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水族館Tierランク解説

はじめに

Bellと申します。旅行が趣味で、旅の先々で現地の水族館に行くのが好きです。

個人的に考えていた水族館のキャラランクを作成して、先日Twitterで身内向けにツイートしたところ、想像以上の反響が起こってしまってびっくりしました。

誤記への指摘はさておき、1000RTをを超えたあたりから「〇〇がない、やり直し」、「〇〇が低いのは間違っている」等のお言葉をたくさん頂戴するようになったため、このキャラランクの解説記事を書こうと思った次第です。自身の考えの言語化もしてみたいと思っていたため丁度よい機会となりました。

Tierランク

以下に当該のTierランクを示します。

水族館tierランク
S:ここのために旅行に行く価値がある
名古屋港水族館(愛知)、鳥羽水族館(三重)、沼津港深海水族館(静岡)、環境水族館アクアマリンふくしま(福島)、アクアワールド茨城県大洗水族館(茨城)、海遊館(大阪)

A:旅行の目玉の1つになる
城崎マリンワールド(兵庫)、いおワールドかごしま水族館(鹿児島)、江ノ島水族館(神奈川)、須磨海浜水族園(兵庫)、八景島シーパラダイス(神奈川)、海響館(山口)、鴨川シーワールド(千葉)、加茂水族館(山形)

B:展示内容や方法が面白く、旅先で近くに行くようなら寄ることを勧める
マリンワールド海の中道(福岡)、越前松島水族館(福井)、竹島水族館(愛知)、宍道湖自然館ゴビウス(島根)、葛西臨海水族園(東京)、伊勢シーパラダイス(三重)、浅虫水族館(青森)、仙台うみの杜水族館(宮城)、世界淡水魚園水族館アクア・トト岐阜(岐阜)、琵琶湖博物館(滋賀)、宮島水族館(広島)、サンシャイン水族館(東京)、大分マリーンパレス水族館うみたまご(大分)

C:やや物足りなさを感じた
東海大学海洋科学博物館(静岡)、京都水族館(京都)、下田海中水族館(静岡)、男鹿水族館GAO(秋田)、四国水族館(香川)、箱根園水族館(神奈川)、すみだ水族館(東京)

※太字:2023年に行った場所

この表は以下の項目を軸に評価を行いました。また同ランク帯では左(上)から順に高評価としてあります。
旅行の際にそこに行く価値があるか
・展示内容や展示方法の魅力や独自性希少性
・生体展示以上の取り組み、展示、解説について(学術的な解説やその生体が住む環境についての説明、また水族館が地域のために行っている活動等の紹介があると嬉しい)
交通アクセスの良し悪し(公共交通機関を重視)

上記のリストは私が実際に行った場所をまとめて備忘録的にツイートしたものです。リプライや引用リツイートで「○○が入っていない」と多くの水族館をご紹介していただいたのですが、いずれも行っていない場所であるため評価することができませんでした。意図せず万単位の人間の目にさらされてしまったが故の不和だと思いました。いずれも機会があったら行ってみたいですね。

この表は私の主観によって構成されており、決して万人の共通理解となるものではないと理解しています。例えば皆さんが幼少期に行った思い入れのある場所、地元で愛着のある場所などが気持ちに反して低いランクに位置していることもあるかもしれませんが、私はそのような気持ちを決して否定するつもりはありません。

このリストは「旅行で近くを訪れた際に行く価値があるか」ということを重視しています。しかしコロナ下で遠出がはばかられる現状では日本各地の水族館を巡るのは厳しいと言わざるを得ません。忘れないでいただきたいのは、皆さんのご近所にある水族館はいつでもかけがえのないオンリーワンです。観光業にとって苦しいこの時期には、ご近所の水族館を訪れて応援してあげてください。このリストを見て魅力を再発見できるかもしれません。それを多くの人が発信すれば、業界を支える助けになると思います。

そしてコロナ禍が収まったら多くの人の声を参考に自分の目で評判を実際に確かめてみてください。その候補選びとして本リストが参考になれば幸いです。

前置きが長くなりましたが、次項から各水族館についての紹介や評価点について述べていきます。

ランクS(ここのために旅行に行く価値がある)

名古屋港水族館

敷地面積日本一を誇り、様々な展示を楽しむことができる。
第一に特筆すべきは鯨類についての展示量の豊富さである。
水族館本館入口からすぐに目に入るのは巨大なイルカ水槽とシャチ水槽。現在日本でシャチを見られるのはここと鴨川シーワールドのみである。また本館では日本で4か所しか飼育されていないシロイルカも見られる。日本最大を誇る水槽ではイルカが飼育されており、水上、水面下それぞれからその様子を楽しめるダイナミックなショーも見どころの1つ。

