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[オーディオ]スピーカースタンドの重要性〜Solidsteel SSシリーズ解説

2022/11/28現在
この記事の内容は随時更新しています。内容の正確性には注意していますが、見落としや間違いが見つかった場合は訂正することがありますのであらかじめご容赦ください。


はじめに - スピーカースタンドの重要性

オーディオに関心のある方であれば、小型スピーカーには必ずスピーカースタンドが必要であることは常識です。しかし、その重要性についてはどこまで認識されているでしょうか。

スタンドを使う一番大きな目的は、スピーカーの音がよく聴こえるよう、スピーカーのユニットがリスナーの耳の高さに来るようセットすること。そして、スピーカーの重量を安定的に支えつつ、振動の塊であるスピーカーと床とをつなぐインターフェースとしての機能も重要です。

気に入ったスピーカーを選んだら、次はスタンドです。従来小型スピーカーのことはブックシェルフ型(小さなスピーカーの低音を稼ぐため、本棚に押し込んで使っていた頃の名残り)と呼ばれていましたが、現在海外では「Standmounter(スタンド設置型スピーカー)」という呼び名の方が一般的になっています。そのくらい、スピーカーとスタンドは切っても切れない関係。つまり、スピーカースタンドは単なる置き台ではなく、れっきとしたオーディオ機器の一部なのです。自動車に例えるとタイヤやサスペンションなどの足回りに相当するでしょうか。それほどまでに、音質を含めたさまざまな意味でスタンドが重要であるということです。

スタンドの重要性に気づいているスピーカーメーカーでは、スピーカー本体と純正専用スタンドの価格がほぼかわらない、などという製品も見かけます。逆に、小型スピーカーで純正スタンドの用意がない製品もありますが、無理して中途半端なクオリティのスタンドをつけるくらいなら汎用のしっかりしたスタンド(Solidsteel SSのような)を選んで使ってもらった方が良いということでしょう。

スピーカー選びには時間をかけるけれど、スタンドは何でもいい、という方をたまに見かけますが、スピーカーの性能の何割かがスタンドに左右されてしまうことを考えると、これは非常にもったいない話です。例えば、今お使いのスピーカーの音に不満がある場合、別のスピーカーへの買い換えを検討する前に、その足元がどうなっているか、まずは一度確認してみることをおすすめします。

スピーカースタンドは普段目立たない、縁の下の力持ちのような影の存在ですが、ご愛用のスピーカーが本来の性能を発揮し、縦横無尽にうたうには、その基礎、ベースであるスピーカースタンドにもきちんとした、信頼性の高いものを配慮してあげたいものです。

SSシリーズスタンド概要

イタリアのSolidsteel社が製造する「SSシリーズ」スピーカースタンドは、さまざまなメーカーのスピーカーに合わせることのできる、非常に汎用性の高いスピーカースタンドです。純正スタンドの用意がないスピーカーや、あるいは純正スタンドがある場合でも、安価なものはサードパーティからのOEM品であることもあるため、そういう場合のグレードアップ、さらにはスタンドを固定した上でのスピーカー複数機種の比較試聴のためのレファレンスとしても使うことができます。

この製品は、欧米で開催されるどの国のオーディオショーでもほぼ必ず見かけるというほどのベストセラー&定番モデルです。それもそのはず、このモデルはSolidsteel社設立のごく初期の1992年から現在に至るまで、なんと30年間も製造が続いており、ブランドを象徴する超ロングセラーなのです。

ステンレススチール製のフレームを溶接により組み上げた非常に剛性の高いつくりは信頼感あふれるもの。今やヨーロッパのオーディオ界を代表する定番製品であり、「ヴィンテージシリーズ」の愛称でも親しまれています。

この一見シンプルなつくりのスタンドが、なぜここまで多くの人に、しかもこれほどの長きにわたって支持されているのでしょう。それは、美しい外観、コンパクトなサイズもさることながら、以下のような理由が大きいと思われます。

1.三脚型の揺るぎない安定性(ガタが出ない、転倒しづらい)

2.シンプルで頑丈(ステンレスを溶接)

3.しかし、重量でガチガチに固めるのではなく、全体の構造やバランスにより強度を出している。これにより、不要振動を抑えつつ、音楽の響きを抑え込まない。つまり、「音が良い」

