海と山椒魚

貴方は遠くへ行ってしまった。
誰も知らない海のずっと向こうへ。
私は貴方の面影を背負いながら夏の日差しの中、ずっと歩いていく。
向日葵が背に落としたその影に貴方を重ねては足を止め、ただ祈りの言葉を零す。
貴方の今迄が消えないように、貴方の抱えたその憂いや苦痛が、真夏に降るこの雨に流れてどうか安らかでありますように。

貴方が私を忘れてしまったら、どれだけ寂しいだろうと思いながらひっそりと息をする私はとても愚かで、知らずのうちに頭を垂れる。
私のこの祈りが風に乗るなら貴方に届いて欲しいと願う。
別れの言葉1つ残さずに隠れてしまった貴方に、私の祈りが届きますように。

貴方と一緒に植えた向日葵は枯れ果ててしまって、私は貴方と歩いた道を1人思い出と共に歩いていく。
海の向こうに見える漁火が貴方によく似ていて目を細める。
微かに灯ったその光が私にはとても眩しく思えた。
どうか貴方の憂いや苦痛が貴方の望んだ場所で、この真夏に降りしきる雨と共に流れ去ってくれますように。
どうか安らかでありますように。
どうか私を忘れませんように。

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