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エッセイを書きたい!というエッセイを書くことにする

なんで書きたいのかといえば、やっぱり「エッセイスト」って響きがかっこいいからだ。

ライターをやっていた時(なんと、日に1500字の記事を4本作っていたこともあった!)は、必要な情報を届けるべく完全に自我を消していたため、自分を出してこそ読まれるエッセイに憧れを抱いていた。
「いた」と過去形にしたのは、エッセイを書きたい理由が少しずつ変わっていることによる。

周りのYouTuberはこぞって本を出版し、出版社からは「本を出しましょう!」視聴者からも「本を出さないんですか?」という声が日に日に増えている現状。

え、なんか本出さないとやばいのかな…

オファーをもらうのは読書術的な実用書、視聴者から求められるのは小説だ。
そりゃあ私も書くのは好きだし、ゆくゆくは本を出したいという純粋な夢もある。

だけど、ちょっと焦らせないでよ!

本について語っているからって、そう簡単に満足いく文章が書けるわけじゃない。
書評動画をつくる度に3000-4000字の原稿を作成している私が言う。

話言葉と文章は全くの別物です、と。

そもそも何のために本を書きたいかだ。
実用書については、実は話が進んでちょっとだけ書いたことがある。
でも、「これじゃない感」が強くてやめてしまった。

やってみないとわからない。

じゃあ小説なのか?といえば、私は生まれてこの方小説なんて書いたことがないからこれまたわからない。
いや厳密にいえば、中学時代に吹奏楽部の先輩をヒロインにしたロマンスを、コピー用紙3枚ほどにしたため冷やかすような真似はした。

思いの外人気が出て累計3部の3刷までいった。
なんならシリーズ第2弾まで刊行した。
でも、それだけだ。

その点エッセイならなんか書けそうな気がする。
これは別にエッセイの難易度が低いとかそういうことを言っているわけじゃなくて、まずは何かしらの文章を書いて練習する必要があり、出版したい書籍像を見つけたいという状況において、私の気持ち的に一番しっくりくる形式のような気がしたということだ。

ということで、ちょうど読書エッセイを連載させてもらう機会をいただき「やったー!プロの編集者からのアドバイスももらえるし、みんなからのフィードバックももらえる!」なんて意気揚々と始めた。

で、2回で休載した。

誰かに心ないことを言われたわけではない。(もしかしたら言われているかもしれないけれど、過去の教訓からヤフコメは絶対に見ないと決めている)

端的に理由を言えばスランプだろう。

書いてもいないのにスランプとは我ながら滑稽なものだが、書きたいと思っているのに書けなくなってしまったのだ。

丸3日かけても一文字も書けない。

必死に書こうとしている時に浮かんでくるのは、「説明はわかりやすいだろうか?」「紹介した本を読みたい気持ちになるだろうか?」とYouTubeを作る時に意識していることだった。

文学YouTuberベルは5周年。登録者11万人を突破している。
それなりに評価されている動画と同じような意識で、文章も見てしまっていたのだ。
だって、エッセイでは素人であったとしても、

「文学YouTuber名乗っててこんな文章しか書けないのかよ!」

なんて言われるかもしれない。
エゴサをしていなくても、想像は止められない。

そんな文章でお金をもらって良いのだろうか…
せめてそれなりの文章を…

求めれば求めるほど、自身の体験とお気に入りの本とをつなげて書くことがひどく難しく見えてきた。

認知の歪み、恐るべし。

取り乱す毎日に危機感を覚えて、ついには休載させてほしいと伝えた。
自分でやりたいと意気込んでいたことがこんな形になるなんて、すごく悔しかった。
苦しまないと書けないなんて、本当に向いていないし才能もないと落胆もした。

でも、少し日が経った今は、だいぶ冷静にこの件を見られるようになっている気がするので反省してみる。

「エッセイストってかっこいい」

雑念まみれの時に純粋な想いだけを掬うことは不可能だったろうが、「本を書きたいから!」とかじゃなくて、この気持ちだけで動くべきだった。

「文章を書くことが楽しい!」

とにかくこの感覚を思い出したい。
実は今こうして書いているのは、その試み的側面もある。

ぶっちゃけ、ちょっと楽しい。

私は、最近の質問コーナーでこんな感じの答え方をした。

「いつか、本を出したいですが今は未定です」

なんなら、ほかの質問でも「やりたいとは思っている」の連発で、編集中に確認する度、自己嫌悪に陥った。

「そう言って、やらないやつじゃん。やる人はすぐやるんだよ」ってね。

でも、仕方ない。
私のやりたいことって、すぐにできるものじゃないし、その中で実現しているものだってたくさんある。
例えば私が本をつくるなら、ライターは使いたくないし、できることならファンブックで終わらせたくない。
本当に本にしたいと思ったことを見つけてからにしたい。

もちろん、悶々としていないでまずは出してみることも大切だ。
だから、最近はインスタグラムで読了した本の写真とともにミニ読書エッセイを載せている。

今日も『エンジョイ!クラフトビール』について書いた。

600字くらいなのに、何時間もかけて何をやってるんだろう、と思う時もある。

でもそうやって自分を確かめていくしかない。

だって、私はまた連載を復活させて、エッセイを書きたいから。

私はエッセイを書きたい!


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