4. 一見シンプルに見えて、実はとても多彩な音質チューニングが可能な機能性を備えている。

長年に渡って地道な改善や機能追加を続けてきた結果、シンプルな外観からは想像もつかないほど、奥が深いノウハウが詰まっているのです。1ペア持っているだけで、信頼できるレファレンスとしてスピーカーの比較試聴に使え、多彩な機能性によっていろいろと楽しむことも可能。長期間愛用するにふさわしいアイテムです。ここから先は、細部についてひとつひとつ語っていきたいと思います。


全体の基本構造

このスタンドの最大の特徴は、リジッドな「三脚型」であること。ステンレススチールを溶接したつくりは、いかにも頑丈ですが、三脚型の特に優れているところは、どこに置いてもガタつきが発生しない、圧倒的安定感です。

カメラの三脚を想像してみてください。パッと置いただけで迷いなくバチッと決まってくれて、微動だにしない。当たり前のようでいて、実際に使ってみるとそういうスタンドって意外に少ないと思いませんか?(しかも全体が溶接されていますので、構造上は、可動部のある三脚よりさらに頑丈です)

この気持ち良さは、普段普通の4本脚型や1本脚型のスタンドを使っている人なら拍子抜けするほどの便利さを感じていただけるに違いありません。いろんなスピーカーを素早く取っ替え引っ替えして聴き較べるようなプロの現場などでも大活躍です。

三本足だと転倒しそう?いえいえ、むしろ逆。
ピラミッド形に脚が開いていることにより、実質的な接地面積は結構広く取られていますし、上記の通り、多少いい加減なセッティングをしてもガタツキが発生しづらく、床への踏ん張りが効く構造になっているため、外観からの印象よりもはるかに倒れにくくなっています。

よくある、底面がフラットな一本脚や四本脚のスタンドの場合、設置が甘く一箇所浮いてグラグラしているような状態や、床の見えない部分に凸凹があって、気づかないうちにガタついていた、など、スタンドが転倒しそうになってコワイ思いをされた経験はどなたもお持ちではないでしょうか。また、初期設置時には安定していたものが、しばらく経った後に少し場所がずれるなどしていつの間にかガタが出ているなどといったケースも少なくありません。しかし、三脚型だとそもそも原理的にそのような状況になりませんので安心です。実際に触れてみてご確認いただければ幸いです。
また、このSSスタンドの場合、重量でガチガチに固めて振動を抑え込むようなことはせず、構造を突き詰めることで強度を出すような設計となっています。この後の章でさらに詳しく見ていきます。


設置方法:前後左右の向き

では、ここからは具体的な設置方法について述べていきます。
まず、「Solidsteel」のロゴシールが貼ってある面が手前に向くように設置してください。

ロゴシールが前面に来るよう設置


ほとんどのブックシェルフスピーカーは、ドライバーユニットが取り付けられている前面の方が重くなる傾向があります。つまり、SSシリーズスタンドはこの前面をしっかり支えるための重量バランスを考慮した設計となっているのです。SSスタンドの下側のフレームをよくご覧いただくと、後方と比較して、前面の方がより太く、がっしりしたつくりになっているのがお分かりいただけると思います。(まれに重心が後方に来るような構造のスピーカーもあるかもしれませんが、その場合は前後逆にしてみるなど、現場の状況次第でいろいろと探ってみていただければと思います)

製品の選び方:高さについて

  • 高さは50cm, 60cm, 70cmの三種類をご用意。

  • 標準となるのは「SS-6(60cm高モデル)」です。これを基準に、スピーカーを載せた状態でのツイータの位置と耳の高さとの兼ね合いで、10cm低い「SS-5(50cm高モデル)」10cm高い「SS-7(70cm高モデル)」の3種類の中からお選びいただけます。椅子に腰掛ける場合と、ソファなどの場合では耳の高さが変化しますので、ご自身のリスニング環境により最適なモデルを検討ください。BBC LS3/5Aサイズ程度の小型ブックシェルフ用としてやはり標準的な定番と言えるのは「SS-6」であり、そのサイズが好きな方にとっては汎用性が高いので、買い替えなどでスピーカーのモデルが変わっても末永く使える場合が多いように思います。(個人の意見です)

  • 10cm低い「SS-5(50cm高モデル)」の場合は、高さが低くなるのに加え、天板の大きさも一回り大きくなるため、一回り大きめのスピーカーに適しています。スピーカーのサイズが一回り大きいということは、スピーカー本体の背が高くなることでツイータ位置も高くなることを意味しますので、低いスタンドを使うことでトータルでの高さのバランスが取れるということになります。

  • 10cm高い「SS-7(70cm高モデル)」は、さらに小型のスピーカーを使う場合や、より高さを稼ぎたい場合に検討されると良いでしょう。また、サラウンドのリア用などにも良いかもしれません。

