見出し画像

ホテルがバリアフリールームをひた隠しにする理由

来年はオリンピック、パラリンピックが開催されるので、バリアフリーだユニバーサルツーリズムだと盛り上がりを見せています。

とはいえ、
障害がある方と旅をしている身としては、
なんだかなあと思う状況はかわりません。

ホテルに泊まる際、
お客様によってはバリアフリールームが
安心と言う方もいらっしゃいますから、
手配することもあります。

ところがこの、

バリアフリールーム
ユニバーサルルーム
(ホテルによって呼び方はことなる)

があるかないか、
そもそもホームページに記載がない場合が
ほとんどです。

止むを得ず一軒一軒、電話して確認すると言う、令和の時代とは思えない昭和なスタイルで
聴いて行かねばなりません。

最近の新しいホテルなら、低層階の隅っこに
1部屋、そっと障害者用客室を準備していて
「ほとんど使われていない」ケースが多いです。

なぜ、
積極的に売らないかと言うと、
「クレームが怖いから」。

もしも積極的に、
「バリアフリールームあります」と
障害がある方に販売して、
当日チェックインした後に、

部屋が使いにくい
手すりの位置が悪い
ベッドが高い低い
ドアが重い

などなど。
不満のオンパレード。

それもかなりの高い確率でクレームされてしまい、支配人が呼びつけられたり、
アンケートにボロカスに書かれたり。

こんな体験を何度かしたら、
障害者の受け入れに腰が引けてしまい、
バリアフリールームをなかったことに
して、「知らせない」ようにするのは
仕方ないことです。

私が支配人でも、そうすると思います。

なぜ、今、
この記事を書こうと思ったかと言うと、
まさについ最近、ユニバーサルルームは
ありますか?とホテルに電話で確認したら、

「ありますが、部屋が狭いので、あまりお勧めはしていません…」と、なんとも申し訳なさそうに腰の引けた対応をされたからです。

なんでもお風呂周りが広めな分、部屋が狭いそうで、とはいえ水回りが広いのは助かるので、当初、予約していた部屋から振替をお願いしました。

すると、また申し訳なさそうに、
「追加で差額が◯◯円かかります。」と。

まあ、部屋のグレードが上がってしまうので、
事実上、アップグレードだから、
私はそこは仕方ないと思うので了承して
振り替えて貰いました。

・誰が悪いのか

今、このような現状であることに、
犯人などいません。

日本では障害がある方が外に出ることが
当たり前になっていない社会です。

外に出る側も慣れてないですし、
受け入れ側も不慣れです。

日本人は「自分の頭で考える」のは
苦手ですから、誰ががガイドラインを出して
くれないと動けない。

しかし、旅や外出はガイドラインで決めるようなものでもありません。

試行錯誤以前の思考停止な状況です。
犯人探しに意味はありません。

どう動いたら良いか、
私なりの提言を。

・ホテル旅館の方へ

バリアフリールームがある場合は
とにかく「情報を出す」。

いちばん良いのはスタッフが
部屋をスマホ動画で撮影して
ホームページにアップする。

または部屋の様子がわかる写真を
何枚もアップする。

特に水まわり。
トイレやバスタブの写真を
掲載してくれているホテル旅館は
本当に少ないのです。

でも、そこがいちばん知りたい。

料理の写真とか露天風呂とかは
いらないから、
トイレ、部屋のお風呂。

貸切風呂があれば、
たくさんの角度からの写真、
動画ならなおよし。

で、
宿泊を検討している方に
見てもらい、ご自分で判断して貰う。

バリアフリーに良い悪いはありません。
人それぞれ、バリアフリーの定義が違い、
ホテル旅館が全ての要望に応えるのは
不可能。

現状を全て事前に伝えて、
判断は宿泊を検討している人に委ねる。

車椅子を使うお年寄りと
パラリンピックアスリートを
バリアフリーなんて乱暴なくくりに
してはいけません。

・障害がある方やご家族へ

ホテル旅館は自宅ではないので、
あなたが暮らす「あなたの為に改造した」
自宅と全く同じ設備を望むのは
無理です。

「そんなこと、わかっている」と
言われるかも知れませんが、
うちの会社にも、

ベッドの高さが52センチで
マットはどこそこのメーカーの何番で
どちら側に手すりが必要で

などと、当然のように条件を
おっしゃる方が稀にいます。

もちろん当社では
「お任せください!」などと
安易には言いません。

安全面の観点から必要な配慮と、
ないものねだりは違います。

旅行は、旅をする人と
旅先(受け入れ先)のお見合いなんです。

お見合い相手に、

身長が高くて
イケメンで
年収2千万で
私を大切にしてくれて
飲みに行かない人

なんて望んでもダメなように、
バリアフリーがないものねだりに
なっては旅が始まりません。

様々な要因が絡み合い、
日本ではバリアフリー旅行は
20年立っても進歩しません。

だからこそ、旅をしましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?