私が特に気に入ったのは鯨類の進化の過程を、多くの化石のレプリカや骨格標本、図表を用いて展示していたエリアである。広いスペースを用いて学術的な解説が多く紹介されており、大人でも十分に満足できる内容であった。

また深海生物の展示も見どころの1つである。長い坂道を下る過程で潜水の歴史や深海生物が紹介されており、没入感が楽しめた。

さらに日本で2か所しか見られないコウテイペンギンや、当水族館で特に注力しているウミガメの展示、繁殖についての取り組み等、見どころが多い。これらは生体展示だけでなく、水族館が行っている生態保護や繁殖への取り組みについても詳しく紹介していて好印象であった。

これだけ大きな水族館が都会の近傍にあるという点も高評価ポイント。名古屋駅からのアクセスが良好で、また水族館近くには観光施設が多く、この近辺だけで十分に1日を過ごせる。南極観測船ふじは一見の価値あり。名古屋には観光地がないとよく言われるが、ここだけは忘れないでほしい。

名古屋港
シャチ


鳥羽水族館

飼育生物種類数がトップクラスであることで知られる。国内で唯一ジュゴンを飼育している水族館として有名。ジュゴンの陰に隠れているが、日本で2か所しか飼育されていないマナティーもいる。観客との距離が近いセイウチショーも有名。

ラッコと飼育員のおじさんがすごくかわいい。給餌ショーの際には世界で一番かわいいハゲたおじさんが見られる。定年が近いと思うので在職中に行くことを強く勧める。

これらに加え、私が特に気に入ったのは「 伊勢志摩の海・日本の海」と「古代の海」の2エリアである。「 伊勢志摩の海・日本の海」では穏やかな伊勢湾から黒潮のぶつかる熊野灘まで環境の変化が大きく、生態のコントラストが楽しめる。「古代の海」では数億年姿を変えていないいわゆる生きた化石が展示されている。大型のサメ類を大型水槽の構成要因でなく、単体として着目しているのは他の水族館ではあまり見られなかったため、新鮮に感じた。

じっくり見て回れば水族館だけで十分に1日過ごせるだけのボリュームはあるが、それに加えて近くには伊勢神宮や夫婦岩など有名な観光地が多い。少なくとも1泊はして巡りたい地域である。

また夫婦岩のすぐ近くには海獣との触れ合いをテーマにした伊勢シーパラダイスという水族館がある。ここについては後述する。気合と時間があるなら鳥羽水族館からはしごしても良いかもしれない。またこの近隣にはマンボウで有名な志摩マリンランドという水族館もあったが、建物の老朽化のため2021年3月に閉館してしまった。私は行けていなかったので残念である。

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壁ドンをするラッコ
へえ…かわいいね
鳥羽_セイウチ
腹筋をするセイウチ 客との距離が近い


沼津港深海水族館

深海が広がる駿河湾から水揚げされた深海生物を中心に展示している水族館。他の水族館では見られないものが多く、非常に楽しめた。飼育の手法が確立されておらず、飼育が難しい深海生物を安定して見られるのは他の水族館にない強みである。運が良ければ生きたラブカを見られるかもしれないそうだ。

世界で唯一のシーラカンスの冷凍標本と剥製が展示されていることは有名である。実物を見るとその迫力に圧倒された。他の施設で見られるホルマリン漬けの標本と異なり、冷凍標本はフルカラーであり、圧巻の一言に尽きる。ぜひ自身の目で確かめてみてほしい。

沼津深海水族館のSランク評価に対しては疑問の声が散見された。しかしここは施設の規模こそ小さいものの、他の水族館の展示内容と異なり独自性がとても強く、訪れる価値がある場所だと判断したためこの評価とした。

沼津
シーラカンスの魚拓


環境水族館アクアマリンふくしま

福島県沖に広がる黒潮と親潮がぶつかる潮目を軸に、多様な環境とそこに住む生物の変化にスポットを当てた水族館。水槽にはただ生物を入れてあるだけでなく、ジオラマのように生息環境の再現に力を入れているものが多いため、見ていて飽きない。

当館で特筆すべきは生命の進化エリアと潮目の海。
生命の進化エリアでは生きた化石と呼ばれる生物群が展示されており、脊椎動物が発生して両生類(陸上動物)に至るまでが表現されている。
ここでは2種のシーラカンス標本が並んで展示されてていて非常に興奮した。またここではシーラカンス幼魚の映像も見られる。
潮目の海は隣接した2つの水槽でそれぞれ寒流の親潮と暖流の黒潮の環境を再現されており、環境の差が楽しめる。一口に魚といっても住む環境で姿が大きく異なる様子が見て取れる。

