日々是考日

エッセイ

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母は全て知っている。

就活真っ最中の大学3年生の冬。 その頃はほぼ毎日、面接のために実家の滋賀県から大阪に電車で通っていた。 雪が降りそうな薄く曇った日に、僕は珍しく寝坊した。 「ドタドタドタドタッ!!!!!」 うちの階段は駆け降りると本当にこんな音が鳴る。 リビングに入るとそこに母がいた。 母はよく文句は言うが、怒ることはあまりない。 その日は珍しく、静かに、イカっていた。 「あんたは優しいけど、思いやりがない。」 ぼくにそう言い放った。 急いでいたので、そのときはあまり考えず、

    母は全て知っている。