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【音楽解説】 ポリフォニーとは何か

西洋音楽におけるバロック時代(ca. 1600-1750)は、フーガをはじめ、カノンとかトッカータなどの「対位法的形式」がめちゃくちゃ多いです。

「対位法(たいいほう)」というのはマニアックな音楽用語で、瞬間の響き(ハーモニー)とはついをなしながらもお互いに補い合うような概念、という関係…みたいな感じなんですが、…そうですね、僕なりに説明を試みますと、


…例えば、カラオケで歌うようなヤツは[歌(=1つのメロディ)+伴奏]ですよね。
こういう、旋律せんりつ(主役)と和声わせい(背景)が1対1になっているような作りがやっぱり普通だし、作りやすいし、聴きやすいし、…(専門的には “ホモフォニー” って言います)
しかし、先述のそれは複数の “等価な” メロディが同時に演奏されているわけです。

中学のときの校内合唱コンクールで、アルトやテノールのパートが単独で歌っているのを聴くと、主旋律と違いすぎて「もはや何の曲か分からない!」みたいな経験ありませんか?
あれはメロディというより、全体として「ハモるための道具」として作曲されているからなんです(=ホモフォニー)。時間を流して聴いた感じ(横的な要素)より、合わさった瞬間の響き(縦的な要素)を優先しているから、どうしても美しさはなくなりがちです。

ところが、対位法的な楽曲は、それぞれのパート(声部せいぶ)を単独で聴いても、メロディらしさを損なわないようにできているんです。
2つ以上の等価な旋律を同時に演奏しても、グチャグチャの聖徳太子ゲーム(ニンテンドーDSの脳トレやってた人なら分かってくれるはず…!)みたいにならないように、縦のことも計算しながら作るって凄くないですか?
なんなら、この「対位法的な技術」こそ、作曲家が客観的にスキル量を評価される基準の1つになるくらいです。
(作曲専攻の授業でもフーガ作り習うんですけど、マジで難しいです…)


こういう要領での作曲を、ポリフォニーっていいます。
ギリシャ語で複数を表す “poly -” という接頭辞ですね。化学物質のポリエチレンとかのヤツです。 (完)

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