またこの水族館でしか飼育されていない生き物が多いのも特徴の一つ。ナメクジウオ、サンマ、黒潮水槽のバショウカジキ等。
ナメクジウオは脊椎動物の祖先とされ、生物学的に重要な種である。
サンマは一般に大衆魚とされているが、飼育が非常に難しいことからここ以外の施設では基本的に生きている姿を見ることはできない。サンマがお店で売られている姿そのままで泳ぎ回っている姿を見られて想像以上の感動を覚えた。暗い場所で小さいやつが素早く泳ぎ回っていたので私は写真撮影をあきらめた。
バショウカジキは捕食者として生態系の上位に君臨しているが、これも飼育が非常に難しい魚である。当館の努力によって生体展示が実現したそうだ。成長途中の個体であったが生きている姿を見られてとてもよかった。
→バショウカジキはこの記事を執筆中(22/12/19)に亡くなったそうです。悲しい…
ここでは紹介しきれないくらいに多くの希少な生物が展示されており、非常に楽しめた。

生物や水槽ごとの解説や、地域、人間と魚介類との文化的な関係や食文化についての解説がしっかりしていることもうれしいポイント。原発事故からの復興の様子についてもしっかりと記述されていて大人でも満足度が高い。

立地はあまりよくないが、県外からでも訪れる価値はあると思ったのでこの評価とした。私がシーラカンスが好きなので少し加点が入っている気もする。

シーラカンス
一人よりも二人


アクアワールド茨城県大洗水族館

ガールズ・アンド・パンツァーに支配された異様な町、大洗。そこにガールズ・アンド・パンツァーでないものは存在しない。当館も例外ではなかった。写真は撮り忘れた。

肝心の水族館本体については、サメの飼育種類数日本一を誇っており大小さまざまなサメを見られる。マンボウの飼育頭数日本一もアピールしているが、私が訪れたときは2, 3匹しかいなかった気がする。マンボウの多頭飼育というだけでかなり珍しい部類ではあるが、期待が高まりすぎていたせいで思っていたほど多くなくて肩透かしを食らってしまった。一番多かったときは13匹いたらしい。
生体だけでなくサメ類標本の展示数も豊富。また天井から吊るされていた世界最大級のマンボウ剥製や世界最大のウバザメ剥製は迫力満点。
あとアンコウがいたのも地味にうれしいポイント。大洗といえばアンコウだとガルパンで言っていた。

大洗は東京から電車で2時間くらいかかるので決して良い立地ではないが、町全体を観光地として楽しめたので満足度が高かった。水族館に海産物、商店街ではガルパンの女の子の等身大パネルの隣に笑顔のおじさんの等身大パネルが飾られていて非常にシュール。一度行ってみてはいかがだろうか。

想像の10倍くらいサメがいた
デカいマンボウ剥製

https://www.aquaworld-oarai.com/


海遊館

ジンベイザメのいる大水槽は圧巻の一言。高さ9m、筒状の水槽ではジンベイザメを中心に、大型のサメ、エイ類などをさまざまな角度から見られる。給餌の時間はジンベイザメの活発な姿を見られるため行動時間の調整をオススメする。ジンベイザメを一番よく見せるために設計された施設が良い。

ジンベイザメ以外が弱いという声もあるが、私はジンベイザメだけでも十分に訪れる価値があると考えている。
ここは大阪の中心地からアクセスしやすい点が特に優れている。例えばここを大阪旅行の軸に据えて1日のんびり過ごしてもよいし(夕方以降は昼と違った雰囲気で館内を楽しめる)、短時間ぶらりと訪れてから大阪の別の観光地に移動してもよい。

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夜のジンベイザメ
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カニノケンカ


ランクA(旅行の目玉の1つになる)

城崎マリンワールド

城崎から程近く、山陰海岸ジオパークの一角にそびえる水族館。屋外で雄大な風景を眺めながら海獣などのショーを見ることができる。ここは生物をただ展示するだけでなく、ショー形式で生態を見せることに力を入れていることが特徴。

特に円柱形の水槽で回遊するブリの群れが餌に食いつく様子が見られるショーや、トドが岩場から数メートル下の水へダイビングするショーは迫力満点で面白かった。

ショーの合間にはアジを釣って食べられるコーナーもオススメである。ジオパークの景色を背景に釣竿を垂らしているだけでも楽しいし、海岸を見ながらアジフライを食べても楽しい。また併設の日和山海岸ミュージアムという建物では生体飼育や繁殖のための取り組みの記録が見られて面白い。

