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【雑文】2023年に観たオススメのミステリー映画

 昨年は1年間、観た映画を記録してみました。全部で95本観たようです。他にもテレビドラマやアニメ作品も観ているので、動画作品は大量に消費してきたみたいです。
 その中で、コレは面白かった! 他のはいいからコレは観て! というのをピックアップしておきます。暇だなぁ、なんか映画でも観ようかなぁ、と思った時はこの辺をどうぞ。想像を超える結末をお楽しみに。


罪の声

原作は、塩田武士『罪の声』(2016年、講談社)。
映画は2020年公開。小栗旬、星野源が主役です。
アマゾンプライムで視聴。

35年前、日本中を巻き込み震撼させた驚愕の大事件。食品会社を標的とした一連の企業脅迫事件は、誘拐や身代金要求、そして毒物混入など数々の犯罪を繰り返す凶悪さと同時に、警察やマスコミまでも挑発し、世間の関心を引き続けた挙句に忽然と姿を消した謎の犯人グループによる、日本の犯罪史上類を見ない劇場型犯罪だった。大日新聞記者の阿久津英士(小栗旬)は、既に時効となっているこの未解決事件を追う特別企画班に選ばれ、取材を重ねる毎日を過ごしていた。一方、京都でテーラーを営む曽根俊也(星野源)は、家族3人で幸せに暮らしていたが、ある日、父の遺品の中に古いカセットテープを見つける。「俺の声だ-」それは、あの未解決の大事件で犯人グループが身代金の受け渡しに使用した脅迫テープと全く同じ声だった!やがて運命に導かれるように2人は出会い、ある大きな決断へと向かう。

(C)2020 映画「罪の声」製作委員会

1984年に「グリコ・森永事件」という実際に起こった未解決事件があったそうです。それをかなり忠実になぞりながら描かれた作品。
事件当時ではなく35年後、知らずに犯罪に加担させられていた当時の少年が過去を調べ出すというストーリーライン。35年後に当時のことを掘り返すなんて無理なんじゃね?と思うけれど、強烈な印象を残した事件であり、事件関係者に取っては忘れられない記憶。むしろ時間が経ったからこそ語れる、という説得力のある展開でした。
脅迫テープの声は全て少年少女で計3つ。うち1つが主人公である曽根俊也(星野源)の声。残り2人を探し、1人に会える。その1人の風貌と語る半生、そして「貴方はどんな人生を歩んだのですか?」(うろ覚え)という問いかけに窮する曽根俊也が印象的でした。
あと、テイラーである曽根のスーツがいちいち素敵。既製品を着る小栗旬との対比が良くて、ああそうそう確かに仕立てたスーツって見てわかるよね、格好良いよね、という感想を持ちました。お店の雰囲気と、ロンドンの叔父の本屋の雰囲気も似ていて良かったです。
鑑賞後の満足感もある、面白いミステリー映画です。


ナイブズアウト 名探偵と刃の館の秘密

映画は2019年公開。アメリカ映画です。
アマゾンプライムで視聴。

NY郊外の館で、巨大な出版社の創設者ハーラン・スロンビーが85歳の誕生日パーティーの翌朝、遺体で発見される。名探偵ブノワ・ブランは、匿名の人物からこの事件の調査依頼を受けることになる。パーティーに参加していた資産家の家族や看護師、家政婦ら屋敷にいた全員が第一容疑者。調査が進むうちに名探偵が家族のもつれた謎を解き明かし、事件の真相に迫っていく―。Knives Out (C) 2019 Lions Gate Films Inc. and MRC II Distribution Company LP. Artwork & Supplementary Materials (C) 2020 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

ウィキペディアを見ると、ライアン・ジョンソン監督が撮影するずっと前のインタビューの中で「アガサ・クリスティの推理小説を思わせるようなミステリ映画を撮ってみたい」という主旨の発言をしていたとか。まさにそれ。アガサ・クリスティ的映画でした。
本編の進み方が初めから推理小説的で、おお?と思っていたのですが、かなり序盤で犯人が分かり、事件時の出来事と隠ぺい工作が描かれます。倒叙ミステリーかと思って観ていたら、犯人の予期しないことが起こり、全員を集めたところから、さらに覆される。
心地良く騙されながらも、舞台の御屋敷の調度品とか間取りとかに萌えることもできて、本格ミステリー好きにご覧いただきたいお話でした。
ちなみに続編もNetflixで公開されているらしいです。はやくアマプラに来い!


ゴーンガール

2014年のアメリカ映画。視聴時は気づかなかったけど監督がディビッド・フィンチャー。アマゾンプライムで視聴。

「セブン」「ソーシャル・ネットワーク」の鬼才デビッド・フィンチャー監督が、ギリアン・フリンの全米ベストセラー小説を映画化。「アルゴ」のベン・アフレックを主演に、ロザムンド・パイク、ニール・パトリック・ハリスらが共演。幸福な夫婦生活を送っていたニックとエイミー。しかし、結婚5周年の記念日にエイミーが失踪し、自宅のキッチンから大量の血痕が発見される。警察はアリバイが不自然なニックに疑いをかけ捜査を進めるが、メディアが事件を取り上げたことで、ニックは全米から疑いの目を向けられることとなる。音楽を、「ソーシャル・ネットワーク」「ドラゴン・タトゥーの女」でもタッグを組んだインダストリアルバンド「ナイン・インチ・ネイルズ」のトレント・レズナーと、同バンドのプロデューサーでもあるアティカス・ロスが共同で担当。

