みつばちのあくび

主に短編小説を書く人。 僕の思考回路を覗き見できるような小説を目指して。 だいたいフォ…

みつばちのあくび

主に短編小説を書く人。 僕の思考回路を覗き見できるような小説を目指して。 だいたいフォロー返すと思います。

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[初投稿]自己紹介

みなさんはじめまして。 僕は、みつばちのあくび です。 いろんなことをぼんやりと思考しながら、マイペースに生きている人間です。 年齢・性別は伏せておきます。 周りからの人たちから「ちょっと変わってる」って言われる僕の思考を、小説にのせて届けていければいいなぁ、って思います。 突然ですがここで、名前の由来をちょっとお話します。 人間だけでなく、魚類、鳥類、両生類、爬虫類までもが、その目的は違えど「あくび」という行為をします。 でも、虫やイカ・タコなんかの無脊椎動物は、

    • [短編小説]たぷたぷのよる

      なんとも言えない可愛らしい鳴き声が、僕の鼓膜を微かに震わせた。日本語はそれを「にゃあ」と表現するけど、正直言うと「にゃあ」には聞こえない。「ミィアオゥ」と表現するのが近いかもしれない。そしたら、英語の「meow」は結構的を射ているのかもしれない。そんなことを考えていたら、ついさっきまで寒いから1秒でも早く家に帰りたいと思っていたのに、「ミィアオゥ」の主を一目見たくて仕方がなくなってしまった。 街灯がついているのに暗い、住宅街の細い路地。車はきっとすれ違えない。窓から漏れる光

      • [自由詩]伝える

        ごめんね。だいすき。 素直に伝えられたなら。 そんなもやもやを抱えて、 浅い眠りにつく。 言えなかった言葉も、 仲違いしたあの人も、 夢の中では話せる。 素直に、声に出して。 僕らは言葉の造形師。 自分で鋳型を作っては、 「意味」の鉄を流し込む。 無意識に、でも思うままに。 丸い型なら丸く、 剣の型なら剣に。 その剣も誰かを傷つけるし、 誰かを守ることができる。 伝えることは怖い。 黙っているのは辛い。 でもそうやって考えている、 貴方はきっと、優しい。 伝えなくち

        • [短編小説]セットひとつ分の愛の話

          テーブルにトレーを置いて、向かい合わせに座る。彼女は僕と頑なに目を合わせないけれど、その理由は赤く腫れた目元を見れば一目瞭然だった。 ハンバーガーにかじりついて、彼女が話しだすのを待った。彼女はソフトドリンクを1口飲んで、深呼吸してなにか話そうとしたが、かすかに動いた唇は少し震えてまた閉じた。 「まあ、食べなよ。冷めるよ。」 僕の声掛けに彼女は小さく頷いて、いつもより小さい1口目をゆっくり噛みしめた。僕はポテトで時間稼ぎをする。あまり早く食べると、急かしてるみたいに思え

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        [初投稿]自己紹介

          [短編小説]つむぐ、しあわせ

          「お誕生日おめでとう」 清々しい夏の陽の光が差す朝、彼女はいつもの穏やかな笑顔で、僕にカードを手渡してきた。小さくて、ちょっとむっちりした手が可愛らしい。そして、その左手の薬指に、僕があげた指輪が光っているのが、愛おしい。 「ありがとう」と言って受け取ると彼女は嬉しそうに「えへへっ」と笑った。その子供っぽい笑い方も、全部全部全部大好き。僕は満ち足りた気持ちでカードを開いた。カラフルなペンで、お祝いのメッセージとイラストがかいてある。特徴的な丸文字が愛らしい。 しばらく眺

          [短編小説]つむぐ、しあわせ

          [自由詩]5分間の恋

          駅の跨線橋を登る途中 ふと顔を上げると入道雲が佇んでいた よくよく見ると、なんだか 微笑む無垢なうつくしい女性に見えた それはまさしく一目惚れであった 空の色が薄まってきた夏の夕暮れ 歩けばまだ汗が滲む程度には暑い その中で貴女は、静かに笑っていた そのうつくしさを切り取るべく 貴女がもっとよく見える場所まで アスファルトを早足で歩いた 雲の流れに急かされるように ようやくひらけた場所に出て レンズを向けて画面を覗いた 見れば貴女はいつの間に ドレスを纏った猫に変わって

          [自由詩]5分間の恋

          [詩]Pluto

          私はちっぽけ 九番目 太陽系の 果ての果て 仲間だった はずだった 貴方と共鳴 二対三 歪み割り込む この道が 目障りでしょう 邪魔でしょう どうにもできない 自分では はみ出していく 1人だけ 貴女はちっぽけ 九番目 太陽系の果ての果て 仲間「だった」? いまもだよ 貴女と共鳴 三対二 ずれて交わる その道を ずうっと見てる 受け入れる どうしようもなく 好きだから はみ出していけ 迷わずに 僕らはちっぽけ 何番目? 太陽系の三番目 仲間だから いつだって 僕らは共鳴