水族館の後には城崎温泉の外湯巡りや、冬の松葉ガニを筆頭に、様々な海産物を楽しめる。水族館単体としても、観光エリアとしても高評価。

余談ではありますが、Twitterで上げたリストではここを京都府と誤記してしまいました。指摘をいただきすぐに元ツイートに訂正のリプライをつけたのですが、その後も指摘コメントを50件ほどいただき続けました。誤報の撤回をするのはもちろんのこと、拡散されてしまったフェイクニュースを修正することはとても難しいのだろうなと思いました。

城崎
イルカ


いおワールドかごしま水族館

鹿児島湾内に位置する水族館。屋外の水路で行われ、無料で見られるイルカショーが有名。鹿児島湾内や近海で見られる生物を中心に展示している。

鹿児島湾の最深部は200mを超え、多様な生態系が見られる。桜島の火山活動によって生まれた鹿児島湾固有種のサツマハオリムシや、ジンベイザメの泳ぐ大水槽が特に見どころ。地域色が強く、私は好きである。

鹿児島駅からのアクセスが良く、桜島や薩摩藩ゆかりの観光地などにも移動しやすい。


新江ノ島水族館

観光地として名高い江の島の対岸本州側にある水族館。江ノ島駅から徒歩5分くらいで行ける。観光地として名高すぎるためカップルや子供連れが多すぎてオタクに厳しい。
相模湾の生き物を中心に展示している。相模湾は沼津と同じく沿岸近くに深海が広がっていることから、深海生物の展示数が豊富で非常に嬉しい。特にサガミハオリムシの生体展示をしていたのがたまらなく嬉しかった。ハオリムシ類の展示をしているのは日本で当館とかごしま水族館だけ。首都圏で見られるのが非常にグッド。
また日本初の有人調査潜水艇しんかい2000は目玉展示の1つ。実物を目にすると美しさを覚えた。

昭和天皇、上皇陛下は相模湾を拠点に海洋生物のご研究をなさられていたようであり、江ノ島水族館には研究成果や御論文、御著書が陳列されたコーナーもある。私も老後は魚類の研究をして、皇室御一族と学会で御討論させていただきたいものである。

総じて鎌倉-江ノ島の有名な観光地に引けを取らない魅力があった。地域全体で観光地としての魅力が高いエリアなので、行って損はしないと思う。

退役したしんかい2000
サガミハオリムシ


須磨海浜水族園

神戸駅から数駅と良好な立地で入場料も安め。入口すぐの大水槽では大型のサメやエイ、アジ類などが見られ、迫力がある。イルカショーの練度が高く、非常に楽しめた。ホオジロザメの標本や、ラッコ、アナコンダなど他であまり見られない展示が多い。際立った特徴こそ少ないものの、飼育生物の種類が多く、総合的に高評価。

私が訪れたのは2021年2月であり、Aランクはこのときの評価である。2021年3月から2024年まではリニューアルのための縮小営業をしており、その間はBランク下位に評価は落ちる。改装後はシャチがやってくるようで、楽しみである。

公式ホームページではVRで改装中のエリアも含めた全施設が無料で見られるためオススメ。

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ホオジロザメの頭部標本


八景島シーパラダイス

首都圏からのアクセスが良好。ピラミッド型の建物の「アクアミュージアム」が有名だが、それだけでなく合計4施設から構成されている。「アクアミュージアム」はその見た目よりも展示エリアが狭く感じたところが若干残念であった。

極地エリアではホッキョクグマが見られる。水族館でホッキョクグマを飼育している場所は少なく、新鮮に感じた。

相模湾の深海域にスポットを当てた展示が特徴の1つで、私が訪れたときは期間限定で半解凍の深海魚に触れるとても貴重なイベントが開催されていた。この体験がとても楽しかったためAランクとした。これを除けばBランク中位くらいの評価であった。ファミリー、カップル層を意識してか生体とのふれあいエリアが多め。私は海獣との触れ合いは特に評価点としては見ていないが、これが好きな人であればより高い評価になっていたと思う。

八景島
ラブカおさわり体験


海響館

瀬戸内海の生態とフグとペンギンの展示に特に注力した水族館。入口すぐの関門海峡周辺の激しい海流を表現した水槽が迫力あって良かった。外の関門海峡の風景が見えるガラス張りの設計と合わせて壮大な雰囲気に圧倒された。
ペンギンの飼育エリアは本来の生息環境に近づけるため、石積みの巣穴や灌木のある広い庭を用意していて好印象だった。また世界最大級のペンギン水槽では縦横無尽に飛び回るペンギンの姿を楽しめる。

シロナガスクジラの全身骨格を日本で唯一見られることでも有名。実物を目の前にすると、その大きさに圧倒された。またシーラカンスの標本も展示されていた。私はその存在を事前には知らなかったため、とても驚いた。水族館はもっと積極的にアピールしてほしい。

