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「鉛筆一本でも絵を描くやろ?」

音楽学校にいた頃のちょっとした「テクニックについて」の雑談を思い出したのでメモ書きに残しておきます。
もしかしたらこの問題で悩んでる人の役に立つかもしれませんから。

関西で現在も精力的に活動を続けているドラマー松田”GORI"広士先生。
いわゆるテクニカルドラマーと称される通称ゴリ先生。

ある日、いつものように休憩室でダベっているところの先生がきて雑談に興じていたとき、友人の一人が「先生みたいにテクニックがあればなぁ」とボヤキました。
するとゴリ先生はタバコを燻らせながら、こう語り始めました。


「例えば『絵を描きたい人』は鉛筆一本でもザーッと描いてまうやろ?
 音楽も一緒で、いまあるテクニックでやりたいことをやれるんちゃう?」

「(そのうえで)テクニックっていうのは画家にしてみたら画材で、
 絵の具とか油絵の具とかアクリル絵の具みたいに、
 いっぱいあった方が幅広く絵を描ける、ツールでしかなくてな。
 赤の絵の具しかないのと、何種類の色が使えるのとで絵を描いたとして、
 色の数と絵の良さって関係あるかっていうと、
 それは別の次元の話ちゃうかな」

「音楽やって、『お前ヘタやなぁ』って奴でも、
 なんか表現しようとして胸打つことってあるやん?
 画家やって色の選択に幅があった方が伸び伸び描けるんやろうけど、
 ピカソやって鉛筆一本で凄いって絵、いっぱいあるやん」

「それに、画家やったら画材っていくらあっても困らんかろ?
 音楽のテクニックも、それがあって困ることなんてあらへんからな。
 テクニックに拘りすぎるんは、画家じゃなくて道具オタクやで

「やからすでに『やりたいこと』がある奴は何か作ってるし、
 それがないならテクニックをやるしかないやんな」


ぼやいていた友人は閉口して、僕は大きく頷いた。
この「絵描きは鉛筆一本でも絵を描こうとする」という例えは、
きっとあらゆる分野でも同じことが言える金言だろう。

テクニックはいくらあっても困らない。

表現したいこと、やりたいことが(そういうのは突然に)やってきた時に、
ちゃんとできるようテクニックを集めておこうぜ。

そういうお話でした。

<余談>
15年近く前のエピソードなので話し方や内容はうろ覚えですが、ディープな関西弁と謎の業界用語を駆使する愉快なゴリ先生。他にもたくさんの本質を教えていただきました。今後も活躍を遠方より期待してます。ちなみに白石くん(Bass)は高校からの付き合いがある後輩です。よしなに。

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