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70年周期説

最初の節目は1945年です。
お分かりのように当時の日本は敗戦に打ちひしがれていました。
日本全体、1千万人が飢えると言われていた時代です。
この1945年が歴史サイクルの始まりと考えれば、
70年後の2015年が新しい時代の始まりであることが予測できました。
この歴史サイクルは非常に面白いですが、
時代が変わる時にはどうなるかというと、
一番トップにいた人が引き摺り下ろされます。
例えば戦前は子どもの憧れが陸軍大将のような
軍のトップだったわけですが、
戦後は「戦犯だ!」と言われてしまうわけです。

1945年、日本は焼け野原になりましたが、
そこを立て直したのは30代から40代の人たちです。
こうした人たちは、ある程度仕事で経験を積んでいます。
「これから社会で頑張るぞ。活躍するぞ」という意欲もあり、
経験もあります。
もちろん、ほとんどの人は今日を生きるために精いっぱいだった人です。
ただ、ほんの一部のビジョナリーな人たちが夢を抱き始めて、
行動に移していました。
その人たちが新たに時代を作ることでヒーローになっていったわけです。
「創造者」と「実務者」と「管理者」

もう少し掘り下げてみましょう。
1945年の時には、井植歳男さん、井深大さん、本田宗一郎さん、
こういう方々が30代の半ばから40代で、
文字通り日本が世界に誇るような企業を起こしました。
これらの方々は「創造者」です。
次に70年周期の70年を4分割してみます。
だいたい17~18年になりますよね。
1945年に17、18を足すと1963~1964年になります。
1964年は東京オリンピックの年です。
この時、井深さん世代の人たちは、50代半ばから60代になります。
このようなイノベーターは「よし、俺の時代だ」と言って、
権力にしがみつくのではなく、次の世代にバトンタッチをしようとします。
バトンタッチされた人は、その時の30代半ばから40代になります。
具体的には盛田昭夫さん、中内功さん、伊藤雅俊さん、
和田一夫さんといった方ですが、
こうした流通業に携わる人たちがヒーローになりました。
彼らは「実務者」です。

「実務者」世代の代表格が、
ソニー創業者のひとりである盛田昭夫と言えます。
なぜかというと、モノはすでに作られています。
次に必要なのは、広げることだからです。
よって当時は流通業がものすごく広まり、
この流通業に携わった人たちが
時代のヒーローになるということになります。
それから、さらに17年から18年が経つと今度は1980年代に突入します。
その時は、モノはあるし、広がってもいますよね。
次に何をすればいいかというと、モノをよくするしかないわけです。
つまり付加価値を付けるところですね。
そこで、どういう人たちが活躍するかというと、
大前研一さんや、堀紘一さんのような経営コンサルタント、
そしてよりいい生活、よりおいしい生活を作り出した
糸井重里さんのような方々が活躍することになります。
彼らは「管理者」です。
このように、時代がバトンタッチされていきました。
1980年代は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われた時代です。

それから、さらに17年、18年経つと、1998年になります。
そうすると、次はどういう人たちが活躍するでしょうか。
すでにモノは作られています、広がっています、よくなっています。
「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われて、
そして、「日本、向かう所敵なし」と思われた時に、
一体誰にバトンを渡すのか。当時、30代半ばから40代の方になります。
しかし、彼らはやることがない。やることといえば、壊すしかないんです。
なぜ壊すのか。既得権益層が壁厚く、上部に居座っているからです。
つまり、高度成長期を牽引してきた価値観を壊していかないと
次には向かえないということです。
高度成長期、素晴らしいです。
でも、100パーセント素晴らしいでしょうか。違いますよね。
考えてみれば、やっぱり「拝金主義」はまずかったでしょう。
また、「サスティナブルな経済を作らないで、拡張、拡張、拡張でいいんだろうか?」といった反省もあります。
その中で起こってきたのが、当時普及してきたインターネットビジネスです。
ヒエラルキーを破壊することによって、次の新しい時代の価値観を作り始めた人たちがいます。
彼らは「収穫者」ですが、具体的には孫正義さん、三木谷浩史さん、
熊谷正寿さんなどです。

このように時代のサイクルが、作るところから、広げ、そして、良くして、壊すといった形で回っていきました。
そして、今度は堀江貴文さん、藤田晋さんに代表されるように、
新しい時代の価値観を作り込むというサイクルで巡っていきます。
あたかも、これはまるで四季のように回っています。

70年前の1945年前後は、先の大戦を経て、
戦前と戦後ではそれは全く別の社会になったことを体験しました。
さらに遡ること140年前の1875年前後は、
明治維新により長く続いた江戸時代が終焉し、
わが国は近代国家としてまさしく生まれ変わりました。

これからの70年をどう描いていくか。
日本人は試されていると言えるのではないでしょうか。

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