下関駅からのアクセスは良好で、展示物の希少性はもちろん、展示のコンセプトに筋が通っていて好印象だった。福岡からもアクセスしやすい。

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デカい 説明不要


鴨川シーワールド

現在日本でシャチを飼育しているのは名古屋港水族館とここだけ。会場が揺れるほどの勢いで水を弾き飛ばすシャチのショーは迫力満点。名古屋港水族館より近い距離でシャチの活躍を見られる。

海岸線沿いに屋外エリアが広がっており、ゆったりとした時間を楽しめる。海獣やウミガメの展示が盛んである一方で、魚介類の展示にやや物足りなさを感じた。

東京駅から電車で2時間もかかり、意外と遠かった。近隣の観光地も公共交通機関で移動するには不便であることからこの評価とした。レンタカーか自家用車で房総半島を周遊しつつ訪れるのが良いのかもしれない。

鴨川
大人気のシャチショー


加茂水族館

クラゲの聖地として知られる山形の水族館。

前半で山形の漁業文化や魚介類を紹介した後は怒涛のクラゲラッシュ。丸いやつ細いやつ説明難しいやつなんかちいさくてかわいいやつ色々いる。とにかくたくさんいる。津々浦々の水族館のフォトジェニックを狙ったクラゲエリアとは格が違う。下村修先生のオワンクラゲも展示している。本当に光っていた。

直径5mのミズクラゲ大水槽は圧巻の一言。大小さまざまなミズクラゲが浮かんでいる様子はずっと見ていられる。私はフォトジェニック系の展示にあまり強い関心はないが、これには心を奪われた。

設備自体は非常に良かったのだが、公共交通機関によるアクセスの悪さと周辺の観光地の弱さのためにこの評価とした。

ベニクラゲ
直径5mのミズクラゲ水槽


ランクB(展示内容や方法が面白く、旅先で近くに行くようなら寄ることを勧める)

マリンワールド海の中道

九州近海の環境や生態を中心とした展示内容。多様な環境を有する地域であるため展示内容にもメリハリが効いて面白い。

有明海の奇魚ワラスボを展示していた。大型の施設で常設展示しているのはおそらくここだけか?イルカショーの完成度が高い。また大水槽でのダイバーによる給餌ショーではダイバー目線の映像が上映されていて面白かった。またラブカやメガマウスなど希少な生物の標本や骨格標本が展示されている。

強い特色はなかったが、総合評価が高い。博多駅からの立地も加味してこの評価とした。


越前松島水族館

東尋坊から3キロほど離れた海岸沿いに位置する水族館。福井近辺の海で獲れた魚介類を中心に展示している。

リュウグウノツカイやダイオウイカ、エチゼンクラゲの標本を所有していて面白い。ミズダコやイセエビ、越前ガニなど他の施設で触れる機会のなさそうな生き物(海産物)とのふれあいコーナーが設けられていて楽しかった。

規模こそ小さいが生物種は多く、見ごたえのある内容で十分に楽しめた。東尋坊に訪れた際はここにも訪れる価値はあると感じた。

余談ですがこれもTwitterの表で「越前松前水族館」と誤記をしたら修正のメッセージをとてもたくさんいただきました。引用RTでも投稿者に通知が届きます。本人が修正を試みているかを確認してから送りましょう。みんながたのしくつかえるインターネットになればよいですね。

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これもデカい


竹島水族館

愛知県蒲郡市にある水族館。名古屋駅から40分くらいで行ける。入場料が500円とお値打ち価格。地方の小さな水族館と思っていたら入口に行列ができるほどの盛況で驚いた。
敷地は狭いが多くの珍しい深海生物が展示されている。あと特に文脈のないメコンオオナマズがいた。後述のアクアトト岐阜で見た1週間後くらいに再度見たので私は一人で勝手に気まずくなっていた。

学術的な内容よりは来客を楽しませることに重点を置いた
飼育員の方のゲテモノ食レポ記録が面白かった。
水揚げされてから水族館に届く前に死んでしまった魚などを食べる企画であった。危ないのでよくないと思った。

タカアシガニやイガグリガニ、グソクムシなど珍しい生き物を触れるコーナーがあった。特にグソクムシに触れるのは嬉しかった。

一方で一部水槽や展示環境のモチーフ、意図が明示されておらず、寄せ集めのように感じられたことが残念だった。
また生物の解説文が「動物の動画にアテレコする」系のノリで私は苦手だった。気にしない人は楽しめると思う。