  • スパイクやスパイクホルダーを使うかどうかなどで微妙に高さが変化(1-3cm程度)しますので、もし厳密な高さの調整が必要な場合は考慮に入れると良いでしょう。



機能紹介

ここでは、スタンドの構造を上から順に見ていきます。

1. 上段:天板周辺について


  • 天板そのものについて


トップにはMDF製の天板が搭載

一番上から詳しく見ていきましょう。まずは天板自体についてです。SS-6, SS-7に付属する、MDF製の天板のサイズは「160x160mm」
これは、小型のブックシェルフスピーカーの底板よりもやや小さめの天板サイズであることがほとんどです。おそらく不要振動を最小化するために、最小限の大きさの天板となっていると考えられています。

MDF製天板(左が190x190mm、右が160x160mm)

安定性については、ほとんどの場合は必要十分で問題ないはず。(この次の項目で、付属の固定用両面パテについて記述します)やや小さめの天板でそのまま使っていただくのがヨーロッパでは標準的な使い方で、振動を考慮した構造上もベストです。なお、それよりもやや背の低いSS-5については、やや大きなスピーカーを支えることを想定し、天板もやや大きめの190x190mmサイズとなっています。

ただ、SS-6, SS-7をお使いの方で、奥行き方向に深いタイプのスピーカーをお使いの場合など、どうしても大きめの天板を使いたい、という方は、別売りのSS-5用の「190x190mm」の大型天板を装着することも可能です。
ただし、最初からついてくる160x160mmの天板を取外して、ということではなく、追加購入となりますので、その点についてはご理解のほどよろしくお願い申し上げます。大型天板は後から追加購入可能ですので、まずは最初についてくる160x160mmの天板の状態で音質や座りの具合を試してみることをお勧めします。


  • スピーカーと天板の間(両面パテについて)

スピーカーを設置いただく際は、そのまま直に置いても良いですが、初期状態で横滑りなどを防止し、設置を安定させるために、付属品の中には両面パテ(パタフィックス)が含まれています。

両面パテ(パタフィックス)

日本は地震の多い国。ある朝起きたらスタンドから愛用しているスピーカーが転げ落ちていた、という場面など想像したくもありませんよね?そこで、メーカーでは安全のためにパタフィックスの使用を推奨しています。大地震に耐えるのはさすがに無理ですが、震度1〜3程度の軽い地震であれば問題ないはずです。

ただ、スピーカーと天板の間は重要な音質チューニングポイントでもあります。スピーカー本体底面にフェルトやシリコン、ゴムなどのパッドが貼ってある場合もあるでしょうし、何かお好みの市販のインシュレータを挟んでいただいても構いません。また、このパタフィックスについては、いくつか使用上の注意点がありますので、以下に少し書いておきます。


同梱されている両面パテ(パタフィックス)についての注意点;
同梱されている両面パテは、スピーカーがスタンドから滑り落ちないよう固定して安定させるためのものです。これをスピーカーとスタンド天板の間に挟んでいただくことでぐっと安定感が増します。横滑りを防止し、より安定させることが可能です。もし、すでに市販のインシュレータをお使いになっているなど、特に不都合無いようでしたら、お使いいただく必要はありません。
両面パテの粘着力、安定感は意外に強力で、軽量級の小型スピーカーの場合、スタンド自体も重量級ではないこともあり、外そうとした際に一瞬スタンドごと持っていかれそうになるほどです。
しかし逆に、その強力な粘着力ゆえに、特に重量級のスピーカーや表面のデリケートなスピーカーをお使いの場合は、剥がれなくなったり、表面にダメージを与えることのないよう、慎重にお使いいただいた方が安全かと思います。なお、両面パテを剥がす際のスピーカー表面の剥離などについては弊社では責任を持てませんのでご注意ください。まずは目立たない場所で試すなどしていただき、問題ないことを確認した上でご使用ください。もしも、転倒や滑落などの不安をお感じになる場合で、両面パテも使いたくないような場面では、市販のインシュレータや転倒防止用の固定ベルトなども選択肢にご検討いただいた方がよろしいかもしれません。