          [短編小説]飽くまで悪魔、悪魔で天使

          小さい時の夢をよく見る。 泣き出した天使の女の子の元に、たくさんの別の天使たちが駆け寄る。「どうしたの」「だれになにされたの」「なかないで」と、優しい言葉たちをつぎつぎに女の子にかけていく。 女の子は涙を流しながら、ゆっくりと、腕をあげる。肘から手首、指先まで、なめらかな動きを覚えている。そして、僕の、顔をまっすぐ、指さして、止まる。 天使たちの視線が僕に突き刺さる。棘のある言葉たちをつぎつぎに僕に浴びせていく。なにを言っているのか、思い出せない。ただ、一言だけはっきりと聴こ

          [短編小説]飽くまで悪魔、悪魔で天使

          [短編小説]ひび割れを継ぐ

          ぽろっ。 あ、まただ。 私は鏡を見てため息をついた。結局パジャマになってしまった、勢いで買ったダサいTシャツから覗く鎖骨のあたりに、小さなひび割れができている。その一部分が剥がれて落ちたのだ。 みんなが想像するような、乾燥による肌荒れの状態ではない。私の身体にできるのは、まさしく「ひび割れ」。陶器のようにピシッと割れて、一部分がぽろっと取れてしまう。取れたところは穴が空いたみたいになって、身体の中が見えるわけでもなく、ただただ暗くて何も無い。指を入れようとしてみたけど、押し

          [短編小説]ひび割れを継ぐ

          [短編小説]ナガミヒナゲシの頬

          すごくありきたりな表現だけど、心に電流が走ったような感覚だった。 一目惚れというか…一聴き惚れ?その両方かもしれない。上手い言葉が見つからない。 春にしてはなんだか蒸し暑い、新月で星の綺麗な夜だった。くたびれた顔のサラリーマン、飲み屋街へ向かう若い人たちの集団、頬を紅潮させたカップル、そして僕のような学校帰りの学生…いろんな人が行き交う駅前の広場で、彼女は1人、アコースティックギターと共に佇んでいた。 僕以外は誰も、彼女の歌声に耳を傾けようともせずに、雑踏の中に消えていった

          [短編小説]ナガミヒナゲシの頬

          [短編小説]えがお、ひとつぶ

          電車が走り出した。 ぎりぎり、間に合ってよかった。この電車を逃すと30分待つ羽目になるから、危なかった。 空いてる席を見つけて、座った途端に無意識にため息が出た。 もうすぐ社会人になって3年が経つ。いっぱい働いて、会社のために頑張ろうと意気込んでいた3年前の自分は一体どこに行ったのだろう。 今の僕は、残業続きの毎日に、うんざりしている。太陽がまだかろうじて出ているこの時間に帰れるのは、何日ぶりだろうか。 どこかに遊びに行った帰りと思しき女の子とその母親らしき女性の姿を見

          [短編小説]えがお、ひとつぶ

          たくさんスキしていただきありがとうございます🙇🏻‍♀️‪‪ これからも僕の短編小説をよろしくお願いいたします

          たくさんスキしていただきありがとうございます🙇🏻‍♀️‪‪ これからも僕の短編小説をよろしくお願いいたします

          [短編小説]パレットの上でコーヒーを

          「ねえねえ、お願い、コーヒー淹れて」 彼のこの一言が、私たちの夜の始まりの合図。私は軽く頷いて、キッチンに向かう。 彼はテーブルに新聞を広げて、小学生の時から使っている物だという、側面にひらがなで「まるやま はるた」と書いてある筆洗に水を入れた。今日は絵か、と思いながら私もお湯を沸かす。 彼が大学生になってから、もうすぐ3年が経つ。彼は幼稚園の先生になるために、大学で日々の講義に頑張って出席している。 しかし彼は美術が得意ではないため、美術系のサークルに入っていろいろ教え

          [短編小説]パレットの上でコーヒーを

          [短編小説]命の証明

          鉛のようになった身体を引きずりながら歩く。落ち込んでいるわけではないけど、俯いたまま。何となくついたため息は、沈みかけの夕日を白く霞ませて消えた。 代わり映えの無い毎日。朝起きて、おしゃれするわけでもなく適当に髪を結んで家を出て、特別仲良くも悪くもないクラスメイトと一定の距離感で1日を過ごし、何となくで入った管弦楽部でまるで機械のように自分のパートを黙々と練習し、家に帰っても家族と多くは話さずに自室に閉じこもり課題をやって寝る。毎日この流れは変わらない。 家に着き、ただい

          [短編小説]命の証明

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          [短編小説]蛙

          ⚠︎ややグロ注意です ぱたぱたぱた、と雫が屋根を叩く音で目が覚めた。カーテンを開けると、外の景色はしっとりと雨に濡れていた。ここ最近、降るのは雪ばかりだったから、久しぶりの雨はいつもより美しく見えて、思わず見とれてしまった。 時計の短針は9に寄りかかってうたた寝をしているように見える。平日ならこの時間はデスクに向かって、びゅんびゅん進む時計の針とにらめっこしながら、いかに今日のノルマを残業せずに達成するかだけを考えているなぁ、なんて考えながら、適当に食パンと温かいコーヒー