総合的に展示内容はよかったが、近隣の観光地が弱いことを考慮してこの評価とした。立地を無視して展示内容だけで評価するならAランク下位~Bランク上位くらいの好感。

グソクムシおさわり
なんだか卑猥な形状のよくわからない生き物


宍道湖自然館ゴビウス

宍道湖のほとりに位置し、宍道湖の源流から汽水域まで環境や生態が変化していく様子や、地元住民との文化的な関係性の展示に特化した水族館。扱う範囲は狭いが宍道湖が汽水湖であるため生態の変化は激しい。宍道湖内でも塩分濃度が異なっていて、その濃淡の差による生態系の変化を対比して扱っていた点が面白かった。

「宍道湖グリーンパーク」という自然公園が隣接しており、のんびり野鳥や植物を観察することもオススメ。他には特に観光するような施設はなかった。当施設から電車で松江方面へ移動すると、「松江フォーゲルパーク」という花鳥園がある。そちらに行くこともオススメする。

私が出雲~松江間を電車で移動していたところ、偶然発見した。ローカル水族館にはまるきっかけとなった施設である。小規模ながらも十二分に楽しめたが、かなりアクセスが悪いためこの評価とした。


葛西臨海水族園

東京にたくさんある水族館の1つ。都営なので入場料が700円で、水族館としては異常に安い。100㎏を超えていそうなマグロが大量に泳ぎ回っている大水槽が有名。実物を目の当たりにするとその迫力に圧倒された。

マグロ大水槽が有名だがそれだけでなく、深海生物や極地生物、ジャイアントケルプの海など見ごたえのある展示物は多い。小笠原諸島や東京の干潟の生物にもしっかりとスペースを割いて紹介しているのが好印象。

淡水館や隣接の野鳥園では来たり来なかったりする野鳥を待ちつつのんびりと時間を過ごせる。臨海公園全体で1日過ごせるくらいのボリュームがあって良かった。

水族館としての評価自体はAランク下位~Bランク上位くらいに感じたが、東京観光の行き先としては強力な対抗馬が多すぎるためどうしても評価が辛くなってしまう。私が東京都民だったら年パスを買って入り浸っていたと思う。

40km/hで泳ぐ大量のマグロをブレずに撮る技術がほしい


伊勢シーパラダイス(三重)

伊勢二見ヶ浦の夫婦岩から徒歩5分の距離にある水族館。海獣たちとの距離が異様に近いことが特徴。大体の海獣を触れるorアクリル壁なしで見られる。
海獣だけでなく魚介類の展示も十分にある。
敷地こそあまり広くないが、見るものが多くたっぷり時間を使って回れるだけのボリュームはある。

鳥羽水族館が近くにあり、旅行の時間制限の中でどちらに行くかと言われたら鳥羽水族館に軍配が上がるため、当施設はこの順位とした。夫婦岩に行くならセットで訪れる価値はある。

イルカと常時キャッチボール可能。イルカ様の気まぐれで人間の相手をしてくれる
握手会


浅虫水族館

青森県浅虫温泉の近傍に位置し、青森県周辺の水産資源や水生生物に主軸を置いた水族館。
日本海、津軽海峡、陸奥湾、太平洋と多様な海域に囲まれ、また十和田湖、白神山地、恐山等淡水環境も多様であるため青森県の生物だけでもその生態は多様で面白い。特にマス類の種類が豊富。トンネル状水槽では特産品のホタテの養殖環境を模した展示が見られて面白い。

青森駅からアクセスしやすく浅虫温泉もよかったのでオススメです。

ホタテ
アルビノイトウ


仙台うみの杜水族館

仙台郊外にある水族館。ここでは石巻を中心とした、東北の太平洋側の生物や海産物、それらと漁業の関係に重点を置いた展示が特色。
宮城を代表する海産物であるカキとホヤの養殖環境を模した展示が面白い。サケが1年目、2年目と徐々に成長していく様子も見られる。

深海エリアが充実していた。生体展示や標本展示の種類が多くて満足。

ホヤ
カキ「カキです」


アクアトト岐阜

世界最大級の淡水魚水族館。地元長良川の生態に加え、世界各地の大河の魚が見られる。世界最大級の淡水魚であるメコンオオナマズは一見の価値あり。大きいナマズがたくさんいて見栄えが良いが、私は後述のビワコオオナマズの方が気品のある顔つきで好き。
展示内容はよかったが、近隣の観光地が弱いことに加え、公共交通機関によるアクセスが劣悪であるためこの順位となった。立地を無視するならばAランク下位くらいの評価。

出目金みたいであまりナマズ感がない
右下の人と比べると遠近感がおかしくなる


琵琶湖博物館

琵琶湖周辺の自然史、文化史、水陸の動植物等を幅広く扱う総合博物館。水族館エリアではビワコオオナマズを筆頭に琵琶湖の生物と、バイカルアザラシ等世界の湖水棲の生物を飼育している。生物と住民の文化的な関係に着目した展示が面白かった。博物館が主体であるため生態や環境の中での位置付けについての解説が丁寧で高評価。日本最大級の淡水魚であるビワコオオナマズは一見の価値はある。
メコンオオナマズよりこっちの方が顔が好き。

