた次男の口ぶりが急に重くなった。セレクションがあるんだって、そう伝えたときもだけど、明らかに乗り気でないのが雰囲気から伝わってくる。

しばらく逡巡した表情をしたあと、やめとくわ、と次男が言った。
そっか、ま、他もたくさんあるしじっくり自分のいいところ探していこう、あなたは勘がいいから本当に自分がビビッときたところに素直になる気持ちさえ持っておいたら間違いない、信頼してるから任せるよ、と返したあと、ちなみになんでやめとくの?と聞いたら、また言いにくそうにしばらく考えたあと「こわいねん」と、次男が答えた。

ひょっとして恐いのかな、という予感はあった。新しいチームに変わって、自分よりサッカーが上手な子はたくさんいる、上には上がいると気付いた様子の最近の次男。セレクションで自分が振り落とされたらどうしよう、自分を保てるか分からない、そんな怖さがあるのかなとその表情から見て取れてたから。

でも年齢的にも、今の彼の様子からも、素直にその気持ちを吐き出すとは思わなかった。そうして、ちょっと嬉しかった。自分の素直な気持ちをそうして俯瞰して、躊躇いながらも口にできるひとでよかったな、とわたしは思ったから。

正解は分からないけどね、そこで恐いならなおさら乗り越えていけよ、というのが親の愛だと考えるひともいると思うし、それも一理あると思う。

恐さや弱さや怠惰な気持ちや、そんなちょっとネガティブに捉えられる部分だって自分のうちの一部分。それを認めることは勇気や力がいることで、受け容れるから広がることもあるんだと、わたしは思ってる。
そして、その気持ちを素直に母に吐き出してくれたのがうれしかった。

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翌日、まだ休みだけどとくに予定がないからまた朝寝坊してメリハリない感じでボンヤリ漫画を読んでるので、トップガン観に行こうぜーと誘ってみた。
それなら時間まで宿題頑張ろ、と机に向かう次男。ある程度時間に制限あるからこそ嫌なことも頑張れる、その気持ち大いに分かる。

次男とふたりで映画を観にいくのは初めて。長男とふたり出かけることは多いのに、次男とふたりは圧倒的に少ない。それはきっと兄弟構成故ゆえでもあるし、わたし達の相性もあると思う。

映画の中で危ない―という場面で思わずふたりソワソワ座り直したり、その危機を脱した瞬間一緒に息を吐いたり、最後に顔を見合わせてカッコよかったなーと微笑み合ったり、あの場面が良かったなとあとで盛り上がったり。
次男とふたりきりで同じものを共有する時間。いつも長男と、あるいは娘と3人で動くことが多く、3人になると一歩後ろに、引き気味に動く次男。こんな風に横並びになることがいつ以来だろうなと思った。

映画のあとに小腹が空いたわたし達、うどんをすすりながら話をした。
このうどん屋さん、現金か電子マネーしか使えないなという話から、なぜクレジットカードは使えないかという予測をふたりで立てていく。
クレジットカードの仕組み、消費者と取扱店、クレジットカード会社という3者の関係性とそれぞれの立場、メリットデメリットの話をしたら、次男はふむふむ聞いてそのシステム考えたひとすごいなと関心したので、
商売の基本は双方ヨシのWinWinが理想、三者ヨシのWinWinWinなら尚ヨシだよね、と話す。
お昼ごはんを決めるときですら、自分の食べたいものより母が食べたいものをさりげなく聞き出し、相手に気を遣わせないようにそれがいい、と言ってくれる次男。
全体最適を考えることが自然とできるあなたなら、そんなアイディアを考えることは絶対出来るはず、と次男に伝える。というか、刷り込む。

そのあと、映画の半券でゲームセンターのコインがもらえると言うので、初めて一緒にゲームセンターへ行った。
自分がやりたいのは釣りゲーム、でも不慣れな母はわちゃわちゃ余計なことをしてばかりなので、優しい次男はママがしたいゲームに行こうと店内をウロウロ。30年ぶりのゲームセンターは勝手が分からなくてウロウロしても答えが出ず、結局簡単なコイン落としのゲームの椅子にふたりで座った。

上から落としたコインが溜まったコインを落とす、シンプルで易しいゲーム。慣れてきたらジャラジャラとコインが出てきて次男とふたり大盛り上がりした。最初はちびちびと入れていたコインも、リターンが増えコインに余裕が出てくるにつれ増やしていく。そうしたら、リターンはまた大きくなる。
ねえ、これ投資の世界みたいだ。怖がって手を出さなければ手元のものは減らない代わりに増えるチャンスもない。増やそうと投資する額が大きければ、リスクもある分リターンも大きい。
息子よ、あなたは絶対ツイてるから自分を信じてどんどんやればいい。コインゲームしながらまた刷り込む。

そうして盛り上がってたら、時間つぶししてたサラリーマン風のひとがもう帰るから、とどっさりコインをお裾分けしてくれた。ほらやっぱりツイてる。

と、山ほど遊んでたらあっという間に時間は過ぎて、大変だ娘が帰ってくる時間だ、と帰宅することになった。気付いたらコインはもらった分も含めて増えに増えて使い切れないため、次男に、あなたがあげたいと思う子にこのコインあげておいで、と言ったら恥ずかしいなと言いながらもひとりで釣りゲームをしていた同じ歳ぐらいの男の子にコインを渡しに行った。

びっくり顔のその男の子が、恥ずかしそうにそそくさと立ち去る次男とわたしを追いかけてきて、深々と頭をさげてお礼を言ってくれた。
なんて気持ちのいい子なんだろ、あなたひとを見る目もあるねえ、と次男に言ったら、照れ隠しなのか、ほんまは他人ではなく過去の自分にあげたいけどなー、と言うので、楽しい種は巡らせたらまた巡ってくるのだと伝える。
さっきの男のひとがくれたコインのおかげで楽しい気持ちになれて、十分に楽しめたから次のひとにそれを渡す。受け取ったひとはその喜びを次のひとに渡すから、また巡り巡って自分に戻ってくるようになってる。だから惜しみなく渡すべし。そやな、と穏やかな顔で頷く次男、素直でよろしい。


そうして夜寝る前、今日は楽しかったな、また行こな。ママ、今日はありがとう。
と、それはそれは優しい目と声で言う次男。彼は相手に自分のポジティブな気持ちを伝えるのが本当に上手い。

今回の学級閉鎖、始まったときと延長したときはウンザリしたけれど、普段なかなか持てない時間を次男と共有できたので結果オーライかと。
ふたりきりで面と向かうと、結構大事なことを話せたような気がしてる。
カード会社はおいしいな、とか、男ならケチケチするな、とか。笑

次男にとって、少しでも何かしら感じられる時間だったらいいな。
(母は最高に楽しかったぜ!)

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