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割合クォンタイズと『アキレスと亀』

この記事は無料です。DAWでの制作のお役に立てたら幸いです。

MIDI打ちテクニックの話です。
MIDIキーボード打ち込みをしていて、クォンタイズを使わない人はいないのではないでしょうか。
でも「クォンタイズするとリズムがショボくなってテンション下がる」「素人っぽい音になる」など、なんとなくモヤっとしちゃう。そういう経験、ありますよね。

そこで活躍するのが割合クォンタイズです。その使い方とメリットをメモしておきます。

あらまし4ー6C

たとえば8ビートのドラムを打ち込むとき、キーボードを叩いてそのままだとヘタっぴ過ぎて使い物になりません。私のような鍵盤の心得が浅いDTMerあるあるだと思います。
そこで普通にクォンタイズするのですが、(もちろんそれでも8ビートは成立しているのですが)ロックぽいノリや荒っぽさがすべてクリアされて味気ないビートになってしまいます。

そこで役に立つのが割合クォンタイズです。
DAWごとに表現は違いますがどのDAWにも入っているはずです。クォンタイズの詳細に「強さ(%)」を調整できます。
StudioOneではキーボードショートカットで50%で検索すると発見できます。

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すごくよく使うので普通のクォンタイズ「Q」に対して、
50%クォンタイズは「Shift+Q」にアサインするといいと思います。

そのままクォンタイズしちゃうと味気ないけど、50%クォンタイズを2回ちょちょっとやると、だいたいグリッドに寄った、けどアタックの位置がそれぞれ微妙に違うトラックが完成します。
MIDI打ちではアタックをずらすことでサウンドがリッチになるので、ドラムに限らずMIDI打ち全体で活用するといいでしょう。

『アキレスと亀』

あらまし4ー6D-1(ドラッグされました)

アキレスと亀のパラドックスはギリシアの数学者ゼノンが提唱したものです。
走るのが得意で足の速いアキレスと、のろまな亀が徒競走をすることになり、足が早いアキレスはハンデとして少し後ろからスタートします。
そこでゼノンはこう考えました。

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アキレスは亀との距離の半分まで行かなきゃいけません。それはその通りですね。

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この考え方だと、さらに半分のところへ、そのさらに半分、、、、、と、距離は縮まるけど追いつけない。半分までいくという理屈は正しいのに追いつけない、おかしいというのが『アキレスと亀』のパラドックスです。
パラドックス自体はあまり重要ではありません。50%クォンタイズの話です。

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『アキレスと亀』のパラドックスと同じで、50%クォンタイズをかけてグリッドにピッタリくっつくまでは、かなりたくさんの50%クォンタイズをかける必要があります。つまり100%にはほぼならないということです。
すると、簡単なフレーズでも自分らしいノリを帯びた、でもヘタッぴじゃない打ち込みが完成します。

特に、ドラムやベースのような、一定のパターンをキープするようなトラックに有効です。このテクニックは生っぽい演奏をシミュレーションするだけでなく、テクノやEDMなどの打ち込みでも有効です。

ちょっとのことですが効果は絶大。なにより制作の速度が向上するでしょう。
まとめると、

・50%クォンタイズをショートカットにアサイン
・アタックが整いながら微妙にずれたMIDIデータが簡単に作れる
・100%クォンタイズでは得られない自分らしさを担保できる

ということです。
活用してみてください。きっと驚くほどイキイキしたトラックになります。

<追記>

最近#深夜の2時間DTMで制作ライブ配信をしています。50%クォンタイズを使ってるとことのリンクを貼っておきます。クォンタイズしているところは、この曲の場合は全部割合クォンタイズです。

制作配信↓

https://youtu.be/fxTiGKBqFVw?t=951

完成版↓




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