ちなみに、スピーカーメーカー側からの視点の一例として、英Harbeth社英国本国のウェブサイトを確認したところ、以下のような記載(日本語は意訳)がありましたので、よろしければこちらもご参考になさってください。付属の両面パテ「パタフィックス」は、ここで記載されている「Blu-tackなど」に近い性質のものです。(ひょっとするとSolidsteelのSSスタンドを意識している可能性も?実際HarbethとSolidsteelも定番の組み合わせです)
「注:スピーカーの下部とスタンドの上部の間のインターフェースとして、フェルトまたはゴムのドット(小さい丸型のパッド形状のもの)をお勧めします。どうしてもBlu-tackなどを使用する必要がある場合は、突板から剥がす際に取れなくなってしまう恐れがあるため、米数粒よりも大きくない程度の必要最小量を使用してください。」
(原文: https://harbeth.co.uk/userguide/

  • 天板とシャーシの間(金属球のはなし)

天板と3本のステンレス脚の間は、パチンコ玉のようなステンレス球によって支えられています。このステンレス球は3点の脚の軸上に配置されており、各脚の重量を「点」で受けるよう設計されています。
しかし、このままでは不安定なので、一本の長いネジで上下から挟み込むことでガッチリ安定させる機構です。これにより、スパイクのような振動伝達カットの効果を持ちつつ、構造物としての安定感を両立させています。(※スパイクについては後述)

天板とフレームの間は金属球により「点」で天板の重量を受け止める構造

2. 中段:スタンドシャーシ内部について

SSスタンドのシャーシはパイプ構造となっており、内部は空洞です。指で叩いてみると、カンカン鳴るのがわかるでしょう。しかし、薄っぺらい響きではありません。必要な強度はしっかり確保しつつ、振動を重量で無理やり抑え込むまず、音楽のエネルギーや響きを殺さない構造です。何も入れない状態のSSスタンドは、開放感のある音質で、特にヨーロッパの箱鳴りを活かしたタイプのスピーカーには、音楽的な響きを殺さず、相性がとても良いとの評価です。オーディオショーなどでも大活躍しており、ヨーロッパでは、スピーカーの新製品発表の際、純正スタンドが未発売の場合などは決まってこのSSスタンドが登場するほど。(例:KEFをはじめとする有名ブランドや、新興スピーカーメーカーなど)

しかし、部屋や装置との相性で、「不要な鳴き」と感じる場合も中にはあるかもしれません。その場合は、底部にある、スパイクを取り付けるためのネジ孔を通じて、内部に砂や金属粉などを充填し、制振することが可能です。ただ、繰り返しになりますが、何も入れない「素の状態」でも音楽性が高く、かなりイケておりますので、まずこの状態での音を聴いた上で次のステップを考えるのがよろしいかと思います。

もし内部に制振材を入れたい場合については、純正品のご用意はなく、メーカーとして公式に推奨している素材なども現時点ではありませんので、制振材の使用については自己責任となる点にご注意ください。その場合はスパイク取り付け用のネジ穴を通じ、小型の漏斗などを使って入れることが可能です。

スパイク取付用のネジ穴からダンプ用の充填剤を入れることが可能


ただ、よく質問をいただくので一応ここに書いておきますと、一般的にはジルコンサンドや珪砂などがよく使われるようです。素材の選び方については、よく乾燥しており、腐食しにくい(錆びない、カビない、虫が湧かない)素材であることが絶対条件です。昔は生米などを使う方もいたようですが、虫がつく場合があるので避けた方が無難でしょう。入れる量によっても音質が変化しますので、こちらについても、まずは何も入れない状態からスタートし、少しずつ足しながら音質を比較いただくのが良いと思います。入れる場合の分量は1/3〜1/2程度とすることが多いようです。

もしも「素」の状態で響きが多すぎたり、解像度が甘く感じる場合は、何か充填してみる、スパイク周りのセッティングを変更する、などを検討されても良いと思います。充填剤を増やしていくと響きが少なくなっていき、解像感が明瞭になる傾向があるようですが、トレードオフとして音楽の躍動感、生命感は失われると感じる方もいるようです。試聴によりベストなバランスを探っていくと良いでしょう。この辺りの微妙なセッティングは、その時は良いと思っても時間が経つとイメージが変化することがほとんどです。また、微妙なチューニングに集中しすぎるあまり木を見て森を見ずということになってしまう可能性もありますので、本気でセッティングする場合は、何日かに分けて、さまざまな音源を再生してセッティングを詰めていくと良いでしょう。ただし、何事もやりすぎは禁物です。

3. 下段:足について

足についてもいくつかのヴァリエーションがあります。

  • 樹脂製パッド付きの足について

初期状態では樹脂製パッド付きの足がついています。

最初についてくる、樹脂製パッド付きの足(写真は上下逆さまの状態)