水族館部分の展示量は多くないためこの評価としたが、博物館全体としてみるとかなりボリュームがあり、より上位の評価。また自家用車必須のような立地であるため総合的にはこの順位にした。

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大きいものが好き

宮島水族館

厳島神社から徒歩数分の恵まれた立地に位置する水族館。スナメリを軸に、瀬戸内海や宮島の豊かな干潟の環境を模した展示が見どころ。実際の海では濁っていて見られないカキいかだの海面下の様子を展示した水槽は非常に面白かった。

水族館単体ではもう少し下の順位の評価だったが、厳島神社観光のついでとしてならば行く価値があると判断してこの順位に設定した。


サンシャイン水族館

サンシャイン池袋の最上階に位置する水族館。私は訪れる前は「ビルの最上階にある水族館などたかが知れている」とかなり軽視しいていたが、存外にしっかりと水族館をしていてびっくりした。国内外様々な地域の生物を見られる。
当館で繁殖に成功したゾウギンザメはかなり珍しい生き物なので、これが都心で見られるのはお得。

ペンギンが泳ぐ様子を頭上に見られる水路が有名。私は夜に行ったので見られていないが別の機会には行ってみたい。

東京観光でここを優先すべきかと考えこの順位にしたが、私が池袋近隣に住んでいたら年パスを買って入り浸っていたと思う。


大分マリーンパレス水族館うみたまご(大分)

大分県別府湾湾岸にある水族館。生き物とのふれあいコーナーのウエイトが大きいことが特徴。海獣ショーの練度が高い。イルカの気まぐれでイルカと触れ合える砂浜付きプールもある。

また今では津々浦々の水族館で採用されているダイバーによる餌付けショーや、擬岩による回遊水槽を日本で初めて採用した施設。大分県付近の魚介類を集めた大水槽ではアクリル張りの床や天井があり、様々な角度から楽しめる。

水族館単体での珍しさには欠ける印象を受けたが、小さなお子さんがいるご家庭ならばすごく楽しめると思う。当館の隣には野生の猿が闊歩する高崎山があり、近くには別府温泉もある。観光地としての総合力は高い。

ランクC(やや物足りなさを感じた)

東海大学海洋科学博物館

世界遺産三保松原からほど近くに位置する水族館。現在は規模を縮小して東海大学の研究施設としての運用が中心。一般人の見学も可能だが、見学エリア縮小の上で完全予約制なので注意が必要。縮小前に行きたかった。
当館は国内最大級の四方ガラス張り水槽を悠然と泳ぎまわるシロワニが展示の目玉。
水槽は四方をサンゴ礁、海藻、砂底、岩礁をモチーフに環境を構築しており、サメは環境を問わず悠然と泳ぎまわる。サメは環境を選ばない。
また当館はクマノミの繁殖に日本で初めて成功した水族館であり、多種のクマノミが展示されている。ラブカや駿河湾の深海生物の研究も盛んであり、標本が多数展示されている。

水族館単体としては行く分には少し見劣りしたが、三保松原を訪れたついでであれば十分に楽しめると思う。

サメ

予約は下のリンクから


京都水族館

京都駅から徒歩圏内に立地する水族館。オオサンショウウオがたくさんいてすごくかわいい。世界一雑に扱われているオオサンショウウオが見られる。アザラシやペンギンの恋愛関係にスポットを当てているが、短時間で個体を判別できるものではないためよくわからなかった。

内陸地の都会でイルカショーを楽しめるのはよいが、オオサンショウウオ以外の展示で強く惹かれるものはなかった。京都には有名な観光地が多いことから、遠方から旅行で来た際にそれらよりも優先してまで京都水族館を訪れる価値は薄いのではないかと思った。水族館に真剣なオタクなら1.5時間くらいかけて海遊館に行ってもよいと思う。

京都
俵積みのオオサンショウウオ
大雨のたびに漂着するオオサンショウウオの受け入れ先


下田海中水族館

自然の入江を仕切った敷地内でイルカを放し飼いにしており、とにかくイルカとの距離が近いことが特徴。ボートを借りることで湾内で行われているイルカショーを間近で見ることができるし、シュノーケルやダイビングでイルカと一緒に泳ぐこともできる。デートにオススメ。オタクが一人で行く場所ではなかったです。水族館オタクとしては展示数や展示内容で他の水族館との差別点に欠けていた印象を受けた。