映画.comのサイトより

タイトルのゴーンガールは「Gone Girl」。
148分の長尺映画ですが、この間に3転、4転する。元になった小説もあるようですが、ストーリーの作り方が緻密で、ぐうの音も出ない。いやあ、もうアメージング・エイミーです。
主人公の妻の突然の失踪、事件の臭い、主人公への容疑に不倫。最初の小一時間はダメダメな主人公の話ですが、その後の展開が凄い。妻の策略、予定外の事件、機転を利かせた次なる展開、そして元サヤに(?)。こんなミステリーを書けるようになりたいものです。


ギルティ

2018年公開のデンマーク映画。アマゾンプライムで視聴。

電話からの声と音だけで誘拐事件を解決するという、シンプルながらも予測不可能な展開で注目され、第34回サンダンス映画祭で観客賞を受賞するなど話題を呼んだデンマーク製の異色サスペンス。過去のある事件をきっかけに警察官として一線を退いたアスガーは、いまは緊急通報指令室のオペレーターとして、交通事故の搬送を遠隔手配するなど、電話越しに小さな事件に応対する日々を送っている。そんなある日、アスガーは、今まさに誘拐されているという女性からの通報を受ける。車の発進音や女性の声、そして犯人の息づかいなど、電話から聞こえるかすかな音だけを頼りに、アスガーは事件に対処しなければならず……。

映画.comより

 デンマーク映画です。緊急ダイヤルの受付の人の話。電話を受けるブースのみの絵で90分の映画が進むという、低予算技アリ作品。電話口のファミリーの言うことを繋ぎながら話が進展しますが、見事にミスリードをさせられ、「……ぉおお、やっちまったな……」と思うところが複数あり、変わり映えのない空間で緊迫感のある良い映画でした。
 どうやらアメリカでリメイク作品があるみたいですね。そっちは観てません。
 以前フォーンブースが一箇所で行われる良作映画だと思いましたが、超えてきたかも。やはり電話ですな。フォーンブースもオススメなので、紹介しておきます。フォーンブースの犯人の役者、あの人ですよ。


三度目の殺人

2017年の日本映画。アマゾンプライムで視聴。

「そして父になる」の是枝裕和監督と福山雅治が再タッグを組み、是枝監督のオリジナル脚本で描いた法廷心理ドラマ。勝つことにこだわる弁護士・重盛は、殺人の前科がある男・三隅の弁護を仕方なく担当することに。解雇された工場の社長を殺害して死体に火をつけた容疑で起訴されている三隅は犯行を自供しており、このままだと死刑は免れない。しかし三隅の動機はいまいち釈然とせず、重盛は面会を重ねるたびに、本当に彼が殺したのか確信が持てなくなっていく。是枝監督作には初参加となる役所広司が殺人犯・三隅役で福山と初共演を果たし、「海街diary」の広瀬すずが物語の鍵を握る被害者の娘役を演じる。第41回日本アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚本、助演男優、助演女優、編集の6部門で最優秀賞を受賞した。

映画.comより

観よう観ようと思って観てなかったやつ。てっきり東野圭吾あたりかと思っていましたが、是枝監督オリジナルですか。これは腰を据えてみて正解ですね。腹の底からぉぉおおという称賛の雄たけびが上がる。クライマックスの役所広司の機転とご都合主義で動いてしまう司法。圧巻の展開です。
絵として面白かったのは、ガラスを挟んで接見する場面。ガラスの向こうとガラスに映った顔が重なって映る。二人ともアップで、二人とも表情で語る。役所広司はやはり演技がすばらしく、それと重なる福山雅治が負けてない。ただ、初見で役所広司の人間性を完全には理解できなかったので、もう一回観ても良いかもしれない。「器」がキーワードなんだろうなぁ。あと、広瀬すずが可愛い。輝いてますね。



ミステリーではないけれど面白かったので↓↓

老後の資金が足りません

2021年公開の日本映画。主演は天海祐希。監督は前田哲。元は2015年刊行の垣谷美雨『老後の資金がありません』らしいです。アマゾンプライムで視聴。

垣谷美雨の同名ベストセラー小説を「狗神」(2001)以来20年ぶりとなる天海祐希の単独主演作として映画化。家計に無頓着な夫の章、フリーターの娘まゆみ、大学生の息子・勇人と暮らす平凡な主婦・後藤篤子は、あこがれのブランドバッグも我慢して、夫の給料と彼女がパートで稼いだお金をやり繰りし、コツコツと老後の資金を貯めてきた。しかし、亡くなった舅(しゅうと)の葬式代、パートの突然の解雇、娘の結婚相手が地方実業家の御曹司で豪華な結婚式を折半で負担、さらには夫の会社が倒産と、節約して貯めた老後の資金を目減りさせる出来事が次々と降りかかる。そんな中、章の妹・志津子とのやりとりの中で、篤子は夫の母・芳乃を引き取ることを口走ってしまう。芳乃を加えた生活がスタートするが、芳乃の奔放なお金の使い方で予期せぬ出費がかさみ、篤子はさらなる窮地に立たされてしまう。監督は「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」の前田哲。

映画.comより

完全に三谷幸喜作品だと思って観てました。ごめんなさい。三谷さんはしれっと役者として出ているだけなのですね。(失礼ながら……何やってんの、この人w)
コメディ要素を上手に入れながらも、老後2000万円問題や、娘の結婚(しかも相手が売れないパンクバンド)、オレオレ詐欺に、姑との同居、リストラと、お金に関わる内容が次々と起こっていく。
登場する個性豊かなキャラクターと、お先真っ暗になりそうな絶望的な展開ですが、最後には全てが調和し美味しく収まる。こんな本を書けるようになるまで、私にはあと何十年かかるんだろう。力量の差を見せつけられながらも、大いに笑い、ツッコみ、感動させられる。最後のエンディングも良い終わり方で気持ちが良い。
それにしても配役が秀逸なのだけど、あてがきでしょうか。ちょい役も大切にされてるのがわかる。色々一流。


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