初期梱包の状態では、ポリエチレン製の緩衝材が入っていますので、一度足を外して、使用前に取り除いてください。床の状態や、簡単にスパイクを立てられない場所でお使いの場合など、樹脂パッド足の状態でもそのままお使いいただけます。しっかりと奥までねじ込み、なるべくがたつきがないようにしてください。安定性と音質、両方にとって重要です。ただし、スパイクをお使いいただくのがメーカー側からの推奨ではあります。

  • スパイクについて

Solidsteel製品と言えばやはりスパイク

Solidsteelのほとんどの製品には何らかのかたちでスパイクが搭載されており、SSシリーズスタンドにももちろんスパイクが付属しています。樹脂パッド足の手軽さも魅力的ですが、設置位置がある程度決まったら、ぜひスパイク足もお試しください。

取り付けは簡単。初期状態でついてくる樹脂製パッド付き足はねじ込み式ですので、これを外して、代わりにねじ込んで装着するだけ。


付属品のスパイクホルダーを装着した状態(写真は上下逆さま)


スパイクは、床への振動伝達を効果的に遮断するためのものですが、ガタツキを抑える効果もあり、大きな音質向上につながります。
上記ですでに述べたように、メーカー推奨の標準セッティングは、「スパイク装着状態で、スパイク受けを使うこと」ですが、さらに、床が硬くて、傷もへっちゃらという、日本の中ではたいへん恵まれた環境をお持ちの方、是非、スパイクホルダーを使わずに、スパイクを直接床に突き立てる方法を試してみてください。床の素材等によって多少の相性があるようですが、スパイク受けを使うより音質がよくなる場合がありますので、比較されることをお勧めします。ヨーロッパではよく見かける方法です。柔らかい床にスパイクを直接突き立てるのは、せっかくのスパイク効果が半減してしまうため、スパイクホルダーを使った方が良い結果が得られる場合が多いようです。この辺りも比較試聴の上でベストなセッティングを探っていただきたいところです。

実は、少し前まではスパイクホルダー(スパイク受け)は別売りでしたが、現在は新しい付属品として「ミニ」スパイクホルダー(直径約1.5cm)が同梱されることになりました。

上が旧モデルのオプション、直径2.5cm、下が現行モデルの付属品、直径1.5cm


ただ、付属しているものは、最小限の大きさのものですので、安定感についてはやや不安が残るケースもあるかと思います。例えば、畳やじゅうたんなど、床が柔らかい場合は、重量をかけない状態ではスパイクホルダーが水平になりづらかったり、設置する際、鋭いスパイクを扱いつつ、切っ先を受けるための的(マト)が小さいため手を滑らせるとケガをしやすい状況になります。くれぐれもご注意ください。もしミニスパイクホルダーでは不安、という方には、旧ヴァージョンのスパイクホルダー(直径約2.5cm)を別途ご購入いただくことも可能です。

また、スパイクホルダーはサードパーティ製でも良いものがたくさんあります。ここでは特に紹介はしませんが、ご自身の気に入ったもの、普段から信頼されているものを自由に選んでいただければ楽しいかと思います。


その他


たまに「仕上げの色による音の違い」について質問をいただくことがあります。厳密にお答えすると、オーディオは何をやっても音が変わる、というのが正確な回答になるかと思います。ブラック、ホワイトのペイント塗装がしてあるモデルと、無塗装仕上げのものは、叩いた(ノックした)時の響きが若干異なります。ペイント塗装のものはコンコンというニュアンスであるのに対して、無塗装仕上げのものはカンカンと若干明るい感じの響きです。実際の音質も、わずかに明るい響きが乗ってくるように感じるかもしれません。ただ、この変化はセッティングなどの他の要因と比較するとそこまで大きな変化ではないかな、と個人的には思います。充填剤を挿入することで鳴き止めする方法もありますし、現実問題としてはそれほど意識しなくても問題ないのでは、と考えております。その差がどうしても気になる、という方は両方お買い上げいただき、その日の気分によって使い分けていただくと楽しいかな、と思います。😁

まとめ

いかがでしたでしょうか。
スピーカースタンドという、一見シンプルな製品にも、これだけたくさんの工夫と使いこなしのノウハウが詰まっていることがお分かりいただけたかと思います。
移り変わりの激しいオーディオ業界で、30年以上製造され続けて今なお現役・定番モデルに君臨し続けるというのは、やはりタダモノではありません。
小型スピーカーの比較試聴の際など、信頼できる相棒、レファレンスとして、この名品をぜひ1セットお手元に、末永くご愛用いただければ幸いです。


販売店の情報や購入方法などについてはウェブサイトに掲載しています。ぜひチェックしてみてください。



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