公共交通機関で訪れるには伊豆急行線で南端まで行く必要があり不便。自動車でのアクセスをオススメする。その場合には沼津港深海水族館にも足を延ばしてほしい。


男鹿水族館GAO

秋田県男鹿半島の先端に位置する水族館。
秋田県の生態、漁業や食文化を軸にした展示を行っている。しょっつるの自作やハタハタの展示は面白い。
またホッキョクグマの展示も有名だが、ホッキョクグマは都会の動物園で見ることができるため、さほど珍しさを感じなかったことが惜しい。わざわざ男鹿半島の先端に行ってまで見る価値は薄いと思った。公共交通機関でのアクセスは非常に悪い。男鹿半島は景色が良いのでドライブしていて楽しかった。この近隣をドライブで通ったならば訪れたいスポット。


四国水族館

岡山から瀬戸大橋を渡ってすぐの地点にあり、比較的アクセスしやすい立地。敷地面積や設備は控えめ。全ての水槽が「◯◯の景」と題され、フォトジェニックに展示されていた。デートで行くならオシャレだが、情報不足の裏返しに感じた。展示生物も少なめ。シュモクザメの群れを下から見上げることのできる「神無月の景」は一見の価値あり。

「夕暮れの景」と題されたイルカプールでは、ショーこそ開催されていないものの、瀬戸内海を背景にイルカが泳ぎ回る様子が観察できる。タイトル通り夕暮れ時にイルカが跳ねたときにはまるで絵画のようであった。

四国
黄昏時


箱根園水族館

温泉街箱根の一角、芦ノ湖のほとりに位置する水族館。
芦ノ湖はカルデラ湖で、元々魚が棲んでいなかった水域だが人間の手によってサクラマスやブラックバス等様々な魚類が持ち込まれて現代に至っているようだ。そのため外来魚の展示やその影響についての記述が多い。
また淡水湖つながりでバイカルアザラシも飼育されている。

規模としてはかなり小さめ。温泉街箱根を訪れたついでに立ち寄るのはよいが、箱根園水族館を目的に箱根旅行を計画するほどではないなと思った。

窓際で寝るウミガメ


すみだ水族館

スカイツリーの根本にある水族館。入口付近のクラゲエリアがフォトジェニック。シースルー床に乗って上から見るタイプのクラゲ水槽は新鮮で面白かった。
金魚とクラゲの展示に大きなウエイトを割かれていて低予算に感じた。展示スペースが狭く、また学術的な紹介も少ない。地域色としては江戸前の金魚や小笠原諸島を模した展示があったが、ごく限られたスペースしか確保できていなかった。また大水槽も他館より小さいのが残念。ただ小さい子供たちは楽しそうにしていたので、私のような水族館オタクにとってはノットフォーミーなのかなと思った。ペンギンエリアも大きかったが、これくらいの規模は他の屋外施設で散見される。

正直な感想として値段(2400円)に対してこの施設の展示内容、展示量はかなり割高に感じた。2400円あればスカイツリーに登れるし、上野動物園の年間パスポートを買える。葛西臨海水族園にマグロを3回見に行ける。
いずれにせよわざわざ東京観光に来て、貴重な時間を割いてまで行く魅力としては弱いと思った。オタク向けではないです。目黒の寄生虫館がすごく良かったのでオススメです。ビルゲイツもオススメしていたそうです。

この文章を書いていたら丁度良いタイミングでアニメ「リコリス・リコイル」の聖地になったそうです。アニメ自体はすごく面白いのでオススメです。聖地巡礼として行くなら良いけれども、すみだ水族館に行くお金と時間を使って適当な動画サイトに加入して全話見てほしいです。「リコリス・リコイル」を見た人はサメ映画でも見てください。サメは陸海空宇宙どこにでも進出していますが、実は海の生き物らしいです。

上から見るタイプのクラゲ水槽


終わりに

当初の想定よりも長文になって驚いています。最後まで読んでいただきありがとうございました。

Twitterでは賛否様々な意見をいただきましたが、こちらの記事はあくまで一個人の主観が入ったものであることをご理解ください。この記事を読んでくださっている皆さんと同じく、私も水族館が好きな人間の1人です。個人間で評価軸が異なるのは当然のことなのです。いろいろな人の「好き」や評価軸を知りたいので、皆さんも自分だけのキャラランクを作成してみてはいかがでしょうか。もちろんこの記事では書ききれていない魅力も多々あります。実際に訪れて確かめていただきたいです。

まだ私が訪れていない水族館は多々あります。いずれ行って記事を更新してみたいです。

ここで紹介した水族館は入場制限や開館時間の変更、閉館している可能性があります。訪れる際にはあらかじめホームページを確認してください。

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